「あなたにこの苦しさがわかる? 簡単に引き止めないでよ!」
「あなたの気持ちはわからないけど、死んじゃったらダメだよ! 死んだら、二度とよくならない…もう誰もあなたのこと、救えなくなる…」
「助けて欲しいなんて言った覚えないけど、そもそも私のこと救えると思ってるの? 心に負った傷は二度と癒えないし忘れられないんだよ! 」
「あのさ、もう死んで楽になりたいの。全部ぜんぶ、なかったことにしたいだけなの。救いたいなら全部なかったことにするぐらいしてみてよ。無理でしょ? 救う救うって、できもしないくせに気安く言わないで」
「傲慢だよね、ほんとはあなたが救いたいだけなんでしょ? 自分勝手な満足のために私たちを巻き込まないで」
「とんだ邪魔が入った。行こ、ほのか」
「うん」
ぐっ、なにも言い返せない…。この2人が言ってることは、私にも心当たりがある。心の傷は簡単には癒えない。一生治らないものだってある。治らない傷を抱えたまま、ちぎれそうな心を引き摺りながら、それでも生きるしかない。
抱えた痛みがどれほどかは人それぞれ違うだろう。同じ痛みは決して味わえないし、共感はすれど理解することは叶わない。結局のところ、そのつらさは本人にしか知りえない。