短編台本 運命の扉

3〜4人(♂2人 ♀1人 不問1人)

[アルヴィス]
シグルド殿
晴れての凱旋、めでたいことだ

[シグルド]
これはアルヴィス卿、
わざわざお迎えいただきおそれいります
ところで、陛下はどちらに?

[アルヴィス]
陛下は重いご病気で、
もはや身を起こすことも叶わぬ…

よって、今では私が
政務の全てを代行している

[シグルド]
そうだったのですか
それはお気の毒なことです

私の事でも、陛下には随分
ご心痛をおかけしました

後ほど王宮に参り、
お詫びを致します。

[アルヴィス]
それには及ばぬよ。

[シグルド]
えっ?

[アルヴィス]
卿には反逆者としてここで死んでもらう
王に目通りは叶わぬ。

[シグルド]
な、なんと…アルヴィス卿、
それはどういうことです!?

[アルヴィス]
フフフ…今頃気づくとは、
貴公も甘いな

貴公は父親のバイロン卿と共謀して、
王家の簒奪(さんだつ)を謀った
その事実に何ら変わりはないのだよ
私は王女ディアドラの夫として、
貴公を討伐せねばならぬ
シグルドよ、悪く思うなよ

[シグルド]
王女ディアドラ!?

それは…

[アルヴィス]
そうか、貴公はまだ知らなかったな
冥土の土産に
我が妻を紹介しておこう
ディアドラ、来なさい

(バーハラ城から、ディアドラと兵士がシグルドのほうに歩いてくる)

[アルヴィス]
ディアドラ、この男が君の父上を殺した
バイロン卿の息子、シグルドだ
恨み言の一つでも言ってやれ。

[ディアドラ]
この方が…シグルド…様…

[シグルド]
え? ディアドラ!?…まさか…

[ディアドラ]
……!…何故そのように…私を…

[シグルド]
ディアドラ、そうだね…!君なんだね…!!
ああっ…

[ディアドラ]
私を…ご存じなのですね…

[シグルド]
君は…!君は私のー

[アルヴィス]
もういい
ディアドラ、下がっていなさい

この男は危険だ
反逆者として処罰しなければならない

[ディアドラ]
でも…この方は…
お願い!もう少しお話をー

[アルヴィス]
ダメだ、おい誰か、姫を安全な場所へ!

[ディアドラ]
待って、アルヴィス様…!もう少しだけ…

(ディアドラがバーハラ城に連れ戻される)

[シグルド]
ま、待て!! ディアドラ!!
アルヴィス、頼む!
あの人は、私のー

[アルヴィス]
もういい、何も言うな!
よし、全軍に告ぐ
反逆者シグルドとその一党を捕らえよ

生かしておく必要はない
その場で処刑するのだ!!

[シグルド]
アルヴィス…!貴様!!

[ナレーター]
バーハラ軍がシグルド軍に対して、メティオを放った

[シグルド]
お前たち!?
アルヴィス!何故この様な真似をするんだ!?
私の妻であるディアドラの事も全て話してもらう!!
聖剣ティルフィングに宿りし聖戦士バルドよ…

私に力を!!

[ナレーター]
そして、アルヴィスがシグルドに対して、ファラフレイムを放つ

[アルヴィス]
よもや、貴様に話す必要など…無い!!

伝説の魔法戦士、ファラが生み出せし
神聖なる業火に灼かれよ!!

ファラフレイム!!!

[シグルド]
ぐわあああああああ!!!
ディ…ディアドラ…!!

[アルヴィス]
シグルドよ、所詮貴様はディアドラ見つけるための犬だったのだよ
全軍!反逆者シグルドとその一党を討ち取った!!
城へ帰還せよ!

[ナレーター]
かくして、ひとつの時代は終わった

イザークへの遠征に端を発した
グランベルの動乱は
一人の若者を数奇な運命へと導き
そして、幾多の悲しい物語と共に
儚くも消えた…

戦い途上において、傷つき倒れた者や

シアルフィの公子、シグルド

また、最後まで
シグルドと共にありながら
バーハラでの戦いに敗れて、
生死不明の者達…

若者達は、理想を求めて戦った
しかし、その夢も叶わぬまま
戦場に散った。

彼らの戦いが一体、何であったのか?

そして、光は……………

ファイアーエムブレム
聖戦の系譜

第五章 運命の扉より。

END

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