絶奈ちゃん(h00674)と
この神殿、いつの時代のものだろ~? こういう水没した建物って良いよねえ。時の流れの重みや静けさ、秘められた物語を感じるよお。
上着を脱ぎ、二人分の座れる範囲に広げ敷く。手を差し出し絶奈を先に座らせてから、余った部分に腰を下ろして、ヒールを外し足を浸す。
そうだあの歌、とっても素敵だったよお。まるで時間が止まったみたいだった~。絶奈ちゃんの歌が響いていたあの瞬間だけ、…自分が何者かも忘れて、ただそこに佇んでいた気さえした。ふふ、もし絶奈ちゃんが歌手デビューしたら、僕は何号目のファンになれるかな~。
さっきのアレ…、あの声は…師匠の声、なんだ。
師匠が作った夕食の、配膳を手伝うように言われて…ふっ。俺がすぐに色んな味を試したがるから、事あるごとにあんな風に言われてたなあ~…ふふっ、…はあ…よりによってあんな場面を思い出すだなんて。
そ、っか。……そっか。…はは…、……あの人は…、俺の…、……親みたいな人、だったよ。
語り終えた後、月響珠を月に翳しながら[怪力]で粉々に砕く。
※449文字/450文字