--- Title: '【弓音:クリミナル】' Author: sagitta_luminis Web: 'https://mimemo.io/m/kEWpAokjPJG7Jaj' --- 弓音自身のペンダントと、心羽を倒して手に入れた羽の使者のペンダントを併用して変身した弓音の究極形態。 ・概要 羽の使者と鳥の使者、ふたつのペンダントが揃うことで変身できる。 本来、人は誰しもどこかしらの欠点があり、一人では完璧になれない。それはカルナでも同じように、それぞれの命が持つカルナには長所短所があり、カルナは持ち主の命と一心同体である。(なので命が死ぬとカルナも消滅する) しかし、命2つ分のカルナが一人の体に融合するという本来有り得ないことが起きれば、2つの欠点を互いに補い合うことで、欠陥のない完璧な存在になれるとされている。 また、命を2つ抱えたその姿は、『この世界の生き物の枠に当てはまらないなにか』とすら形容される。 ・経緯 この姿が最初に登場したのは、弓音の夢の中。心羽たち4人やアポロ、リーンが影魔から人々を守るヒーローとして少しずつ有名になってきた頃。 夢の中で弓音は、世界で最も美しい、星の輝きを宿した大きな鳥だった。悠然と地に降り立ち、人間の姿に戻れば、ペンダントのような赤い宝石をふたつ、両方の手に握っている。人々は弓音に魅せられ、世界に存在することを許されていた。 そこにはなにひとつ欠けることなく、完全で満たされ、この世界の仲間のひとりとして堂々と胸を張り生きていく弓音がいた。 弓音はこの夢をもう一度見たいと強く願った。 その頃、フォセイドとカイルスは使者たちの戦闘データやカルナの形質を調査していた。ほかのカルナと違い、心羽のカルナの形質は多重量子で表れ、これはこの世界の謎を解き明かす手掛かりになるとみていた。また、多重量子のカルナを分析したところ、弓音のカルナが幾重にも重なったものであることが発覚。カイルスは、ふたりの関係が単なる双子ではなく、別世界の同一人物であると推測した。 その話を聞いた弓音は、心羽のカルナこそが夢で見た完全な自分を実現するために必要なピースだと考え、手に入れるために奔走する。 まず弓音は、カイルスに協力を求めた。 カイルスは「だろうな」と言い、影魔に宿主の文化があることを伝えた。それなら影魔と人間は共存できると判断した弓音は単身でプレディエの森に赴き、宿主となってくれる影魔を探した。 弓音は3人の影魔と契約をとり、弓音を宿主とした3人の影魔は弓音のカルナを少し吸い、炎の力を手に入れて赤色を帯びた姿に変化した。 影魔3人には心羽を襲わせ、弓音は力を使いこなせるように練習を重ねていた。 炎の影魔は心羽たちにとって難敵として立ちはだかった。肌が高温で燃えているため接近戦は難しく、遠距離攻撃が得意な心羽は炎に耐性を持つ影魔に対して有効打を持たなかった。 しかしこの難敵との対峙が心羽たち4人に成長を促し、何度か戦ううちに4人の攻撃には連携が生まれ、だんだんと勝てるようになってくる。 弓音も少しずつカルナをコントロールできるようになり、心羽のカルナを手に入れるため炎の影魔たちと共に心羽の前に現れる。 心羽と瓜二つの容姿を持ち、カルナの能力もそっくりな宿主に最初は混乱が生じるが、戦闘を交えて弓音と対話するうちに、ふたりは双子で、弓音の目的は心羽のペンダントのみであり、それ以外には何も要らないことが判明。今こそペンダント欲しさに危害を加えているが、根は悪い子ではないことがわかり、それを知った心羽はこの不毛な争いを終わらせるため、弓音にペンダントを渡してしまう。 ・能力 建物7~8軒分に相当する大きさの巨大な鳥形態と、人間体とを使い分ける。 鳥形態はひとことで言えば無敵で、弓音の翼が持つ防御力が全身に広がっているためほとんどの攻撃が効かず、攻撃範囲が桁違いに広いうえにその巨体で羽ばたけるため、逃げようにもすぐ追いつかれてしまう。 人間体は、弓音が望んでいた『完璧な自分』そのものであり、視覚も聴覚も常人のそれを遥かに上回り、頭痛も疲れも一切感じず永久に活動できる身体を手に入れた。炎のモーフィング能力も極まっており、武器の生成に留まらず、髪の色を変えたり、はたまた別人の姿に変装など、洗練されすぎてもはやなんでもありである。 ・活躍 変身の際、カルナを与えたため意識を失った心羽が倒れる。 3人に「心羽を殺された」と勘違いされ、 ルクスカーデンには居場所がないと思いヴェレクトに帰る。 ヴェレクトにて市民に目撃された弓音は瞬く間に有名になり、現代の魔法使いなどと呼ばれチヤホヤされる。しかし、弓音は満足できなかった。強引に奪ってきたこの力を、市民におもちゃにされている感覚があり、自分自身の内面を見てくれる人は誰もいないことに気付いた。この究極の力を手に入れてもなお、心の隙間を埋めることはできない。そのことを悟り、弓音は全てが虚しくなった。人を殺めた罪悪感に押し潰されそうになり、自らの愚かさに呆れながら絶望を募らせていく。 そんな時、弓音の前にカイルスが現れた。 「心羽が死んだのに世界は元に戻らなかった。何故だかわかるか?多重量子のカルナがまだ消えていないからだ。心羽のカルナは、今もお前の中で生き続けている」 虚ろだった弓音の瞳が開かれる。 「それって、私が、死ねってこと?」 「理解が早くて助かる。残念だが、お前とはここでお別れだ」 そんな……。 カイルスは弓音に新しい世界を見せてくれた。救いのなかった未来に希望をくれた。始まった時は夢に溢れていた、朝憬への旅路のゴールが、こんなに残酷だなんて……。 一滴の涙が弓音の頬を伝う。 「…いいよ。私、もう死んでもいい……あの時、明日に希望を抱いたのが、間違いだったんだね……」 言いながらもだんだんと涙声になり、声がかすれていく。 涙が溢れて止まらなくなる。 「今楽にしてやる」 カイルスは剣を引き抜いて弓音に接近する。