--- Title: 優雅な狐は狗になる Author: oc-ghn Web: https://mimemo.io/m/zeXgwor2EzoK0Ek --- 皆が寝静まっているはずの時間帯、とある建物に小型ドローンを引き連れて忍び込む人物がいた。 建物に忍び込んだそれは、無線を使ってある人物に連絡を取った。 「潜入に成功した。事前に聞いていた通り忍び込めたよ。」 「ええ、こちらでも確認できたわ、警備員やドローンの位置はこちらで捕捉しているけれど警戒は十分に行って頂戴。……それと改めて、貴方の協力に感謝するわ、セイア」 「何、問題ないとも。だが、それは任務が成功した時までとってほしいな、リオ」 上記のやり取りを行い、慎重に行動を行なっている人物、百合園セイアと現在彼女に指示を行っている調月リオと言う学園の違う二人が何故、この様なことを行っているのかと言うと、一週間前に起きた事件であるネル達C&Cの主要メンバーの失踪事件解決のためである。 この事件は彼女達全員が黒い噂のあったカジノ経営の企業に潜入して以降、消息を絶った出来事から起因している。 ミレニアムは事件発覚後すぐに総力を挙げ、先生協力の元調査を行ったのだが、痕跡を掴むことは出来なかった。 しかし、裏で調査を行っていたリオはたまたま僅かな痕跡を掴むことが出来たが、ミレニアム関係者と先生は一連の調査で警戒されており、リオもそのことは認識していたそのため、どの様な手を打てるのか悩みに悩んだ末、セイアに相談、現在に至った。 現場で息を殺し慎重に調査を行っているセイアは過度な緊張を紛らわすため、リオに質問を投げかけた。 「しかし、先生には話さなくて大丈夫だったのかい?ミレニアムEXPOの時はネルが先生に相談していただろう?」 「彼女なら確かにそうするし、私もそれについては考えたわ、だけど事前に説明した通り、先生は一連の調査の際にこの企業からかなり警戒されてしまった。もし、ネル達の痕跡を見つけたと知ったらあの人はすぐにでも飛んできてしまう、ヒマリですら痕跡を発見できなかった相手よ、間違いなく逃げられる。ユウカ達も同じ理由ね。私がここを特定できたのだって裏に隠れていたことが大きい」 「つまり、長期間ミレニアムを離れている君と他校の生徒である私たちにしかできない任務というわけだね?」 「そういうことよ、ネル達の消息が途絶えてからもう何日も経過している、一刻の猶予も無いわ」 「承知しているとも、私だって友のことを案じている、急ぐとしよう」 「ええ、お願い」 これらのやり取りを経てリオの指示のもと、着実に彼女達の目的の部屋─────ネル達、又はそれに対する新たな手がかりがある部屋─────に向かっている最中、二人は奇妙な感覚を覚えていた。 「おかしい……」 「えぇ、貴方も気づいたのね」 「あぁ、警備員の気配が感じられない」 「私がリスクの少ない道を指示しているとはいえ、これほどまでに警備員やドローンのいない道がそんな都合良く存在するかしら……」 二人が話していた通り、道中には確かに警備の者達がいるのだが、それが明らかにまばらなのだ、勿論相手は巡回を行なっているので完全に安全な道はなかった。しかし、どれもセイア急いで隠れたり等単独でどうにかできるものがほとんどでリオがセイアに危機が迫った時の為に側に置いておいたドローンタイプのAMASの出番が全くといって良いほど無く、あまりにも順調すぎていた。 (ユウカ達やヴェリタスの皆、更にはヒマリですら痕跡は見つけることができなかった。やっと見つけた痕跡でさえ、私が裏で秘密裏に行動したから見つけることができた。もし、EXPOの時にミレニアムに戻っていたら、多分発見することはでき─────!!!) 「逃げて!セイア!!」 リオがこれが企業の用意した罠だと気づき、セイアに呼びかけたのと同時に無線からは爆音が轟いた。 「セイア!?セイア!!返事をして!!」 リオが呼びかけても無線からはノイズが走った様な音しか聞こえて来ず、セイアが応えることはなかった……。 カツンカツンと歩く音が通路に響いている。 その音をよく聞くとその音のある主は一人だけではなく二人…いや一人と人だった者の様だった。 一人はロボットの兵士、もう片方は四足で歩行していた。しかし、人だった者と表現した通りそれは犬や猫といった存在ではなく四肢を折りたたんだ状態でテープで固定されたのち、顔としっぽを除いた全身を黄色いレザーで包まれていた。 さらにレザーで覆われていない尻尾には有線タイプのバイブのリモコンが固定されており、振動を与える本体とリモコンを繋ぐ三本の線は尻尾の通り穴を通じて乳首と秘裂にねじ込まれていた。又、顔には目隠しを施され視界を封じられており、口には詰め物を入れられたのちボールギャグを噛まされ人の言葉を封じられていた。そんな惨めなヒトイヌと化した者は正体は百合園セイアその人だった。 「おら、さっさと歩け!」 「うぐっ!ぐぐぐっ!」 兵士は持っているリードを引っ張ると首輪で繋がれているセイアはボールギャグ越しでもわかるくらい苦しそうな声をあげたのだった。 本来、人は肘と膝を地面につけて歩く様な造形をしていおらず、ヒトイヌ状態での移動は普段歩く様な速度であってもかなりの疲労を伴う、一応足を模している箇所にはレザー内部にクッションが取り付けられていたがそれでも身体にかかっている負担と比べると焼け石に水であった。 付け加えて、彼女は目隠しをつけられている為、自分がどこを進んでいるのかわからない精神的疲労と秘部をバイブによって刺激されたことで自身の内部から生じている快楽とヒトイヌという不慣れな状態による移動で乱れている呼吸がより乱れ、息を大きく吸おうにも口いっぱいの詰め物とボールギャグのせいで、リードを引っ張られただけで息が吸えなくなっていた。 セイアは碌に休憩もないまま不慣れな姿勢と酸欠によって体から溢れた汗によって綺麗だった金髪をビチャビチャしながらも懸命に歩んでいたが、それでもその歩みは遅々として進んでいなかった。 しかも、兵士は先ほどから全然進んでいないことによる苛立ちによって何度もリードを引っ張り、その度に喉を絞められたことによるセイアの苦痛の声が通路に響いていた。 「やっと着いたな……。おい駄犬!こっちだ!」 「ふぐぅ!!」 しばらくして、通路の途中にあった扉の前に立った兵士はもうリードを引かれたくなくて視界を塞がれていながらも懸命に真っ直ぐ進んでいたセイアに対して怒鳴りながらまたもや、リードを引いていた。 「失礼します。例のビックシスターの手先を連れてきました。オラ!さっさと入れ!」 「グゥ!!」 「ほぅ、随分と手荒いんだねぇ課長くん」 部屋の中にいた小太りなロボットの姿をした人物に兵士───課長が挨拶した後、セイアを強引に部屋に入れているとその人物がその様子に反応を示した。 「貴方に言われたくないですよ。こうしろって言ったのは貴方の指示だったじゃないですか部長」 「ハッハッハ、言うじゃないか、まぁそれはともかく本当にティーパーティーのトップ、百合園セイアだとはねぇ。課長くん彼女の口枷を外してあげなさい」 「良いんですか?」 「勿論だとも、彼女と話してみたい」 部長と呼ばれた者の指示を受けて課長はセイアのボールギャグを外した途端。 「ぼげぇぇぇ!!ゲホッ!ゲホッ!ゴホッ!おっおええぇぇっ!ゼー……ゼー……ゼー……」 「ふふっ……一気に詰め物を吐き出すなんてよほど苦しかったんだねぇ」 セイアが大量の唾液と共に詰め物を勢いよく吐き出して酸欠に陥っていた身体に一生懸命に酸素を取り込むために咳き込みながらも呼吸を繰り返したのだった。 それを愉快気に見ていた部長はセイアが落ち着くのを待った後、語りかけてきた。 「百合園セイア君……だったねぇ、ダメじゃないか君の様なお嬢様があんな所に忍び込んじゃ」 「ゲホッ良く言うね……あの様な罠を張っておいて全てお前達の想定通りだったのだろう」 「いやいや、C&C の次に来る者として、調月リオの手の者、又は協力者が来ることは予想していたんだけどねぇ、まさかティーパーティーのトップが協力者で自ら来るなんて想定はしていないさ、実際かなり困ったことになりそうなんだよねぇ。今のターゲットはミレニアムだけだからねぇ」 「!何を企んでいる……!ネル達はどこだ!」 「そこまでは言えないさ」 セイアはこれらのやり取りから、最終的な目的は話していないもののここまで語ってきた相手に対して、もう自分をどうするのか決めているのだと直感で悟った。しかし、今の自分は首輪で繋がれているだけではなく視界を塞がれ、犬の様に身体を拘束されている為、どうすることも出来なかった。だが、自分からの通信が途絶えたことを知っている人物が彼らの野望とやらを阻止してくれることを願い。今の自分が言っても負け惜しみにしかならないが、せめて一言言ってやろうと口を開いた。 「お前達の望みは叶わないさ」 「ほう、そんな格好でまだ言えるのか」 セイアの発言に部長がそう答えたがセイアは言葉を続けた。 「私の失踪の現場を通信で知っている者がいる。しかも彼女は身を隠しているから、君たちが見つけるのは簡単なことではないさ」 「……………」 セイアがそう言うと二人は沈黙した。やはり、リオの行方をこいつらは知る由もないのだと。 「「クックク…」」 「アーハッハッハッハww」 「ちょっw笑うのは可哀想じゃないかねww」 「部長も笑っww笑ってるじゃないですかww」 「何が可笑しい!」 「ハハハwwおっと失礼wしかし、勘が鋭い人物だと聞いていたんだが、せっかく話してあげたのに気づかないのか、となぁ」 「何?」 「私は話したよ。調月リオの手の者、又は協力者が来ることは予想していたと、想定外だったのは協力者の中に君が居たことだけだからねぇ、課長くん目隠しも取ってあげなさい」 「了解しました」 上記のやり取りをする中でセイアは悪い予感を感じた。だが、それを認めることはできない。認めてしまったら終わりだと、しかし、その予感は現実のものになってしまう。 「そ、そんな……」 目隠しが外され視界が戻ったセイアの目に映ったのは両足を台座に固定され、口までを黒いラバーに覆われ、身体のラインがくっきりと浮いていて、姿勢は気をつけの状態で拘束されたリオの姿だった。彼女は気を失っているのか反応はなく目を閉じていた。 「リオ!!リオ!!わたっモガっ!?もごっ!むぐぐ!」 「おっと静かにしろよ起きちまうだろ」 セイアが叫び、四脚で駆け出そうとするのを課長が押さえつけ、セイアが吐き出した詰め物とボールギャグを口に嵌めたのだった。 「むっむぐー!」 「そんなに心配しなくても眠っているだけだ」 セイアの反応に部長がセイアの側まで近づき、しゃがんだ後自身に目を合わせる様にセイアの顎を触るとクイっと持ち上げながら答えた。 「元々、彼女の潜伏場所には目星が付いていたんだが、君たちの無線から正確な居場所を特定できた。そこについては感謝しているよ。」 「むぐぅ……」 「その状態で睨んできても無様にしか見えないんだよねぇ。いくら才能があっても所詮は子どもだ。あまり大人を舐めない方が良い……まぁ、調月リオも捕らえたことだし、ここまで行けばトリニティを標的にするのも悪くないか……」 「社長の許可が必要なのでは?」 「それはそうだ、だが問題ないと思うよ。ミレニアムの影響はこれでかなり低下するだろうし、あの人の突拍子もないアイデアにはいつも驚かされる。彼のおかげで私たちは今まで生き延びることができたとも言える。」 「確かに後、ミレニアムで警戒するべきなのはヴェリタスの面々ぐらいですかね」 「そのぐらいだな、後は、学園を標的にする以上シャーレの先生にも警戒する必要があるな、捕らえた際のリスクが生徒会の生徒の比ではないからとっ捕まえることも出来ん」 「そうですね、じゃあ俺はこの駄犬を会いたがっていた00に合わせて……ん?こいつ泣いてますよ」 「おや、本当だ。涙が出るぐらい悔しいんだねぇ。自分が無力なのが悔しいんだねぇ……」 「うっうぐっぐぅ……!」 涙を流しているセイアに気づき部長はセイアの頭を撫でながらそう呟き、言葉を続けた。 「まぁ、ティーパーティーといえどこうなって仕舞えばただの犬だ、いつになるかわからないがトリニティを標的にした際はセイア君と同じティーパーティーの友達を君と同じ様な格好にして合わせてあげよう」 「むぐっ!むぐぐ!!💢」 「ハハハ、そうか嬉しいのかぁ。じゃあ頑張って叶えてあげるよ、それじゃ課長くん彼女を任せたよ」 「了解しました。それじゃこいつ、おもちゃの刺激にももう慣れてそうだし電源MAXにしてっと」 「ふぐっ!?ゔっぐゔーーー!」 「オラっ行くぞ駄犬!まごついてんじゃねえ!」 (ナギサ、ミカ、逃げてくれ!……………助けて♡……先生……♡) 突然秘部につけられた物の振動を強化されたことによって詰め物の影響もあるとはいえまともに息を吸えなくされこの部屋に来た時の様にリードを引かれながら真っ白になりかけた思考の中セイアが胸の内に抱いた思いは誰にも届くことがなかった。