霹天の弓 ー1章ー【第3話】Ver.2.1.3 version 8

2019/05/13 01:16 by leang-aigis
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霹天の弓 ー1章ー【第3話】Ver.2.0.1
 まるでおとぎ話みたいな、ふしぎな夢だったなぁ…———
 まるでおとぎ話みたいな、不思議な夢だったなぁ…———

 日が昇ってしばらくして、人々が活動を始める時間。それを示す時計塔の「二の鐘」の音が、まだ少し冷たい朝の空気を震わせて、心羽の部屋に届く。それが朝焼けの日差しと相俟って、心羽の五体を覚まさせる。とはいえだ少し微睡む意識の中、心羽はそのぼんやりとした頭で、昨日の出来事を想起する。すごく怖い思いをしたけど、その中でも頑張れたことがあった…あれは…そう、守れた記憶。そして…
 日が昇ってしばらくして、人々が活動を始める時間。それを示す時計塔の「二の鐘」の音が、まだ少し冷たい朝の空気を震わせて、心羽の部屋に届く。それが朝焼けの日差しと相俟って、心羽の五体を覚まさせる。とはいえだ少し微睡む意識の中、心羽はそのぼんやりとした頭で、昨日の出来事を想起する。すごく怖い思いをしたけど、その中でも頑張れたことがあった…あれは…そう、守れた記憶。そして…
「あ、そうだ…約束」
そのことを思い出すと、微睡みに在った意識が更に覚醒に向かい、心羽の目が開く。だが、それこそあの出来事は夢だったのではないか…そんな思いに、ふと右手が胸に向かう。そこには、確かに何か硬い感触があった。それを布団から取り出すとともに、身を起こし、その目で確認する。あのペンダントだ…あの夢は、夢では終わらず、今日も確かに続いてる…!心羽は胸が熱くなるような、高揚した思いに包まれ、跳ね出したいような衝動のまま、自室を飛び出した。

「おはよう!」
「おはよう、昨日はゆっくり休めた?」
母の詩乃と挨拶を交わしながら、心羽はリビングに躍り出る。
「うん!」
珍しく張りきった娘の様子に、詩乃は若干驚きながら、少し先に食べていた朝食を片付け始める。心羽の席に並べられた本日の朝食は、ベーコンエッグとレタス、そして心羽に合わせた量のライス。
珍しく張りきった娘の様子に、詩乃は若干驚きながら、少し先に食べていた朝食を片付け始める。心羽の席に並べられた本日の朝食は、ベーコンエッグとレタス、そして小食の心羽に合わせた量のトー「…ずいぶん元気ね」
そんなテンションが高い今朝の心羽に、詩乃が最初に抱いた印象はこれだった。昨日が昨日だったから心配したけれど、一晩にしてこの変容はどうしたの?詩乃はそれを聞こうか躊躇いながら、昨晩の心羽の様子を想起する。

 昨日の夜のことである。影魔という名の異形の存在と、カルナという名の未知の力に出会った心羽は、流石にその事象に完全には順応しきれない疲労感を抱えて、ルクスカーデン13番街の住宅街に位置する自宅に帰った。《母の詩乃の下には番街での影魔襲来の報せ入っていただろう、》愛娘のその様子見るや否や「心羽大丈夫?何かあっの?」と問うも、彼女は咄嗟に大丈夫」と気丈舞って返す。
三番街で事件がったんでしょ?なたに何ったらって流石に心配だった」
詩乃の口からてきたのは、娘の身を案じる母の言葉だったが、心羽は自分にった出来事を、自分でも不思議思いならも伏せたりが、おさん。アレグロで練習すぎて疲れちゃった」
なるべく悟らせないように、母視線受け止めそれ逸らさず話す。心配かけておいて心苦しかったけれど…そのために、皆のためにかもしれないことを止められくない。そて母が用意してくれてい夕食にを移し、心羽は続ける。
「ごめんね、お母さん…疲れて眠から、今日は夕食いいや」
その雰囲気全く悟らせいことは、ま年端いかない心羽いことだった。けれど詩乃は、そんな娘の様子から何か理由があること理解しつつ娘の思い主体を重じて、様子を判断する。
「うんかった。ゆっくり休んでね…おやすみなさい」
「おやすみない」
そな母に少し安堵した様子で返事をして、心羽は二階の自分の部屋に上のだった。

 の夜影魔という名の異形の存在と、カルナという名の未知の力に出会った心羽は、流石にその事象に完全には順応しきれない疲労感を抱えて、ルクスカーデン十三番街の住宅街に位置する自宅に帰った。そんな心羽玄関木戸開け間延びした「いま~の声リビングに入と、ちょうど夕食を作り終えた詩乃が、同じく間延びした事を。
「ああえり~、随分遅かった練習大変だった「うん…団長が凄く気合入ってて、はるちゃんも私も疲れちゃって」
咄嗟に出たのは、そんな言葉だった。なぜだろう…自分でもよくわからない。ただ、大切な人本当のとを…自分の一大事を言わないのは流石引けるなのに、なんでのことは共有ようと思えないのか…心羽は自分の行動が疑問だった。
「…心羽?空の心羽の様子を、詩乃は目細めて凝視神妙な娘の顔をそのまま覗き込んると、その様察知し心羽と接近した目と目が合う。
「あ~…お母さん…い」
「…う?」
距離離して詩乃が微笑む。う、人がシリアスに考えてるのに。心羽は茶目っ気を演出て悦に入った様子の母を、むすっした表情と半眼で睨で少し距離。途端に顔をわざらしく手で覆い作った涙声で詩乃ら抗議の一言が入った。
「おさん、心羽がグレ~」      

まるでおとぎ話みたいな、不思議な夢だったなぁ…———

日が昇ってしばらくして、人々が活動を始める時間。それを示す時計塔の「二の鐘」の音が、まだ少し冷たい朝の空気を震わせて、心羽の部屋に届く。それが朝焼けの日差しと相俟って、心羽の五体を覚まさせる。とはいえ未だ少し微睡む意識の中、心羽はそのぼんやりとした頭で、昨日の出来事を想起する。すごく怖い思いをしたけど、その中でも頑張れたことがあった…あれは…そう、守れた記憶。そして…
「あ、そうだ…約束」
そのことを思い出すと、微睡みに在った意識が更に覚醒に向かい、心羽の目が開く。だが、それこそあの出来事は夢だったのではないか…そんな思いに、ふと右手が胸に向かう。そこには、確かに何か硬い感触があった。それを布団から取り出すとともに、身を起こし、その目で確認する。あのペンダントだ…あの夢は、夢では終わらず、今日も確かに続いてる…!心羽は胸が熱くなるような、高揚した思いに包まれ、跳ね出したいような衝動のまま、自室を飛び出した。

「おはよう!」
「おはよう、昨日はゆっくり休めた?」
母の詩乃と挨拶を交わしながら、心羽はリビングに躍り出る。
「うん!」
珍しく張りきった娘の様子に、詩乃は若干驚きながら、少し先に食べていた朝食を片付け始める。心羽の席に並べられた本日の朝食は、ベーコンエッグとレタス、そして小食の心羽に合わせた量のトースト。
「…ずいぶん元気ね」
そんなテンションが高い今朝の心羽に、詩乃が最初に抱いた印象はこれだった。昨日が昨日だったから心配したけれど、一晩にしてこの変容はどうしたの?詩乃はそれを聞こうか躊躇いながら、昨晩の心羽の様子を想起する。

その夜、影魔という名の異形の存在と、カルナという名の未知の力に出会った心羽は、流石にその事象に完全には順応しきれない疲労感を抱えて、ルクスカーデン十三番街の住宅街に位置する自宅に帰った。そんな心羽が玄関の木戸を開け、間延びした「ただいま~」の声と共にリビングに入ると、ちょうど夕食を作り終えた詩乃が、同じく間延びした返事をする。
「ああおかえり~、随分遅かったね、練習大変だった?」
「うん…団長が凄く気合入ってて、はるちゃんも私も疲れちゃって」
咄嗟に出たのは、そんな言葉だった。なぜだろう…自分でもよくわからない。ただ、大切な人に本当のことを…自分の一大事を言わないのは、流石に気が引ける。なのに、なんであのことを母とは共有しようと思えないのか…心羽は自分の行動が疑問だった。
「…心羽?」
上の空の心羽の様子を、詩乃は目を細めて凝視する。神妙な娘の顔をそのまま覗き込んでいると、その様を察知した心羽と接近した目と目が合う。
「あ~…お母さん…近い」
「…そう?」
距離を離して詩乃が微笑む。なんだよもう、人がシリアスに考えてるのに。心羽は茶目っ気を演出して悦に入った様子の母を、むすっとした表情と半眼で睨んで少し距離を取る。途端に顔をわざとらしく手で覆い、作った涙声で詩乃から抗議の一言が入った。
「お父さん、心羽がグレた~」