0 久瀬・彰(h00869)
▼パーソナルデータ
氏名:久瀬・彰(くぜ・あきら)
誕生日:6月12日
種族:人間
国籍:日本
血液型:A型(+)
▼職業/肩書
・医師
・警視庁異能捜査官・秘匿捜査員
・汎神解剖機関・職員
・民間軍事会社『カンパニー』・社員
▼性格・性質
表向きは、程よく緩く軽い態度でへらりと笑う、付け入る隙の多いお人よし。
内実は勤勉で実直。命に対する責任感と戦いに対する覚悟が強く、状況対応力の高い秀才。
頼まれ事を断れないタイプ、かつ本人が割とオールラウンドに万能なのもあってか、どの職場においても色々な現場に駆り出されては仕事を任される苦労性の気質がある。
幼少期から利発で空気を読むことに長けた、穏やかで鷹揚なバランスの良い性質であった。
これには掛け値なし文字通りの「万能の天才」である双子の姉が引き起こす「天才ゆえのトラブル」の仲裁と解決に少年時代から奔走していたことにも起因する。
実のところ表向きに見せる緩く軽薄な態度は「気さくでとっつきやすい」印象を与える意味もあって見せていることが多い様子。
総じて、人付き合いは丸く友人も多い。ただし生来持ち合わせた欠落の影響から自分自身に地雷がなさすぎるため、頼まれごとを断れず貧乏くじを引く(本人は貧乏くじとも思っていない)、深い付き合い(主に恋愛関係)がうまくいかないなどの欠点もある。
現場に出れば、基本的には人の顔色や出方を見て合わせるような立ち振る舞いをしがち。
いつも緩く軽薄で穏やかな調子を崩さず、現場でも敢えて軽口を言ったり緩い調子で立ち回るなど場の緩衝材的に動くことも多い。
ただし根の実直さは勤務態度や仕事に対する姿勢に如実に出ており、本人が思っているほどに周りは「軽薄で緩い若造」と思ってはくれていない様子。
周囲からの評価はおおむね「真面目で勤勉なお人よし」で通っている。
地域医療に携わる医師を父に持ち、自身もその背に憧れを抱いて医療の道を志した。
努力や挑戦を苦にしない性質であることもあってか「天才」と持て囃される姉がいる環境でも曲がらず凹まず平然と育ち、姉と遜色ないほどの万能さと、彼女の引き起こすトラブルを無難に解決できるほどの器量を備えるに至っている。
他称するのならば「万事をそつなくこなす秀才」である。
尤も、本人は「当たり前にやれるべきことをやっているだけだから」という反応であるのだが……。
▼家庭環境
父 :久瀬・誠 (57) 職業:東京都立K医科大学・地域医療振興センター准教授
母 :久瀬・陽子(55) 職業:専業主婦
姉 :久瀬・晶乃(29) 職業:国立病院機構救命医療センター・救急科勤務医
本人:久瀬・彰 (29) 職業:医療法人社団咲命会・神代病院・総合診療科勤務医
四人家族の長男、家族構成は父、母、双子の姉。
父は地域医療に従事するため、現在離島の診療所に単身赴任中。
久瀬自身も実家を出て一人暮らしをしており、実家には母と姉の二人のみであり、姉である晶乃も高すぎる職務意識から半ば職場で寝泊まりするような生活になっている。
……といったように散り散りに働いているが、家族仲自体はきわめて良好であり、季節の贈り物を贈り合うなどといったイベントは欠かしていない。
▼欠落
「負の感情」が欠落している。
他者に対する怒りや悲しみ、恨み、憎悪といったものから、戦うことや死ぬことへの恐怖などといったものまで大部分を生来感じられない。
好き嫌いの「嫌い」がごっそり欠けているイメージであり、これも頼まれ事を断らない遠因である。
完全に感情自体が存在しないというよりは「まだらに欠けており、かつ負の感情を認識する機微が欠落している」といった様相であり、完全に感じられない部分と、朧げに認識できる部分とが入り交じっている様子。
しかし、朧げに認識できる部分も感情として言語化はできず、彼はそういった時決まって「なんとなく落ち着かない」といった表現を使用する。
▼戦闘技能
高い霊力と幅広い状況対応力が身上。
己の足元に蟠る「影」に霊力を通し自在に操る霊能力者。
なお、本人は影と呼んでおり、実際に当人の影のような挙動をするが、光の加減によって自然に生まれる影よりも不自然に黒く濃い。
取り回しが良いのか、上述の「影」を操る能力をメインに使用するものの、霊力を通して物品を操る、霊力を水や霧、雷といった「水が関係する自然現象」として発露させる……といった小器用なこともこなせる。
ただし、彼の操る霊的現象はすべて「濁った水のように」黒く染まった見目をしている。
これについて当人は、自身に掛かった呪いのせいである、と語るが……。
▼非戦闘技能
顔色や声音から相手の思考や感情を読み取る(いわゆる「空気を読む」)ことに長ける。
加えて相手に合わせた言動を自然と取ることができるなど、総じて会話を通じた交渉能力が高い性質。
周囲にうまく溶け込む、回りから浮かない立ち振る舞いをするなど器用に場に溶け込む技能も高く、これらの気質から身分秘匿捜査等に適性が高い。
医師としては「6年目の若手とは思えないくらい優秀」なレベル。
内科医であるため非常に専門的な外科施術などは難しいものの、基礎的な技能・知識は一通り以上にあり、経験も同期の医師の中では頭一つ抜けている。
▼職場
・医療法人社団咲命会・神代病院
東京都内にある総合病院で、母校である東京都立K医科大学の関連病院。
実態として汎神解剖機関の提携医療機関という側面も有しており、久瀬はこの恩恵で普段の医師業務と他職場からの任務が極力被らないように調整している。
また、他職の緊急任務等でどうしても仕事に穴を空けなければならない場合や、現場で負傷・死亡した場合等の辻褄合わせ等の各種保障も受けている。
院内での久瀬は「何事もなければ大体一番遅くまで医局にいる」というくらいのワーカホリックで、自分の所属科のみならず様々な科の同僚や後輩、時に上司からの相談や対応も請け負っている。
・警視庁・超常現象関連特別対策室
所属時に当人が唯一能動的に希望した「医師としての業務を優先させてもらう」という条件での所属であり、基本的には非常勤。
所属部署は一応のところ組織図としては存在しているようだが、立場としては強いて言うなら特別対策室の直轄であり、決まった部署名などはない。構成員も久瀬自身と直属の後輩の二人のみ。
基本的には秘匿捜査官=調査専門ということになっているものの「大体なんでもできる」「誰とでも衝突せずそこそこうまくやれる」という性質が高じて「とりあえず足りないなら久瀬を当てとけ」くらいの使われ方をしているのが現状。
戦闘任務等へ駆り出されることも多く、そもそもの頼まれ方として「調査から解決まで全部やってきてもいいぞ」と言われることもしばしば。
ちなみにこう言われると当人は本当に調査から解決まで全部こなしてくる。
・汎神解剖機関
所属時に当人が唯一能動的に希望した「医師としての業務を優先させてもらう」という条件での所属であり、基本的には非常勤。
現在は機関の下命で後述する民間軍事会社へ出向の形となっている……はずであるが、あまり関係なく機関からの呼び出しや任務も請け負っている。
本人は自分の仕事を三足草鞋と言うが、どう考えても四足である。
・民間軍事会社『カンパニー』
対√能力者の討伐・鎮圧のための民間軍事企業。
汎神解剖機関からの下命により「多世界的視野から人類延命の可能性を模索するため」という触れ込みで多くの√における簒奪者案件に関与する当該会社への出向を申しつけられている。
機関からの出向という形なので、実は『カンパニー』の職務時従事した時間分だけ、機関からの保証給が出ている……が、同僚には秘密。
▼「呪い」について
カミによって授けられた呪禍。
久瀬の傍には常に、彼が「カミサマ」と呼ぶ超常的な“何か”の存在がある。
当人曰く「自分では視認も感知もできない」とのことであるが、感知に長けた者ならば周囲に纏わりつくような重苦しい閉塞感を感じることができるほか、後ろから彼の首を抱く(あるいは絞める)ように伸びる濁った水で出来た手が視えることもあるという。
当人曰く「昔はこういう力の一切を持たなかった」ということであり、己が今自在に霊力を操れるのはこの「呪い」の恩恵であるという。
また、それを「呪い」と表現する割に、このことについて語る彼の様子は平静であり……。
▼ふたつの瑕疵
・忘却
久瀬・彰には「人の名前が憶えられない」という瑕疵がある。
一定の時間が経つと個人に対する「名前」のみが忘却されるという。
ただし、名乗られた瞬間は記憶できているほか、他者の発声した当該名称や、自身の手によって記述した記録等を参照することで記憶している人物像とその個人の固有名称を符合できる。
このため、人物認識を違えることはない。
また、固有名称を認識してから忘却までの時間は場合によって大きく異なるため、「時間」以外の何らかの条件があるものと目されるというのが本人の認識である。
久瀬・彰が忘れているのは他人の名前だけではない。
彼は過去に己が名乗っていた、生まれた家で与えられた名を忘却している。
また、この名は久瀬・彰本人のみならず、かつての彼を知っていた筈の全ての人間の記憶・記録から、本人の存在ごと脱落し、何者にも記憶されていない。
・悪夢
久瀬・彰は睡眠時に夢を見る場合、「如何なる場合に於いても例外なく」悪夢(※当人は「同じ夢を見る」と供述しており、悪夢とは表現していない)を見る。
昼夜を問わず、一定時間以上の睡眠(つまりは、レム睡眠が出現する状況)であれば必ず「同じ結末の夢」を見る。
夢の内容は大別すれば「故郷である龍ヶ淵村が亡びる夢」であり、結末は同じであるが夢の中の状況は毎回違っている(全ての夢を委細に記憶してはいないが、少なくとも「昨日と今日で全く同じ夢だな」と感じることはない)。
これらについて当人は、村を離れた直後から現在まで継続して見られる症状であると語っている。
また、当人の認識としては「(生贄として)神に命を捧げられなかった代わりに支払っている代償ではないか」とのことである。
===以下は、当人が認識していない・あるいはまだ意識できていない事柄である===
▼「呪い」について/真相
それは、カミより与えられた祝福である。
実のところ「カミサマ」と呼ばれる存在は久瀬・彰を呪ってはおらず、むしろ彼を敬虔なる自らの信徒として認め、庇護している。
これについては、久瀬・彰に対する肉体的・精神的干渉の一切がこの「カミサマ」によって妨害されるということからも客観的に推測可能である。
しかしながら、当然、カミとまで呼ばれた強力な存在による「庇護」は、人の身には過ぎたる力である。
伝承に曰く「カミの眷属となった者の存在は人々の記憶から失われ、やがて姿や形さえも損なう」とされているほどに。
ゆえに久瀬・彰は代償として己の名を失い、その名はこの世に生きる何者にも呼べぬものとなり、彼に関する経歴・記憶の一切は、決して思い出されぬものとなった。
しかしながら、彼が√能力者であったことに起因するものか、カミの眷属も同然の状況でありながら、彼に新たに与えられた「久瀬・彰」という名は他者の口述・記述に耐え、その存在が他者から忘却されることもない。
少なくとも、今はまだ。
▼性格・性質/深層
前述するように、久瀬・彰は他者の名を呼ぶことができず、自身の本当の名を呼ばれることもできない。
このことにより当人には常に「誰の顔も、自分の足下も見えないような暗闇の中を生きている」ような意識があり、その為に他者、あるいは社会との関わりを強く求める傾向がある。
頼まれ事を断らないのは「人のために動いている」と自覚すれば孤独を感じなくて済むからで、仕事を「人とのつながり」と認識しているためにいかなる仕事をも喜んで引き受ける。
何もしていない時間に平穏を見出すことができず、常に何かに従事していないと「落ち着かない」というのも大きな要因である。
また、常に人の顔色や出方を見て合わせるような立ち振る舞いをするが、これは主体的に判断ができない(主観的に自分を見られない/無意識下で自分の中に横たわる暗闇を見つめるのを恐れている)ためである。
また、上記のように「自分のことが主観的に見られない」ということに起因するものか、当人は自身の能力の高さについて、おおむねの場合において無自覚であるか、あるいは非常に自己評価が低い傾向がある。
また、基本的には久瀬・彰の他者へ与える印象は「鷹揚・穏和」あるいは「軽薄・緩い」といったものであるが、稀に会話の中で受け取る話しぶりの印象が短期間で入り混じることが散見されている。
これは久瀬・彰が「欠落」により感情の半分を損なっていることに起因する。
負の感情が欠落していることについて当人は「楽観的に物事を捉えられていい」「いつも前向きに考えられるのは助かっている」と肯定的な認識をしており、己の性質を御しきれているように見える。
しかしながら実際のところは「認識できない感情」に起因する情動の部分が著しく未成熟であるという欠点を抱えており、いわば成熟した年齢相応の大人の部分と、未成熟な情動に結び付く幼い部分とがまだらに存在しているような状況である。
平時当人は(意識的にも、無意識的にも)多かれ少なかれ演技的に会話を運んでいる部分があり、これが表在化することは少ないが、気を許した相手といる際や一人きりで他人の目を気にしなくて良い状況においては、この「まだらで不安定な」部分が表出する傾向がある。
▼ふたつの瑕疵/考察
久瀬・彰には「人の名前が憶えられない」という瑕疵がある。
また、久瀬・彰は睡眠時に「如何なる場合に於いても例外なく」悪夢を見るという。
これは√能力者としての癒えない欠落とは別個のものであり、いわば「契約の副産物」と言うべきものである――というのが機関の見解である。
類似の症例に乏しく機関でも確たる結論は出ていないものの、これは√能力者としての特異性に起因したものではないかと推測されている。
久瀬・彰の曰くによれば、カミの眷属となった者は「人々の記憶から失われ、やがて姿や形さえも損なう」という。
しかしながら久瀬・彰の存在は消失しておらず、このことから推察するに、彼は己の存在が奪われる代わり、別の代償を支払うことで釣り合いを取っているのではないか――現状の機関の結論としては、そのようなことである。
===以下は、汎神解剖機関の面接時に久瀬・彰が供述した内容を基に作成されたものである===
▼経歴/詳細
生まれは√汎神解剖機関・日本某所、山深くに位置する寒村である「龍ヶ淵村」と呼ばれる村落。
当該村落の村長を代々務める一族の第二子・長男として生を受けた。
生誕当時の家族構成は曾祖母、両親、6つ上の姉、そして双子の妹である。
(当時の名を本人が記述・口述できないため、以降の記述において「少年」と記す)
3歳のころ、少年は村落内にて重なり合う世界を幻視し、その向こう側を訪れたことを契機に√能力者に覚醒。
その際、数日を彷徨ったのちに再び√汎神解剖機関に帰還し、身柄を捜索していた村民に保護された。
4歳を迎えてまもなく、村落内で不審な怪死事件が相次ぐようになる。
この怪死事件に対し、村落の主は「おくり」と呼ばれる人身供犠をもって解決にあたることを決定し、そのための犠牲として選ばれたのが当該少年である。
これにより少年は、古くから神域として定められた崖下へと実父の手によって突き落とされた。
しかし、この際奇跡的に一命をとりとめており、事件当時に村立診療所の派遣医師として勤務していた男性によって救助される。
事件後は都内のK医科大学付属病院にて療養入院を経て、最終的に救助に当たった医師の元へ養子として引き取られることとなったという。
引き取られたのちに名付けられた「久瀬・彰」という名が、当該少年の新たな、そして今もなお名乗っている名である。
つまり、現在の家族は義家族であり、「双子の姉」と公称されている久瀬・晶乃は実際には(戸籍上は)義妹である。
しかしながら、二人のたっての希望で対外的には双子ということで通している。
▼過去の経歴について
上述された過去の経歴は当人の口から語られたものであるが、この経歴を客観的に証明できる第三者の証言は皆無である。
これについて久瀬・彰に確認したところ、己に呪いを与えている「カミサマ」の力に起因するものであると語った。
曰く、己はカミと契約を交わしており、その契約の代償として己の名と、その名に起因する経歴・記憶の全てを支払ったのではないか、との由であった。
これを客観的に証明できる第三者の証言、および状況証拠もまた存在しえないが、契約の代償として己の名を差し出すという文脈は怪異に関連する様々な文献にて散見されるものであり、現状、積極的にこの仮説を否定する謂れはない。
▼過去の経歴と関連する事項について
・「カミサマ」と村の信仰
村落では古くから「カミサマ」と呼ばれる存在を祀っており、村民の全員が(少なくとも、表向きは)敬虔なカミの信者である。
皆がカミに対して感謝や敬愛、深い信仰を抱いており「その庇護のもとで自分たちは生きている」と皆疑いなく信じている。
しかしながら、その「カミサマ」がどこから来たのか、どのような存在なのか、いつからその信仰があるのかを、誰も言葉にすることができない。
カミの名さえも既に失われているが、その存在と信仰は僅かな口伝、祈りの所作、不意の仕草、そして――異様な習俗として残っている。
・出身村落である「龍ヶ淵村」について
日本某所・山奥にある村で、土地の大半は山野である。
崖上の僅かな土地が人間に許された「人の生活する土地」であり、崖を隔てた先、広大な山野は全て「カミの領域」であり、許可なく立ち入ることを許されない土地である。
殊に崖下に見下ろせる霧の立ち込める沢(と、久瀬・彰は供述したが、調査員による確認ではこの「霧」は確認されていない)は古くからカミの坐す「禁足地」と定められており、村民の立ち入ることは、唯一の例外を除いては罷りならない土地であるという。
(※この「唯一の例外」が、「おくり」と呼ばれる人身供犠であり、この生贄として立つ者だけはその領域に(勿論、死して)立ち入ることを許される)
機械技術や新物質を利用した技術は(少なくとも、久瀬・彰が村落に暮らしていた頃は)普及しておらず、前時代的な暮らしが比較的罷り通っているという。
・「おくり」の儀式
前述するように、この呼称で示されるものはいわゆる人身供犠である。
崖下の沢に坐すと云われる「カミサマ」へ生贄を捧げる儀式であり、その手法は崖上から巫(あるいは、巫女)の手によって犠牲者を突き落とすという原始的極まりないものである。
久瀬・彰の曰くによれば、彼の曾祖母は「供を求めて死を振りまくカミを鎮めるため、カミを敬愛する者を人柱として立てる」儀式であったと語ったとされる。
しかしながら、近年は村八分の者や掟を侵した者、不都合な余所者などを体よく消すための都合の良い「私刑のシステム」として機能していた側面が大きいと、久瀬・彰自身は述懐する。