本名：花森剣人。東城大学芸術学部アート学科に所属する大学一回生(19歳)。いわゆるADHDであり、そのことから社会や人間関係の持つ圧力、それに対処できない狭量な自我そのものに困難や違和感を抱き、小中学校を一時期不登校となっていた過去を持つ。そのため自分のような思いを他の人にはしてほしくない、或いは誰かの力になれればという一念から、高校時代から社会福祉を専攻していた。しかし、自身に対しても他者に対しても、客観的な視点を持つことや相手の事情を真に理解するより、その感情を押し付けてしまう結果となることが多く、やがて不完全だったそのアイデンティティと精神は自壊。精神科への入院を余儀なくされる。その際の作業療法で絵を描いてみたとき、自身を”自己表現したかった人間”と考えるようになり、芸術関係の勉強をしていた。そのため退院後は高校を一年遅れかつ本人曰く「最悪の成績」で卒業。現在に至る。
　それまで迷惑をかけた家族に申し訳ないという思いから、現在は実家から離れて暮らしている。仕送りもなるべく少なく済むようバイトも始めた。日々忙しく困難は多々あるも、なるべく落ち着いて生きていけるよう努めて過ごしていた彼だったが、仮初の平穏は突如として崩れ去ることとなる。“理を越えた花”と“蝕む異形”、そして“温みを抱き続けた■■■”によって———

たとえ綺麗事では生きられなくても


それでも