これは私たちが紡いだ希望の物語  No. version 73

2022/04/21 11:38 by someone
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流星と焔 No.1 1/2
朝憬市望海町に異形の怪物が出現した——。燎星心羽の下にその報せが届いたのは、2021年4月12日の午後3:20過ぎのことだった。
朝憬市望海町に異形の怪物が出現した——。燎星心羽の下にその報せが届いたのは、2020年4月12日の午後3:20過ぎのことだった。
朝憬市立望海中学校で化学Ⅰの授業を受けていた彼女のブレスレットが淡く光る。それは心羽の従者からの合図。気は張っていたが、よもや授業中に合図が来るのは想定外だった。慌ててブレスレットをしていた右手首を、制服であるブレザーの袖に竦めるように隠す。
”もう、何で今なの…——”
話の聞き取りやすい化学の担当教師の飯山と、の授業内容を好ましく思っていた心羽は、不意を突かれた思いだった。しかし余程のことでない限り、従者が心羽の生活を害することはない。それ程の状況である以上、動かないわけにもいかない。心羽はおずおずと飯山に言った。
話の聞き取りやすい化学の担当教師の飯山と、の授業内容を好ましく思っていた心羽は、不意に起こった急要する事態に面食らった。しかし余程のことでない限り、従者が心羽の生活を害することはない。それ程の状況である以上、動かないわけにもいかない。心羽はおずおずと飯山に言った。
「あの、先生すみません…」
「燎星さん、どうしたの?」
おっとりとした女性である飯山の優しい声が続いて響く。その目は心羽の様子を窺っていた。
「ちょっと気分が良くなくって…」
ブレザーの袖と共に右手首を左手で抑え、辛うじて言葉を続けるも気まずさに最後は言い淀んでしまう。
「こっちゃん、大丈夫?」
「保健室、一緒に行こうか?」
自身の隣の席に座っていた親友の安純日菜と中川香穂の二人が、心羽の様子を窺いながら言った小声に、「ううん、大丈夫」と返す。しかし周囲の生徒の注目を浴びつつ、嘘をつかねばならぬ状況を心羽は恨めしく思って俯いた。飯山の目にはそれがどう映っただろうか。
「そう、時間も時間だけど…」
「早退でも、いいですか?」
こちらの意図をそれとなく汲んでくれたのか、渡りに船の思いで言った心羽の言葉に飯山は「しょうがない」と前置きして応じた。
「担任の羽原先生には…」
「私達が伝えとく。先生、いいですか?」
言い飯山の言葉日菜と香穂反応す「わ。じゃあ二人そうしてもらって」
日菜と香穂反応と、飯山にからの承諾に心羽は胸を撫で下ろす。
「ありがとう、ごめんね…先生、失礼します」
心羽は親友二人飯山申し訳なさと感謝を挨拶に交えて伝え、静かに理科室を抜け出した。
それ同時に申し訳なさと感謝を挨拶に交えて伝え、心羽は静かに理科室を抜け出した。

そのまま自身の教室である2年A組に置いた荷物を取り、心羽は周囲に気を払いつつも校舎の屋上へと駆け上がっていく。そうして屋上の出入り口の戸を開けると、従者は既にそこに居た——正確には屋上の鉄柵に留まっていた。
そのまま自身の教室である2年A組に置いた荷物を取り、心羽は周囲に気を払いつつも校舎の屋上へと階段を駆け上がっていく。そうして屋上の出入り口の戸を開けると、従者は既にそこに居た——正確には従者である梟は屋上の鉄柵に留まっていた。
「お嬢様、エクリプスです!」
「こんな時間からなの!?」



      

朝憬市望海町に異形の怪物が出現した——。燎星心羽の下にその報せが届いたのは、2020年4月12日の午後3:20過ぎのことだった。
朝憬市立望海中学校で化学Ⅰの授業を受けていた彼女のブレスレットが淡く光る。それは心羽の従者からの合図。気は張っていたが、よもや授業中に合図が来るのは想定外だった。慌ててブレスレットをしていた右手首を、制服であるブレザーの袖に竦めるように隠す。
”もう、何で今なの…——”
話の聞き取りやすい化学の担当教師の飯山と、その授業内容を好ましく思っていた心羽は、不意に起こった急を要する事態に面食らった。しかし余程のことでない限り、従者が心羽の生活を害することはない。それ程の状況である以上、動かないわけにもいかない。心羽はおずおずと飯山に言った。
「あの、先生すみません…」
「燎星さん、どうしたの?」
おっとりとした女性である飯山の優しい声が続いて響く。その目は心羽の様子を窺っていた。
「ちょっと気分が良くなくって…」
ブレザーの袖と共に右手首を左手で抑え、辛うじて言葉を続けるも気まずさに最後は言い淀んでしまう。
「こっちゃん、大丈夫?」
「保健室、一緒に行こうか?」
自身の隣の席に座っていた親友の安純日菜と中川香穂の二人が、心羽の様子を窺いながら言った小声に、「ううん、大丈夫」と返す。しかし周囲の生徒の注目を浴びつつ、嘘をつかねばならぬ状況を心羽は恨めしく思って俯いた。飯山の目にはそれがどう映っただろうか。
「そう、時間も時間だけど…」
「早退でも、いいですか?」
こちらの意図をそれとなく汲んでくれたのか、渡りに船の思いで言った心羽の言葉に飯山は「しょうがない」と前置きして応じた。
「担任の羽原先生には…」
「私達が伝えとく。先生、いいですか?」
「わかった。じゃあ二人にそうしてもらって」
日菜と香穂の反応と、飯山にからの承諾に心羽は胸を撫で下ろす。
「ありがとう、ごめんね…先生、失礼します」
それと同時に申し訳なさと感謝を挨拶に交えて伝え、心羽は静かに理科室を抜け出した。

そのまま自身の教室である2年A組に置いた荷物を取り、心羽は周囲に気を払いつつも校舎の屋上へと階段を駆け上がっていく。そうして屋上の出入り口の戸を開けると、従者は既にそこに居た——正確には従者である梟は屋上の鉄柵に留まっていた。
「お嬢様、エクリプスです!」
「こんな時間からなの!?」