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第一章 1話プロット
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1話の大まかな流れ。 シーン1 「光降る街」 梯子を登り、屋根裏から屋上に出る心羽。星々を眺め静かな夜の風にあたる。心羽はこの秘密の時間に、日々の出来事を夜空に語りかけるように呟く。 「こんばんは〜お空さん。今日は音楽団の練習に行ったんだけど、なかなか上達しないところがあって…」 「…こんな調子で上手くなるのかな、ちゃんと一人前の大人になれるのかな…」 「…って、どうせ聞いてないよね…」 子供の頃は、星が語りかけているような気がして、よく空とおしゃべりしていた。しかし心羽はもう14歳。空と会話なんて出来るわけないことをとっくに理解できる年齢になっていた。 「まあ、また明日もくるから…えっ」 空との会話を諦めて梯子を降り、部屋に戻ろうとしたその時、星々が瞬いた。 「『近い未来、空は消滅する』…?えっどういうこと!?」 心羽はその星々の瞬きを、一瞬で読み解いた。 「『星の力が何者かに悪用されている。このままでは世界が危ない』…!?お空さん、それじゃあ私はどうすれば…」 「『間もなく、星の力が地上にばら撒かれてしまう。これはもう止められない。その力を使って、空の消滅を防いでほしい』…?」 その時、空の一点が激しく光り、そこから七色に輝くいくつもの星が流星のように街に降り注ぐ。 「お空さん!大丈夫!?」 しかし、星はもう瞬かない。 「…わかった。私にまかせて!なんとかやってみる!」 そう告げると心羽は梯子を降り、家の外へと飛び出すと、降り注がれる7色の光を目で追いながら走り出した。 シーン2 「魔法の王国」 朝。目が覚め、あれは夢だったと落胆する心羽。詩乃と他愛もない会話を交わし、支度をすませて街へ出かける。 ルクスカーデンと呼ばれるこの街で、人々は【揮石】という魔法の道具を使って生活している。魔法によって彩られたこの街は人間と自然が共栄し、平和で豊かな時間が流れる。街の人も穏やかで優しい人が沢山いる、この街が心羽は大好きだった。 商店街を抜け、大通りを跨いでその先の脇道を進むと、アレグロ音楽団の集会所が見えてきた。 シーン3 「アレグロにて①」 「あっ心羽、おはようー」 「おはようございまーす」 入口で早くから来ていたメンバーとすれ違い、準備室に向かう。準備室の棚の下に荷物を置き、上から楽器ケースを取り出す。 「今日はまだ5人かぁ…これから集まるといいな」 荷物の数を数え、集まっているメンバーを把握する。 「あっはるちゃんも来てる!」 遥香のバッグを目にすると、楽器ケースを持って石造りの階段を上がり、3階のベランダに向かう。いつもの場所でアルトサックスを吹いている遥香を見つけると、小走りで遥香のもとに向かった。 「おはよーはるちゃん!」 「こっちゃんおはよー」 心羽は遥香の隣に座ると、楽器ケースからトランペットを取り出した。 「今日は人が少ないね。いつもならこの時間にはみんな来てるのに」 話しながら、心羽はトランペットに息を通して冷えた金属の管を温める。 「この人数じゃ合奏は無しかぁ…」 寂しそうに呟く心羽に、遥香が言及する。 「なんか昨日の夜、流れ星が落ちてきたらしくて」 「あーそれ知ってる!私も見たよ!空がぱあっと光ってー…」 「ハイハイ落ち着いて。わかったから。それでね…」 遥香は心羽に状況を説明した。 「うちの宗教の偉い人が残した大予言?と昨日の流れ星がぴったり重なって、今朝起きたらうちの教会にたくさん押しかけてて」 「それで、あまりの人数にびっくりしちゃって、アレグロに逃げてきたの」 「へぇーそうだったんだ…でもそれってどんな予言なの?」 「なんか悪いことが起こるんだって。詳しくは知らないけど」 「知らないんだ…はるちゃん教会のシスターなのに」 「信じてないからね…予言も宗教も。さあさあ、練習戻るよ!」 「そうだった」 2人は各々の楽器を構え、基礎練習を始めた。 シーン4 「アレグロにて②」 心羽と遥香がいつも練習場所にしている三階のテラスからは、集会所の玄関からロビー、中庭までを見渡せる。 「あっ広夢さん達だ」 「ほんとだ」 2人が練習を始めてしばらく経った頃、アレグロ音楽団長の広夢とメンバー数人が玄関から入ってくるのが見えた。 「だいぶ慌ててたね」 「どうしたんだろう」 程なくして、広夢が息を切らしながら三階のテラスにやってきた。 「おはよう遥香、心羽。遅くなってすまない」 「おはようございまーす」 「どうしたんですか?そんなに慌てて」 広夢は影魔が出現したため遅くなったことを伝えた。 「影魔に襲われた!?」 「いやいや、俺たちは襲われてないよ。だけど辺り一帯の通路が通行止めになっちゃって」 「それで他のみんなも遅れちゃったんですね…」 「でもみんな無事でよかったぁー!」 「ああ。今日は昼から合奏だ」 2人にそう伝えると、広夢は階段の方へ戻っていった。 シーン5 「カフェ・すてらにて」 午前の練習を終えて昼休憩に入った心羽と遥香は、カフェ・すてらに移動し軽い昼食をとる。2人は楽団のことから世間話まであらゆる話題を口にしながら、穏やかな昼のひとときを過ごす。 「この街にも影魔が出るなんて、ちょっと信じられないよね」 「」 「」 「…それでさー、今朝はるちゃんが言ってた流れ星の話、あれってホントなの?」 「え?こっちゃんさっきは知ってるって言ってたよね?」 「知ってるっていうか、見たのは見たんだけど…」 心羽は遥香に昨夜の出来事を話す。 「あっはは!おっかしー!空が喋るなんて、そんなことあるわけないじゃん!」 あまりに非常識な話に、遥香は思わず爆笑してしまう。 「もーほんとだよ!信じてよー」 「それで?流れ星を拾いに行った?」 「う、うん…」 自分が言ったことのおかしさに気付き、恥ずかしくなる心羽。 「それなら確かめてみようよ」 「えっ?」 遥香はカフェモカの最後の一滴を飲みほすと立ち上がった。 「流れ星を探しに行くの」 シーン6 「流れ星が落ちた場所」 カフェ・すてらでの会計を済ませて外へ出てきた2人は、心羽の昨晩の記憶を頼りに近くの森林公園へと向かう。 「そこからは覚えてないの?」 「うーん…森林公園に来たことまでは覚えてるんだけど、そっからどーだったっけ…」 昨晩の出来事をはっきりと思い出せず、心羽は頭を抱える。 その時、「影魔が出たぞー!」と男性の叫ぶ声が公園中に響きわたり、辺り一帯に緊張感が走る。 「影魔…!?」「うそ、こんな街中に!?」「とにかく逃げるぞ!」 周囲が騒然とするなかで、遥香も心羽に「逃げるよ!」と呼びかけるも、心羽は声のした方角をじっと見つめていた。 「ちょっと!こっちゃん!どうしたの!」 「…思い出した」 「えっ?」 「流れ星が落ちた場所、この先の広場にある光のモニュメントの側に…」 「それって影魔が出たって声がした方じゃん!今は逃げよう!」 モニュメントのある、影魔のいる方へ向かう心羽に遥香は必死に呼び止めるが… 「ごめん、はるちゃんは先に逃げてて。わたしはお空さんとの約束があるの」 心羽はそう告げると、流れ星を見たあの場所へと走り出してしまった。 シーン7「我にオモイを込めし時」 広場に着いた心羽は、モニュメントの側で眩しく輝く光が落ちているのを見つける。 その光を拾い上げ、手のひらに乗せると、大きな宝石が埋め込まれたペンダントが現れた。 「これが、お空さんの言っていた星の力…?」 ペンダントを注意深く観察していると、宝石の球面に星空が浮かび上がった。 『我にオモイを込めし時、我が力は汝のものとなる』 心羽は浮かび上がった星空の瞬きを直感的に読み解いた。 「これって…」 その瞬間、近くで物が崩れる音がし、悲鳴が聞こえてきた。思わずそちらに目を向けると、体長2メートルはある黒ずんだ怪物=影魔が、茶髪の青年を襲っているのが見えた。 「やめろ!近付くな!」 「ふん…生意気なガキが」 (あの人もしかして、影魔が出たことを大声で知らせてくれた…?) 影魔は黒光りする爪で付近のレンガを切り崩し、青年を追い詰める。青年は瓦礫に足をとられて動けない。影魔の鋭い爪が振りかぶられる。次の瞬間に起こりうる出来事を、心羽は絶対に食い止めたかった。 (お願い、私に力を貸して…!) シーン8「汝のオモイ」 全てがスローモーションにみえた。 ペンダントを握りしめた心羽は全力疾走し、すんでのところで影魔と青年との間にすべり込んだ。 青年に向けて振り下ろされた鋭い爪は青年ではなく、間に入った心羽の身体を引き裂いた…かと思われた。 振り下ろされた爪は心羽の右腕が受け止めていた。その右腕は光のオーラを纏い、影魔の攻撃を弾き返した。 「なにっ…!?」 影魔は驚愕するも、すぐに心羽の横腹を蹴り込んで脇にどけ、再び青年に爪を振り下ろす。 蹴られた衝撃で倒れ、今度こそ止められない次の光景に、心羽は必死で叫び、手を伸ばした。 「だめー!」 その時、心羽の脳内に直接、何者かの声が聞こえてきた。 『汝のオモイ、受け取ったぞ』 次の瞬間、心羽の右腕から衝撃波とともに、大きな赤い鳥が飛び出してきた。赤い鳥は影魔を目掛けて一直線に飛んでいき、体当たりをして吹き飛ばした。 「い、今のは…?」 心羽は今自分がなにをしたのかわからず困惑するが、ひとまず青年を影魔から守れたことに安堵する。 『我が名はエウィグ。汝のオモイが我を解放した』 赤い鳥は、心羽の脳内に直接話しかけてくる。よく見るとその姿は実体のない炎でできていた。 「エウィグ…?エウィグって私が小さい頃の…!」 心羽は聞き馴染みのあるその響きに、思わず子供のように高揚するが… 『落ち着け汝。今はそれどころではない』 エウィグにそう言われて心羽はハッとし、影魔の方を見る。 影魔はエウィグに吹き飛ばされ、体勢を立て直している最中だった。 『我が力は汝のものだ。汝に“変身”を教えよう』 「我が力は汝のもの…?そういえばさっき、『我にオモイを込めし時…』って言ったのもあなた?」 『そうだ。そのペンダントに汝がオモイを込めたから、我は開放された』 「それで、変身って?」 『さっきと同じだ。我はペンダントの中に戻るから、もう一回やってみろ』 エウィグはそういうと、心羽の指の間をすり抜けてペンダントの中に入っていった。 「さっきと同じって言われても…」 心羽は自分がなにをしたのか、イマイチわかっていなかった。 「なんだお前。せっかくのお遊びタイムを邪魔しやがって」 声のする方へ顔を向けると、体を起こした影魔が冷たい視線で心羽を睨んでいた。 「先にお前から潰してやってもいいんだぜ」 影魔は心羽にじわじわと詰め寄る。心羽はペンダントをぎゅっと握りしめ、先ほどのことを繰り返す。 (ペンダントにオモイを込めし時、その力は私のものになる…) 「私はこの街を守りたい!お願い力を貸して!」 『上等だ。汝のオモイ、受け取ったぞ』
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