リーン(暴走強化形態) version 17

2023/01/07 16:53 by someone
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青年
ある夜、美しい星空の下、旅人の少女を見つけた青年。
かつて正義の味方という夢を騙りながら、自らの無力に心砕けた者。
少女と通じ合ったことで、絆の証として、ある”腕輪”を手渡される。

これをそれまでの自身への報酬とし、”独りよがりの優しさ”を置いて数年――。

倦怠は、彼自身の内を虚ろに変えていた。
しかし平穏だった日常は、突如現れた怪物によって破られる。
その時、少女との絆の腕輪は彼に”星の羽衣”を与え、その運命の導きとなる。
青年は事の先に、何を見るのか。
少女との優しさにもう一度会えるのか。

―――――――――――――――――――――――――

星の羽衣
少女との邂逅の夜、彼女から手渡された腕輪は、皮肉にも青年の心にあった憬れを実体化させる。腕輪から溢れた光は、神秘で構成された衣となり、彼の身はこれを纏う。そしてその剣で魔を祓っていく。
憬れ——かつて青年が憧れた正義の味方たち。その原点である烏天狗と骸骨。
何処かそれを思わせる、変化した自身の姿を、彼は自嘲するしかなかった。
”よりにもよって…どうしろってんだ、くそ――。”

しかし、やがて怪物騒ぎは周囲の人間も巻き込んでいく。辛くも対処できるのは自分のみ。そこに高尚な精神などなく、刃に宿る業に青年の手は縮み上がり、その足は竦む。
「葛藤しようが信念持とうが、必要なのは対処だ」
それでも尚、胸に秘すは自身に力と絆を与えた、あの少女の温み。事の狭間に見え隠れする彼女の姿を、今はただ追う。
あの日、自身の夢にとどめを刺したもの――。あの時彼女の背負っていた物語に、疼く痛みを抱えながら。

―――――――――――――――――――――――――

煌輪アイギス
少女から青年に手渡された魔法の腕輪。
"憬れ"と"繋ぎ"の星光結晶(憬晶石と繋晶石)を宿す。
「この夜にあなたが私に優しくしてくれたこと、覚えててね――」
「…君がとても綺麗な人だってことなら、覚えとくよ」
アイギスに触れ、思い返されるは少女と自分自身の言葉。その手の温み。自分に優しさというものがあったとして、最早崩れ去ろうとしていた矢先では、そんな日和った返ししかできなかった。
その結晶から放たれる光――憬れを紡いだ衣は、あの言葉に応えられなかった自身に与えられた罰か。
しかしそれ以上は考えを振り払う。彼女は濡れた瞳を伏せながら、それでも彼女自身の事より、僕のことを思ってくれていた。
少なくともそんな彼女のくれた優しさを、罪悪感で受け取るなど…
「それこそ、ふざけた話だ」
救いを夢み、無力に涙し、苦悶に膝を着いて、心は砕けた。しかし星は未だ瞬く。光に惹きつけられるこの命はまるで羽虫か。しかし仮に無様であろうとも、羽虫は世界を棄てられぬ。まだそこにある星の光を棄てられぬ。
「私たちが友達になったこと、どうか忘れないで――」
思い出されたその心に、アイギスは共振する。その熱に、青年は少女と手を繋いだ時を思った。
      

ある夜、美しい星空の下、旅人の少女を見つけた青年。
かつて正義の味方という夢を騙りながら、自らの無力に心砕けた者。
少女と通じ合ったことで、絆の証として、ある”腕輪”を手渡される。

これをそれまでの自身への報酬とし、”独りよがりの優しさ”を置いて数年――。

倦怠は、彼自身の内を虚ろに変えていた。
しかし平穏だった日常は、突如現れた怪物によって破られる。
その時、少女との絆の腕輪は彼に”星の羽衣”を与え、その運命の導きとなる。
青年は事の先に、何を見るのか。
少女との優しさにもう一度会えるのか。

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星の羽衣
少女との邂逅の夜、彼女から手渡された腕輪は、皮肉にも青年の心にあった憬れを実体化させる。腕輪から溢れた光は、神秘で構成された衣となり、彼の身はこれを纏う。そしてその剣で魔を祓っていく。
憬れ——かつて青年が憧れた正義の味方たち。その原点である烏天狗と骸骨。
何処かそれを思わせる、変化した自身の姿を、彼は自嘲するしかなかった。
”よりにもよって…どうしろってんだ、くそ――。”

しかし、やがて怪物騒ぎは周囲の人間も巻き込んでいく。辛くも対処できるのは自分のみ。そこに高尚な精神などなく、刃に宿る業に青年の手は縮み上がり、その足は竦む。
「葛藤しようが信念持とうが、必要なのは対処だ」
それでも尚、胸に秘すは自身に力と絆を与えた、あの少女の温み。事の狭間に見え隠れする彼女の姿を、今はただ追う。
あの日、自身の夢にとどめを刺したもの――。あの時彼女の背負っていた物語に、疼く痛みを抱えながら。

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煌輪アイギス
少女から青年に手渡された魔法の腕輪。
"憬れ"と"繋ぎ"の星光結晶(憬晶石と繋晶石)を宿す。
「この夜にあなたが私に優しくしてくれたこと、覚えててね――」
「…君がとても綺麗な人だってことなら、覚えとくよ」
アイギスに触れ、思い返されるは少女と自分自身の言葉。その手の温み。自分に優しさというものがあったとして、最早崩れ去ろうとしていた矢先では、そんな日和った返ししかできなかった。
その結晶から放たれる光――憬れを紡いだ衣は、あの言葉に応えられなかった自身に与えられた罰か。
しかしそれ以上は考えを振り払う。彼女は濡れた瞳を伏せながら、それでも彼女自身の事より、僕のことを思ってくれていた。
少なくともそんな彼女のくれた優しさを、罪悪感で受け取るなど…
「それこそ、ふざけた話だ」
救いを夢み、無力に涙し、苦悶に膝を着いて、心は砕けた。しかし星は未だ瞬く。光に惹きつけられるこの命はまるで羽虫か。しかし仮に無様であろうとも、羽虫は世界を棄てられぬ。まだそこにある星の光を棄てられぬ。
「私たちが友達になったこと、どうか忘れないで――」
思い出されたその心に、アイギスは共振する。その熱に、青年は少女と手を繋いだ時を思った。