4.5.悪魔と神父 version 2

2023/03/14 17:41 by someone
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白紙のページ4.5.悪魔と神父
"餌"を食わせに放った使い魔ーー影魔の生体反応が消えた。
黒コートの男がそれを察知し、自らが行動を起こしたのは、花森健人が今一度彼らの襲撃を受けた日から数えて3日前のことだった。

「とんだイレギュラーだな」
黒コートに声をかける人影。町外れの廃墟ビルの一室で対する両者の目は、互いを認めることはない。
「早速嗅ぎ付けたか」
「孤高を気取る貴殿と私とでは違うよ。"傭兵"気取りの悪魔殿」
「…なら情けでもくれるか?クソ"神父"」
黒コートはその精悍な顔を、あくまで虚空に向けつつ、現れた壮年の神父の尊大さを皮肉った。だが神父は構わず言葉を続ける。
「思考まで弛んだと見える。兵が死ぬわけだ」
「御託はいい、要件を言え」
「貴殿、当てはあるのか?」
解答の判りきった問いだ。黒コートは窓際から鼻を鳴らす。対して神父は部屋中央のソファに音を立てて座った。袖から一枚の羊皮紙を取り出すと、デスクの埃の上に置く。
「たれ込みだ。"閣下様"の差し金だよ」
「回りくどい真似を」
「全くだ。だが"これ"は無視できん」
瞬間、黒コートは僅かながら羊皮紙に意識を向けた。神父は目の端でその仕草を捉えつつソファから立ち上がる。
「そして事は貴殿の管轄で起きた。ならばヴェムルアーー」
「俺の領分だ。管轄だ咎だ、ハナから知ったことか」
交錯する視線と沈黙。神父に向き直ったヴェムルアの黒コートがたなびいた。互いに憮然ながら、その目は相手を射殺さんとしている。
「厚顔無恥とは良く言ったものよ」
捨て台詞にそう告げて、神父は姿を消した。
部屋にはヴェムルアと、デスクの上にある羊皮紙だけが残った。
その折り目を解き、"差し金"の内容を改めると、ヴェムルアはその目を見開いた。

"此度の影魔殺しは彼の秘宝持つ者による"
"早急に対処されたし 猶予はない"
      

"餌"を食わせに放った使い魔ーー影魔の生体反応が消えた。
黒コートの男がそれを察知し、自らが行動を起こしたのは、花森健人が今一度彼らの襲撃を受けた日から数えて3日前のことだった。

「とんだイレギュラーだな」
黒コートに声をかける人影。町外れの廃墟ビルの一室で対する両者の目は、互いを認めることはない。
「早速嗅ぎ付けたか」
「孤高を気取る貴殿と私とでは違うよ。"傭兵"気取りの悪魔殿」
「…なら情けでもくれるか?クソ"神父"」
黒コートはその精悍な顔を、あくまで虚空に向けつつ、現れた壮年の神父の尊大さを皮肉った。だが神父は構わず言葉を続ける。
「思考まで弛んだと見える。兵が死ぬわけだ」
「御託はいい、要件を言え」
「貴殿、当てはあるのか?」
解答の判りきった問いだ。黒コートは窓際から鼻を鳴らす。対して神父は部屋中央のソファに音を立てて座った。袖から一枚の羊皮紙を取り出すと、デスクの埃の上に置く。
「たれ込みだ。"閣下様"の差し金だよ」
「回りくどい真似を」
「全くだ。だが"これ"は無視できん」
瞬間、黒コートは僅かながら羊皮紙に意識を向けた。神父は目の端でその仕草を捉えつつソファから立ち上がる。
「そして事は貴殿の管轄で起きた。ならばヴェムルアーー」
「俺の領分だ。管轄だ咎だ、ハナから知ったことか」
交錯する視線と沈黙。神父に向き直ったヴェムルアの黒コートがたなびいた。互いに憮然ながら、その目は相手を射殺さんとしている。
「厚顔無恥とは良く言ったものよ」
捨て台詞にそう告げて、神父は姿を消した。
部屋にはヴェムルアと、デスクの上にある羊皮紙だけが残った。
その折り目を解き、"差し金"の内容を改めると、ヴェムルアはその目を見開いた。

"此度の影魔殺しは彼の秘宝持つ者による"
"早急に対処されたし 猶予はない"