これは私たちが紡いだ希望の物語 プロット 【A】 version 19
これは私たちが紡いだ希望の物語 プロット
### 〇第一章 “リーン”
大学生の花森健人は、日々を適当に過ごしながら《平凡》で《穏便》な生活を送っていた。ふとしたきっかけで耳にした“怪物”、そして“赤髪の魔女”という非日常的でオカルトチックなワードが少し気になっていると、心の奥深くにある絶望を狙う悪魔が健人の前に現れる。なす術のない健人は悪魔に胸を貫かれ、想像を絶する痛みと苦しみから健人の脳裏を走馬灯が駆け巡る。しかし、あの展望台の灯りが過った時、あの時のような暖かい光が刺し貫かれた健人の胸から放たれる。胸の光は白き鴉を象った人型の異形へと形を変え、健人の前に現れる。自らを「ネーゲル」と名乗るその白鴉は、健人に加勢して悪魔と戦い、追い払うことに成功する。
気付くと健人の体は、鍬形虫を模した異形の姿となっていた。ネーゲルに手ほどきを受けて元の姿に戻ると、ネーゲルも再び白い光となって健人の胸の中に入り込んでしまった。
(以後未確定)
・ネーゲルはあの悪魔を総括して「エクリプス」と呼び、絶望を糧に栄える種族だということや絶望させた対象を宿主と呼ぶことなど、エクリプスについて知りうる一部を健人に告げる。ネーゲル自身もエクリプスのひとりなのだが、“謎の呪い”にかけられてなぜか白い体色になった上、宿主の身体から出られないと言う。ただし、健人が変身すると一時的に外へ出て自由に動けるようになる。
・しかしエクリプスがどこから来たのか、何が目的なのかネーゲルは知らないという。もちろん、“赤髪の魔女”についても。
・健人が変身していない間、ネーゲルは健人の脳内に直接呼びかけてくる。そのため、ネーゲルが健人以外の他者と話せるのはリーンの変身中のみ。
・健人と同じ大学、友人の横尾和明は自身の恋人が巻き込まれた怪事件を追っているうちに健人の正体を目撃し、やがて健人とともに怪事件調査班を立ち上げる。
・怪事件を追う中で、健人の変身態「リーン」をエクリプスと勘違いした“赤髪の魔女”に襲われる。しかし、人々を庇いながらエクリプスと戦う魔女の姿に、健人は魔女を敵対視しなかった。
その後も何度か魔女がエクリプスと戦っている場面に遭遇し、和明の提案もあり魔女と接触してみることに。魔女からはエクリプスの気配を察知され警戒されるも、前回ただ逃げるだけで攻撃の意思を示さなかったリーンの様子を思い出したリュミエは、話に応じることに。
・魔女は名をリュミエ、連れている使い魔をエウィグという。エウィグは「“部外者”に教えられる情報は少ない」と言い二人を拒絶するが、リュミエは二人の力になれるならと、話せる範囲でエクリプスの情報を開示する。
・しかし、リュミエ自身に関する質問にはまともに答えてもらえなかった。
「私? 私は……この街と人が大好きなただの魔法使いです」
### 〇第二章 “燎星心羽”
燎星心羽は中学生として過ごしながら、裏でリュミエとしてエクリプスと戦い人々を絶望から守る、二重の生活を送っていた。そんな中、エクリプスの気配を纏う人間———「花森健人」と出会う。イレギュラーな白いエクリプスをその内に飼うという奇妙な構造の謎を健人自身と共に追いながら、ただ守られるだけの一市民ではなく、肩を並べて共に戦う唯一の仲間として、次第に距離を縮めていく。
・怪事件調査班の協力者としてレストランでの会議に参加した際、初めて燎星心羽の姿で健人たちの前に現れる。この時に心羽は自分がリュミエであることの秘匿を二人に約束させる。
・心羽は「魔法を使うけど星を見るために都会からやってきた普通の人間」だと嘘の自己紹介をし、自身の本当の出自を伏せようとした。
・健人が燎星心羽と初めて接触した時、ネーゲルは「こいつの魔力、どこかで…」と健人脳内で発言しており、その正体は定かではないものの、身に覚えのあるような様子を見せる。
・後日、比較的上位のエクリプスと遭遇した際に「なぜお前のような魔法使いがここに…」と問われる。リュミエとリーンは応じることなく撃退するが、戦闘後健人からそのことを聞かれ、健人になら話してもいいと思えた心羽は、自身が宇宙人であることやここに来た経緯、そして過去に何が起こったかを全て話した。
「あの時嘘をついたのは…人間じゃないって思われたくなかったから。お願い、このことは二人だけの秘密にしておいて…」
・心羽の普段と違う弱さを見た健人は、その面影を二年前に会った“展望台の少女”と重ねてしまう。しかし、普段の心羽とのギャップや、(展望台の少女は)魔法など無縁の普通の少女だったことなどの理屈を並べ、偶然だ、別人だと自身に言い聞かせる。そうでもしないと、心羽に庇護欲と想いを抱いてしまいそうだから…
### 〇第三章 “花森健人”
・秘密を打ち明けてからの心羽はどこか晴れやかになり、健人に二人きりで食事を誘ったり、お互いのプライベートな話題も共有するようになる。健人の庇護的な想いなどつゆ知らず。
「心羽ちゃんは…どうして戦うの?」
「んー…やっぱり、大好きなこの街を守るためかな。戦うのはつらいし苦しいけど、素敵な人たちの優しさや笑顔に触れると、元気が出てまた頑張ろうって思えるんだ。健人くんはどうして?」
「俺には、心羽ちゃんみたいな大層な理由はないよ。昔からなにも出来ない、誰も救えない弱い人間だったからさ…」
「そんなことないよ!健人くんに救われてる人だって、きっといるはず!」
「そう…かな。慰めならいいよ、ありがとう」
「ううん!絶対いるよ!信じて…!」
・この頃から健人は心羽との別れ際、帰り道に極わずかな雪を見るようになる。季節的にも天候的にも有り得ない状況下でに降る雪に、健人は疑問を抱かざるを得ない。ネーゲルはこの雪から温かみのある魔力を察知しており、「やけに暖かい雪じゃの」と口にする。
・地球での侵略に苦戦していることを知ったエクリプス本部は、地球に更なる部隊、“銀冠(シルバークラウン)”を派遣する。彼らはエクリプスの中でも戦闘慣れした精鋭たちであり、対峙するリュミエやリーンを苛烈な戦いへといざなう。
・リュミエは彼らに炎魔法の暴走強化形態「インフェルシア」をもって対抗する。一方でリーンは成す術がなく、共に戦ってもリュミエを守れないどころか、自分への攻撃をリュミエに庇われ余計な怪我を負わせてしまう場面も。非力な自分がいることでリュミエが傷つくことを懸念したリーンは、リュミエとの共闘を拒む。
「ごめん。やっぱり俺は迷惑をかけてばかりだ。誰も守れない」
「そんなことない…ちゃんと守れてるよ…お願い信じて…」
・健人は改めて自分の立場を思い出した。本当はただ穏便に、平穏に過ごしていただけだった。ある日突然襲われ、巻き込まれ、自分の体に起こった謎を突き止めようと動くことにはなったけれど、いつから心羽や誰かを守ろうなどという傲った考えを持つようになっていたのだろうか。
「おい…心羽ちゃんのそばに居てやらんでええのか?」
「…………お前も早いとこ、俺の中から出てってくれ」
・無力感に囚われ、一般人として平穏な生活を再び送り始めた健人。数日を経て、重々しい雰囲気のエウィグが健人の前に現れた。「お嬢様が連れ去られました———」俯いたまま告げられた言葉は、健人に重くのしかかった。
・エウィグによると、インフェルシアを使いすぎたリュミエは自身の炎を浴びて満身創痍になり、ふらふらの状態でなお戦いを続け、交戦していたエクリプス第一部隊隊長に胸を刺し貫かれて意識を失い、変身解除されて異空間に送り込まれたという。その異空間とは、エウィグの見立てではエクリプスの本拠地、「ノクスケイデン」ではないかとされる。
・エウィグの懇願を受け、健人たちは心羽救出作戦を計画。一刻の猶予を争うため決行は今夜22時、朝憬市御翳町(みかげちょう)の巨大製糸工場跡地にて待ち合わせをすることに。
・しかしエウィグとの別れ際、リュミエは恐らく洗脳され奴隷兵士になっているか、運が悪ければ既に死んでいるかもしれないこと、そもそも敵の本拠地に乗り込むという時点で生きて帰れる保証は全くないことを告げられ、健人は怖気付く。あまりにも勝算のない無謀な作戦なのは、3人とも分かっていた。
「無謀な頼みなのは承知です。もしお覚悟が決まらず22時までに健人殿がお見えにならないようであれば、私めは一人でも決行する所存です」
・準備時間として与えられた決行までの時間を全て覚悟を決めるまでの葛藤に費やした健人は、心羽を見殺しにしてしまったような罪悪感に駆られながらも、ネーゲルの励ましもあって実行を決意する。
「でもこんなの、どうやって助けりゃいいんだ…これまで何も救えなかった俺なんかじゃ到底…」
「フン!なっさけない宿主じゃの。あの子はお前が来ることを待っとる。暗い世界でひとり、孤独に耐えながらな…」
うるさい、わかってる。
あの人をもう独りにしない。
邪魔するならどいつもこいつも俺自身も全員殺す。もうケジメはつけた。
"リュミエ、絶対死ぬなよ…死ぬなら俺も連れていけ"
・そして22時。エウィグと合流したリーン&ネーゲルは、エクリプスの拠点と化した工場跡地に突入する。エウィグの見立て通り、そこではエクリプスの第一部隊隊長「カイルス」が待ち受けていた。カイルスに戦いを挑み、力を温存しつつあえて負けたフリをすることでノクスケイデン送りにされる作戦はなんとか成功。しかし、ノクスケイデンに突入した瞬間、ネーゲルともエウィグとも離れ離れになってしまった。
・ノクスケイデンに入ったリーンは、音もなく、光もなく、暗闇が果てしなく広がる空間に一人で立っていた。自分の荒い息遣いと、鎧の擦れるガチャガチャという小さな音が反響してやけに大きく聞こえる。心羽がこんな寂しい場所に一人でいると思うといたたまれなくなった。
・リーンは大声で心羽を呼びかけながら歩き回る。この不気味なまでに静かな空間で何か起こる前に、彼女を見つけ出して帰らないと。
「リュミエー!助けに来たぞ!」
「どこにいるんだ!返事をしてくれ!」
お願いだ…「もう死んだ」なんて言わないでくれよ…
「リュミエ…!頼む…姿を見せてくれ…!」
「ごめんな…あの時一緒に居てやれなくて…」
「心羽ちゃんごめん…本当は俺のこと…信じてくれてたんだよな…」
・リーンの喉が枯れかけたその時。上から声がし、次の瞬間リュミエがリーンの前に舞い降りる。しかしその姿は変わり果て、刺し貫かれた胸からは銀の花が咲き、虚ろな目はかつての輝きを失っていた。
「私に会いに来たの?」
・“洗脳されていた場合は…もうどうすることもできません。手遅れです”エウィグの言葉が脳内再生される。俺のせいで、この子は死ぬまで、奴隷として戦わされる…その手で命を奪い、幸せを奪い続ける…
「健人くんが信じてくれないから、私、こんなふうになっちゃった」
「ごめんな、リュミエ…ごめん…」
嫌だ…認めないぞ……たとえ手遅れだとしても、リュミエを救ってみせる…決死の覚悟でここに来たんだ、死の瞬間まで諦めるもんか…!
・リュミエは生気を失った目のままでリーンに攻撃を仕掛ける。リーンは涙を零しながらもそれに応じる。
「リュミエ…頼む、戻ってくれ…!」
きっとあの銀の花がリュミエの心に根を張って操っているんだ…あの花を取り除けば、あるいは…
リーンはリュミエの苛烈な攻撃を避けながら必死に手を伸ばす。
「嫌だ…こんなところで君を失いたくない…!」
「一緒に帰ろう…!帰って、一緒に生きよう…!」
「なあリュミエ、死ぬな…お願いだ…!」
しかし、リーンの手も声もリュミエの心には届かず、鋭い切り口で反撃される。
「健人くんが置き去りにしたからこうなったんだよ?わかってる?」
「ひどいよ、健人くん」
わかってる…俺はとんだ失敗をした…だからこそ、俺はここで償う…心羽を蝕むその花をもぎ取って、君を元に戻すんだ…!
「くそっ、あと少し…あと少しで届くのに…!」
激戦のさなか、リーンの手は何度もリュミエの胸を掠める。しかし、あと一歩のところで力及ばず、リーンが晒した隙に必殺技を撃ち込まれ、変身解除してしまう。
「無力化完了。あとでエクリプスたちが洗脳しに来るから、そこで大人しく待ってて」
リュミエは黒い拘束具のようなもので健人の四肢を固定すると、上空へ舞い戻って行った。
・虚ろな目のリュミエが立ち去ったあと、もうすぐ人としての死を迎えることを悟った健人はこの人生を振り返っていた。憧れだったミユ姉に置き去りにされ、自分一人では何も出来ず、結局、自分の正義感は展望台のあの子に押し付けてしまったし…
ああ、気付くのが遅すぎたな…展望台のあの子は、どう考えても心羽じゃないか…2人とも同じように星や宇宙が好きで…今思えば合点がいく、家族を失ってこの星に一人で放り出されたんだもんな…そりゃ寂しさには人一倍弱いはずだし、元いた場所が恋しいくなるよな…もしかすると、心羽ちゃんの強い正義感も、あのとき俺が背負わせたんだろうか…
何もできないだけでなく、迷惑ばかりかけて引っかき回しておいて、好きだった人まで失う…俺に相応しい最期かもな…
"あの人をもう独りにしたくなかった。独りにさせてしまった。俺はこんなにも無力で、情けなくて、どうしようもない愚か者だ”
リーン、ネーゲルをその身に取り込み、その場のエクリプスを全て滅ぼしてその核を全て奪う
### 〇第四章 “二人で”
少し遡り、健人が調査班に姿を見せなくなってからのこと。エクリプス側の勢いが増す中で、心羽は和明とともに調査しエクリプスの拠点の目星をつけていた。もし拠点を押さえれば一時的にでも活動を弱められるかもしれないと二人は希望を抱く。しかし、和明との距離感はまさしく“調査班としての協力関係のそれ”であり、人柄はいいものの心羽の心の隙間を埋めるには至らなかった。ましてや拠点の攻略という危険なミッションに一般人の和明を連れて行けるはずもなく、リュミエは拠点の攻略を進めつつも今まで通り人々を守るという過酷な戦いに独りで挑んでいた。
・「なあ花っち…最近、燎星さんの様子がおかしくなってるのは知ってるか…?」
「知ってる。あれは俺のせいだ…俺があの子に入れ込み過ぎてしまったから…悪い、深くは聞かないでくれ」
・
「お嬢様!さすがにもうお休み下さい!その魔法の使い方ではお身体が持ちません!」
「私ひとりの力で、どれだけの人を守れるか、わかってるよ。だから止まれないの」
ちゃんとした友達じゃない…
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###### //モルが考える大まかなあらすじのイメージであり、目指す方向性の指針を示したものです。キャラクターの発言や考え方、行動には粗があるため違和感がある場合は修正をお願いします。
###### //すみません、ギルです。スゴくいい意味で大変な話だ…そして花森の醜さ完璧。(でもごめん、ちょっと足しました)
###### //ギルが足してくれた文章は少し改変し、より使いたい場面に移動させてもらいました。リーンがネーゲルを取り込んで…の下りは新しい力に覚醒するシーンかな…?
###### //今、見直したらギルの文章も活かしてくれてたw ありがとう。早合点してました(^^;
###### //前回の加筆時に一部反映されてないところがあったので戻しておきました。ここのメモ書きの部分も何故か全部消えてたから、ギルには分かりづらかったと思う。ごめんね…
###### //ギルです。いやいや、大丈夫ですよ。でも”ちゃんとした友達じゃない”の真意がすごく気になっているのです。
〇第一章 “リーン”
大学生の花森健人は、日々を適当に過ごしながら《平凡》で《穏便》な生活を送っていた。ふとしたきっかけで耳にした“怪物”、そして“赤髪の魔女”という非日常的でオカルトチックなワードが少し気になっていると、心の奥深くにある絶望を狙う悪魔が健人の前に現れる。なす術のない健人は悪魔に胸を貫かれ、想像を絶する痛みと苦しみから健人の脳裏を走馬灯が駆け巡る。しかし、あの展望台の灯りが過った時、あの時のような暖かい光が刺し貫かれた健人の胸から放たれる。胸の光は白き鴉を象った人型の異形へと形を変え、健人の前に現れる。自らを「ネーゲル」と名乗るその白鴉は、健人に加勢して悪魔と戦い、追い払うことに成功する。
気付くと健人の体は、鍬形虫を模した異形の姿となっていた。ネーゲルに手ほどきを受けて元の姿に戻ると、ネーゲルも再び白い光となって健人の胸の中に入り込んでしまった。
(以後未確定)
・ネーゲルはあの悪魔を総括して「エクリプス」と呼び、絶望を糧に栄える種族だということや絶望させた対象を宿主と呼ぶことなど、エクリプスについて知りうる一部を健人に告げる。ネーゲル自身もエクリプスのひとりなのだが、“謎の呪い”にかけられてなぜか白い体色になった上、宿主の身体から出られないと言う。ただし、健人が変身すると一時的に外へ出て自由に動けるようになる。
・しかしエクリプスがどこから来たのか、何が目的なのかネーゲルは知らないという。もちろん、“赤髪の魔女”についても。
・健人が変身していない間、ネーゲルは健人の脳内に直接呼びかけてくる。そのため、ネーゲルが健人以外の他者と話せるのはリーンの変身中のみ。
・健人と同じ大学、友人の横尾和明は自身の恋人が巻き込まれた怪事件を追っているうちに健人の正体を目撃し、やがて健人とともに怪事件調査班を立ち上げる。
・怪事件を追う中で、健人の変身態「リーン」をエクリプスと勘違いした“赤髪の魔女”に襲われる。しかし、人々を庇いながらエクリプスと戦う魔女の姿に、健人は魔女を敵対視しなかった。
その後も何度か魔女がエクリプスと戦っている場面に遭遇し、和明の提案もあり魔女と接触してみることに。魔女からはエクリプスの気配を察知され警戒されるも、前回ただ逃げるだけで攻撃の意思を示さなかったリーンの様子を思い出したリュミエは、話に応じることに。
・魔女は名をリュミエ、連れている使い魔をエウィグという。エウィグは「“部外者”に教えられる情報は少ない」と言い二人を拒絶するが、リュミエは二人の力になれるならと、話せる範囲でエクリプスの情報を開示する。
・しかし、リュミエ自身に関する質問にはまともに答えてもらえなかった。
「私? 私は……この街と人が大好きなただの魔法使いです」
〇第二章 “燎星心羽”
燎星心羽は中学生として過ごしながら、裏でリュミエとしてエクリプスと戦い人々を絶望から守る、二重の生活を送っていた。そんな中、エクリプスの気配を纏う人間———「花森健人」と出会う。イレギュラーな白いエクリプスをその内に飼うという奇妙な構造の謎を健人自身と共に追いながら、ただ守られるだけの一市民ではなく、肩を並べて共に戦う唯一の仲間として、次第に距離を縮めていく。
・怪事件調査班の協力者としてレストランでの会議に参加した際、初めて燎星心羽の姿で健人たちの前に現れる。この時に心羽は自分がリュミエであることの秘匿を二人に約束させる。
・心羽は「魔法を使うけど星を見るために都会からやってきた普通の人間」だと嘘の自己紹介をし、自身の本当の出自を伏せようとした。
・健人が燎星心羽と初めて接触した時、ネーゲルは「こいつの魔力、どこかで…」と健人脳内で発言しており、その正体は定かではないものの、身に覚えのあるような様子を見せる。
・後日、比較的上位のエクリプスと遭遇した際に「なぜお前のような魔法使いがここに…」と問われる。リュミエとリーンは応じることなく撃退するが、戦闘後健人からそのことを聞かれ、健人になら話してもいいと思えた心羽は、自身が宇宙人であることやここに来た経緯、そして過去に何が起こったかを全て話した。
「あの時嘘をついたのは…人間じゃないって思われたくなかったから。お願い、このことは二人だけの秘密にしておいて…」
・心羽の普段と違う弱さを見た健人は、その面影を二年前に会った“展望台の少女”と重ねてしまう。しかし、普段の心羽とのギャップや、(展望台の少女は)魔法など無縁の普通の少女だったことなどの理屈を並べ、偶然だ、別人だと自身に言い聞かせる。そうでもしないと、心羽に庇護欲と想いを抱いてしまいそうだから…
〇第三章 “花森健人”
・秘密を打ち明けてからの心羽はどこか晴れやかになり、健人に二人きりで食事を誘ったり、お互いのプライベートな話題も共有するようになる。健人の庇護的な想いなどつゆ知らず。
「心羽ちゃんは…どうして戦うの?」
「んー…やっぱり、大好きなこの街を守るためかな。戦うのはつらいし苦しいけど、素敵な人たちの優しさや笑顔に触れると、元気が出てまた頑張ろうって思えるんだ。健人くんはどうして?」
「俺には、心羽ちゃんみたいな大層な理由はないよ。昔からなにも出来ない、誰も救えない弱い人間だったからさ…」
「そんなことないよ!健人くんに救われてる人だって、きっといるはず!」
「そう…かな。慰めならいいよ、ありがとう」
「ううん!絶対いるよ!信じて…!」
・この頃から健人は心羽との別れ際、帰り道に極わずかな雪を見るようになる。季節的にも天候的にも有り得ない状況下でに降る雪に、健人は疑問を抱かざるを得ない。ネーゲルはこの雪から温かみのある魔力を察知しており、「やけに暖かい雪じゃの」と口にする。
・地球での侵略に苦戦していることを知ったエクリプス本部は、地球に更なる部隊、“銀冠(シルバークラウン)”を派遣する。彼らはエクリプスの中でも戦闘慣れした精鋭たちであり、対峙するリュミエやリーンを苛烈な戦いへといざなう。
・リュミエは彼らに炎魔法の暴走強化形態「インフェルシア」をもって対抗する。一方でリーンは成す術がなく、共に戦ってもリュミエを守れないどころか、自分への攻撃をリュミエに庇われ余計な怪我を負わせてしまう場面も。非力な自分がいることでリュミエが傷つくことを懸念したリーンは、リュミエとの共闘を拒む。
「ごめん。やっぱり俺は迷惑をかけてばかりだ。誰も守れない」
「そんなことない…ちゃんと守れてるよ…お願い信じて…」
・健人は改めて自分の立場を思い出した。本当はただ穏便に、平穏に過ごしていただけだった。ある日突然襲われ、巻き込まれ、自分の体に起こった謎を突き止めようと動くことにはなったけれど、いつから心羽や誰かを守ろうなどという傲った考えを持つようになっていたのだろうか。
「おい…心羽ちゃんのそばに居てやらんでええのか?」
「…………お前も早いとこ、俺の中から出てってくれ」
・無力感に囚われ、一般人として平穏な生活を再び送り始めた健人。数日を経て、重々しい雰囲気のエウィグが健人の前に現れた。「お嬢様が連れ去られました———」俯いたまま告げられた言葉は、健人に重くのしかかった。
・エウィグによると、インフェルシアを使いすぎたリュミエは自身の炎を浴びて満身創痍になり、ふらふらの状態でなお戦いを続け、交戦していたエクリプス第一部隊隊長に胸を刺し貫かれて意識を失い、変身解除されて異空間に送り込まれたという。その異空間とは、エウィグの見立てではエクリプスの本拠地、「ノクスケイデン」ではないかとされる。
・エウィグの懇願を受け、健人たちは心羽救出作戦を計画。一刻の猶予を争うため決行は今夜22時、朝憬市御翳町(みかげちょう)の巨大製糸工場跡地にて待ち合わせをすることに。
・しかしエウィグとの別れ際、リュミエは恐らく洗脳され奴隷兵士になっているか、運が悪ければ既に死んでいるかもしれないこと、そもそも敵の本拠地に乗り込むという時点で生きて帰れる保証は全くないことを告げられ、健人は怖気付く。あまりにも勝算のない無謀な作戦なのは、3人とも分かっていた。
「無謀な頼みなのは承知です。もしお覚悟が決まらず22時までに健人殿がお見えにならないようであれば、私めは一人でも決行する所存です」
・準備時間として与えられた決行までの時間を全て覚悟を決めるまでの葛藤に費やした健人は、心羽を見殺しにしてしまったような罪悪感に駆られながらも、ネーゲルの励ましもあって実行を決意する。
「でもこんなの、どうやって助けりゃいいんだ…これまで何も救えなかった俺なんかじゃ到底…」
「フン!なっさけない宿主じゃの。あの子はお前が来ることを待っとる。暗い世界でひとり、孤独に耐えながらな…」
うるさい、わかってる。
あの人をもう独りにしない。
邪魔するならどいつもこいつも俺自身も全員殺す。もうケジメはつけた。
"リュミエ、絶対死ぬなよ…死ぬなら俺も連れていけ"
・そして22時。エウィグと合流したリーン&ネーゲルは、エクリプスの拠点と化した工場跡地に突入する。エウィグの見立て通り、そこではエクリプスの第一部隊隊長「カイルス」が待ち受けていた。カイルスに戦いを挑み、力を温存しつつあえて負けたフリをすることでノクスケイデン送りにされる作戦はなんとか成功。しかし、ノクスケイデンに突入した瞬間、ネーゲルともエウィグとも離れ離れになってしまった。
・ノクスケイデンに入ったリーンは、音もなく、光もなく、暗闇が果てしなく広がる空間に一人で立っていた。自分の荒い息遣いと、鎧の擦れるガチャガチャという小さな音が反響してやけに大きく聞こえる。心羽がこんな寂しい場所に一人でいると思うといたたまれなくなった。
・リーンは大声で心羽を呼びかけながら歩き回る。この不気味なまでに静かな空間で何か起こる前に、彼女を見つけ出して帰らないと。
「リュミエー!助けに来たぞ!」
「どこにいるんだ!返事をしてくれ!」
お願いだ…「もう死んだ」なんて言わないでくれよ…
「リュミエ…!頼む…姿を見せてくれ…!」
「ごめんな…あの時一緒に居てやれなくて…」
「心羽ちゃんごめん…本当は俺のこと…信じてくれてたんだよな…」
・リーンの喉が枯れかけたその時。上から声がし、次の瞬間リュミエがリーンの前に舞い降りる。しかしその姿は変わり果て、刺し貫かれた胸からは銀の花が咲き、虚ろな目はかつての輝きを失っていた。
「私に会いに来たの?」
・“洗脳されていた場合は…もうどうすることもできません。手遅れです”エウィグの言葉が脳内再生される。俺のせいで、この子は死ぬまで、奴隷として戦わされる…その手で命を奪い、幸せを奪い続ける…
「健人くんが信じてくれないから、私、こんなふうになっちゃった」
「ごめんな、リュミエ…ごめん…」
嫌だ…認めないぞ……たとえ手遅れだとしても、リュミエを救ってみせる…決死の覚悟でここに来たんだ、死の瞬間まで諦めるもんか…!
・リュミエは生気を失った目のままでリーンに攻撃を仕掛ける。リーンは涙を零しながらもそれに応じる。
「リュミエ…頼む、戻ってくれ…!」
きっとあの銀の花がリュミエの心に根を張って操っているんだ…あの花を取り除けば、あるいは…
リーンはリュミエの苛烈な攻撃を避けながら必死に手を伸ばす。
「嫌だ…こんなところで君を失いたくない…!」
「一緒に帰ろう…!帰って、一緒に生きよう…!」
「なあリュミエ、死ぬな…お願いだ…!」
しかし、リーンの手も声もリュミエの心には届かず、鋭い切り口で反撃される。
「健人くんが置き去りにしたからこうなったんだよ?わかってる?」
「ひどいよ、健人くん」
わかってる…俺はとんだ失敗をした…だからこそ、俺はここで償う…心羽を蝕むその花をもぎ取って、君を元に戻すんだ…!
「くそっ、あと少し…あと少しで届くのに…!」
激戦のさなか、リーンの手は何度もリュミエの胸を掠める。しかし、あと一歩のところで力及ばず、リーンが晒した隙に必殺技を撃ち込まれ、変身解除してしまう。
「無力化完了。あとでエクリプスたちが洗脳しに来るから、そこで大人しく待ってて」
リュミエは黒い拘束具のようなもので健人の四肢を固定すると、上空へ舞い戻って行った。
・虚ろな目のリュミエが立ち去ったあと、もうすぐ人としての死を迎えることを悟った健人はこの人生を振り返っていた。憧れだったミユ姉に置き去りにされ、自分一人では何も出来ず、結局、自分の正義感は展望台のあの子に押し付けてしまったし…
ああ、気付くのが遅すぎたな…展望台のあの子は、どう考えても心羽じゃないか…2人とも同じように星や宇宙が好きで…今思えば合点がいく、家族を失ってこの星に一人で放り出されたんだもんな…そりゃ寂しさには人一倍弱いはずだし、元いた場所が恋しいくなるよな…もしかすると、心羽ちゃんの強い正義感も、あのとき俺が背負わせたんだろうか…
何もできないだけでなく、迷惑ばかりかけて引っかき回しておいて、好きだった人まで失う…俺に相応しい最期かもな…
"あの人をもう独りにしたくなかった。独りにさせてしまった。俺はこんなにも無力で、情けなくて、どうしようもない愚か者だ”
リーン、ネーゲルをその身に取り込み、その場のエクリプスを全て滅ぼしてその核を全て奪う
〇第四章 “二人で”
少し遡り、健人が調査班に姿を見せなくなってからのこと。エクリプス側の勢いが増す中で、心羽は和明とともに調査しエクリプスの拠点の目星をつけていた。もし拠点を押さえれば一時的にでも活動を弱められるかもしれないと二人は希望を抱く。しかし、和明との距離感はまさしく“調査班としての協力関係のそれ”であり、人柄はいいものの心羽の心の隙間を埋めるには至らなかった。ましてや拠点の攻略という危険なミッションに一般人の和明を連れて行けるはずもなく、リュミエは拠点の攻略を進めつつも今まで通り人々を守るという過酷な戦いに独りで挑んでいた。
・「なあ花っち…最近、燎星さんの様子がおかしくなってるのは知ってるか…?」
「知ってる。あれは俺のせいだ…俺があの子に入れ込み過ぎてしまったから…悪い、深くは聞かないでくれ」
・
「お嬢様!さすがにもうお休み下さい!その魔法の使い方ではお身体が持ちません!」
「私ひとりの力で、どれだけの人を守れるか、わかってるよ。だから止まれないの」
ちゃんとした友達じゃない…
//モルが考える大まかなあらすじのイメージであり、目指す方向性の指針を示したものです。キャラクターの発言や考え方、行動には粗があるため違和感がある場合は修正をお願いします。
//すみません、ギルです。スゴくいい意味で大変な話だ…そして花森の醜さ完璧。(でもごめん、ちょっと足しました)
//ギルが足してくれた文章は少し改変し、より使いたい場面に移動させてもらいました。リーンがネーゲルを取り込んで…の下りは新しい力に覚醒するシーンかな…?
//今、見直したらギルの文章も活かしてくれてたw ありがとう。早合点してました(^^;
//前回の加筆時に一部反映されてないところがあったので戻しておきました。ここのメモ書きの部分も何故か全部消えてたから、ギルには分かりづらかったと思う。ごめんね…
//ギルです。いやいや、大丈夫ですよ。でも”ちゃんとした友達じゃない”の真意がすごく気になっているのです。