No.3 1/4 version 5

2021/10/31 19:32 by someone
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No.3 1/4

「横尾…横尾…!」
その後、健人はふらつきながらもすぐに和明を横たえた階段の踊り場へと向かい、その意識に呼び掛けた。横たえたその身体を抱え、右腕で支える和明の頭ーーー力の投げ出されたその重さが健人の焦燥を煽る。
「……ぅ…あ、ゆみ…」
その時、女性の名を思わせる言葉と共に、和明は薄目を開けた。
「大丈夫か?」
「…あぁ、花森…無事か?」
意識は戻りつつあるものの、呆けたような声音で発された言葉に、健人の張りつめていた気も抜ける。呆気にとられたのか、思わずため息交じりに返答した自分がいた。
「…どうなのかな…でも、怪我はないよ」
健人の口から出てきたそんな言葉を受けてか、一瞬和明は怪訝に健人を見るものの、「…すまなかった」と謝罪しつつその身を起こす。
「忠告してくれたのにな」
花森は忠告してくれたのにな」
少々ふらつきながらも立ち上がると、和明は目を伏せながら謝罪の言葉を続ける。先の行動からは不可解な程の素直な謝罪。それに未だ拍子抜けする健人だったが、先の出来事を思えばまだその表情を緩めることは出来ない。夜の静寂が取り戻された西棟に、しばし沈黙が流れるも、やがてそれに耐え切れず健人の口が再度開く。
「二人とも死んでたかもしれない。あんなことはやめてくれ「二人とも死んでたかもしれない。あんなことは冗談じゃないしかし今度は和明が口を噤んだ。その沈黙はどこか強い意志を感じさせる。なんだってこいつ、こんなにこの怪事件に執着してるんだ…そう思う健人が眉根を寄せたその時、パトカーと救急車のサイレンが耳に届いた。ハッと顔を上げた和明が焦燥と共に健人を見遣る。
「さっきの誰かが通報したか…花森、言いにくいが頼みがある」
「…これ以上、なんだ?」
状況と和明に向けて、健人は悪態をつかずにはいられない。だがそんな健人の思いを認知しながらも和明は矢継ぎ早に告げた。
「俺と逃げてくれ」「俺と逃げてくれ」
その表情も言葉も最早呆けたものではなく、また初めに話した朗らかさは消え失せている。
「どういうことだ?」
「警察やその類に俺みたいな民間人はマークされてる」

「だとして俺は———」
「君から強い光が発するのが見えた。助かったのには何かあるんだろ?」
「なに…!?」
「それがわかったら、君も面倒なことになる」

「……」
「俺も足がついちゃ困るんだ、早くしろ!」
「…っ!」      

「横尾…横尾…!」
その後、健人はふらつきながらもすぐに和明を横たえた階段の踊り場へと向かい、その意識に呼び掛けた。横たえたその身体を抱え、右腕で支える和明の頭ーーー力の投げ出されたその重さが健人の焦燥を煽る。
「……ぅ…あ、ゆみ…」
その時、女性の名を思わせる言葉と共に、和明は薄目を開けた。
「大丈夫か?」
「…あぁ、花森…無事か?」
意識は戻りつつあるものの、呆けたような声音で発された言葉に、健人の張りつめていた気も抜ける。呆気にとられたのか、思わずため息交じりに返答した自分がいた。
「…どうなのかな…でも、怪我はないよ」
健人の口から出てきたそんな言葉を受けてか、一瞬和明は怪訝に健人を見るものの、「…すまなかった」と謝罪しつつその身を起こす。
「花森は忠告してくれたのにな」
少々ふらつきながらも立ち上がると、和明は目を伏せながら謝罪の言葉を続ける。先の行動からは不可解な程の素直な謝罪。それに未だ拍子抜けする健人だったが、先の出来事を思えばまだその表情を緩めることは出来ない。夜の静寂が取り戻された西棟に、しばし沈黙が流れるも、やがてそれに耐え切れず健人の口が再度開く。
「二人とも死んでたかもしれない。あんなことは冗談じゃない」
しかし今度は和明が口を噤んだ。その沈黙はどこか強い意志を感じさせる。なんだってこいつ、こんなにこの怪事件に執着してるんだ…そう思う健人が眉根を寄せたその時、パトカーと救急車のサイレンが耳に届いた。ハッと顔を上げた和明が焦燥と共に健人を見遣る。
「さっきの誰かが通報したか…花森、言いにくいが頼みがある」
「…これ以上、なんだ?」
状況と和明に向けて、健人は悪態をつかずにはいられない。だがそんな健人の思いを認知しながらも和明は矢継ぎ早に告げた。
「俺と逃げてくれ」
その表情も言葉も最早呆けたものではなく、また初めに話した朗らかさは消え失せている。
「どういうことだ?」
「警察やその類に俺みたいな民間人はマークされてる」

「だとして俺は———」
「君から強い光が発するのが見えた。助かったのには何かあるんだろ?」
「なに…!?」
「それがわかったら、君も面倒なことになる」

「……」
「俺も足がついちゃ困るんだ、早くしろ!」
「…っ!」