0 広大な自然の中で彼女は みんなに公開
注意⚠︎嘔吐、自殺表現あり
彼女は植物が好きだった、数ヶ月に一度何らかの植物を買ってきていた。そして彼女は得意げに、でもどこか照れながら買ってくる植物の花言葉を教えてくれる。この前も白いサギソウを買ってきて「この花の花言葉は『夢でも貴方を思う』なんだよ。」と僕に教えてくれた。他にも、春には赤いアネモネを、夏にはガーネットを、秋には赤い菊を、そして冬にはナンテンを。彼女は言葉の代わりに花言葉で愛の言葉を伝えてくれていた。
ある日彼女はいつものように植物を買ってきた。アセビという花だった。しかし彼女は僕に花言葉を教えてくれなかった。僕は「この花の花言葉は何て言うの?」と聞いた。そんな僕に彼女は「分かんない。可愛かったからつい買っちゃったの。」花言葉を知らない花があっても意味を調べるはずの彼女は調べなかったらしい。僕はアセビの花言葉を調べた。「……2人で旅をしましょう…」思わず僕は花言葉を口に出して読んだ。彼女に聞こえていたらしい、彼女は「海に行きたい。誰もいない、静かな海に。」と言って彼女は違う花を渡してきた。「…この花は何て言う名前?」僕が聞くと彼女は「かき。フルーツの柿の花だよ。」と言われ僕は彼女の前で柿の花の花言葉を調べた。「………….広大な自然の中で私を眠らせて……眠い…の?」彼女の本当に言いたいことに目を背けたくて僕は聞いた。少しの沈黙が流れる。その沈黙が気まずくて僕は海の話をしようとした時、彼女が「ううん。死にたいの。」とそれだけ、その一言で僕は、もう彼女は救えないんだと悟り、目尻が熱くなった。「じゃあ今週末に2人で海にこうか。」そう言ったあの時の僕はちゃんと笑えていただろうか。
そして週末の朝。僕は彼女に小さなクワベリーの木が植えられた植木鉢を彼女に渡した。すると彼女は悲しそうなでもどこか嬉しそうな顔をした。僕達は昼から車で海に向かった、しばらく無言のまま車を走らせていた。突然「今日までいろんなことがあったね。」と静かにいう彼女に僕は「うん。」とだけ返し、2人目を合わせることなく思い出話をする。海に着く頃には夜になっていた。2人で波打ち際を歩く、ここでもしばらく無言だった。しばらくして彼女は僕の方に振り返って「海に入ろ。」と言って僕の手を引っ張って海に入った。まだと初夏になったばかりだったから海の水は冷たかった。どんどん深いところに行く彼女の後ろ姿を見ながら僕はこれから死ぬんだと理解すると怖くなって足を止めた。彼女はこちらを振り向き、悲しそうな笑みを浮かべた。「簡単に言っちゃダメだよ。……また来世で会おうね、君はまだこっちにきちゃダメだよ。」と言って彼女は______
スマホの目覚ましの音が鳴って起きた。またあの夢を見た。あの時の愛する彼女を見殺しにした。思い出すだけで吐き気がして僕はトイレに駆け込む。まだ朝起きたばかりで何も入っていない胃から胃液だけが出てくる。僕はあの時彼女を呼び止めなかった自分を恨んだ。あの時、あの時彼女の手を引いていたらこんな悪夢に毎日うなされることもなかった。自分なんか死ねばいいと自分への侮辱の言葉をかけながら自分で死ぬ勇気もない僕は今も生きている。彼女を見殺しにしたという罪を背負いながら。
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あとがき
ここまで読んでくれてありがとうございました。今回は花言葉を中心にお話を書かせていただきましたがいかがだったでしょうか?まだ文章力がついてないので「ん?ここおかしくない?」とか改善すべき場所がありましたらコメントお願いします。
ではまた次回お会いしましょう。
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