新クレギオンPrivateReaction『人参と片想い』(6) version 18

2021/01/20 15:44 by bkfal99
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新クレギオンPrivateReaction『人参と片想い』(6)
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少し落ち着いて、ようやくエルミリアはレフにお祝いの言葉を伝えることができた

「初めてなのに凄かったね。世界征服おめでとう、レフ」

「ありがとう。君に何度も助けてもらいながらだったけど、面白かったよ」

「私も! 負けちゃったけど、最後はなんだか嬉しくて、泣いちゃった」

「嬉しくて?」

「うん。レフに『一緒の世界に居よう』って言ってもらえたのが嬉しかったの」

「あれは貴重な経験だった。もし世界が征服できるような広さで、それができる立場や力を持っていたとしても、その戦いの果ては自分だけの思い通りの世界を望むのか、対話がある世界を望むのかという問いが待っていることを初めて自覚したよ」
「あれは貴重な経験だった。もし世界が征服できるような広さで、それができる立場や力を持っていたとしても、その戦いの果ては自分だけの思い通りの孤独な世界を望むのか、対話がある世界を望むのかという問いが待っていることを初めて自覚したよ」

その後も二人で感想戦を楽しんだ後
エルミリアは世界征服ゲームのマップを振り返り、レフに伝えたかった想いを明かした
「昔は……世界もこんな風に小さかったんだね。だから相容れなくて争ってた。
今はもう世界がどれだけ広いのか、遠いどこかで何が起こっているのか。それすら、人にはわからなくなっちゃって……それでも争いはなくならないんだね。
レフはどうして、こんなにも広い世界で戦っているの?」

「ボクは大きさに関わらず世界は”ただそこにある”というだけで人間に残酷で無関心だと思っている。僕たちは世界に”愛されない”から、僕たちは世界に”幸せを得る”資格を与えられていない。僕たちができるのは、世界の残酷さを憎悪し、世界の無関心さに爪を立て、”私はここにいる”と傷跡を残すことでしかない。だから僕たちは戦っているんだ」

「それがレフが戦っている理由。そっか……レフは世界に片想いしてるの?」

「片想い、か。面白い喩えだね。世界に”幸せを得る”資格を与えられていないから、世界に”愛されない”残酷さを憎悪している様は世界への片想いと言えなくもないと思う。
エルミリア。君は人間がいつか幸せになれると思う?」

「私は……人間みんなが世界に愛されて、幸せになれるかとか良くわかんないけど
幸せっていつまでも続く状態じゃなくて『時間』なのかなって
こんなこと言うと今も真剣に戦っているレフに嫌われちゃうかもしれないけど……
私ね、レフとこうして遊んだりお話しできる『時間』嬉しいよ、幸せだよ
それが今の、私の精一杯の答え」

「だから、もしレフが私との時間をほんの少しでも嬉しい、幸せって感じてくれるなら
それがレフの片想いの痛みや苦しみを少しでも癒せるなら、とっても嬉しい。
私、レフに少しでも長い時間『一緒の世界に居よう』って思ってもらえるよう、これからもいっぱい頑張るね」

それにはレフは何も言わなかったけれど、そっと私を抱きしめてくれた
とっても優しい答え
ずっと、ずっとこうしていたいと、心からそう思った

(おわり)      

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少し落ち着いて、ようやくエルミリアはレフにお祝いの言葉を伝えることができた

「初めてなのに凄かったね。世界征服おめでとう、レフ」

「ありがとう。君に何度も助けてもらいながらだったけど、面白かったよ」

「私も! 負けちゃったけど、最後はなんだか嬉しくて、泣いちゃった」

「嬉しくて?」

「うん。レフに『一緒の世界に居よう』って言ってもらえたのが嬉しかったの」

「あれは貴重な経験だった。もし世界が征服できるような広さで、それができる立場や力を持っていたとしても、その戦いの果ては自分だけの思い通りの孤独な世界を望むのか、対話がある世界を望むのかという問いが待っていることを初めて自覚したよ」

その後も二人で感想戦を楽しんだ後
エルミリアは世界征服ゲームのマップを振り返り、レフに伝えたかった想いを明かした
「昔は……世界もこんな風に小さかったんだね。だから相容れなくて争ってた。
今はもう世界がどれだけ広いのか、遠いどこかで何が起こっているのか。それすら、人にはわからなくなっちゃって……それでも争いはなくならないんだね。
レフはどうして、こんなにも広い世界で戦っているの?」

「ボクは大きさに関わらず世界は”ただそこにある”というだけで人間に残酷で無関心だと思っている。僕たちは世界に”愛されない”から、僕たちは世界に”幸せを得る”資格を与えられていない。僕たちができるのは、世界の残酷さを憎悪し、世界の無関心さに爪を立て、”私はここにいる”と傷跡を残すことでしかない。だから僕たちは戦っているんだ」

「それがレフが戦っている理由。そっか……レフは世界に片想いしてるの?」

「片想い、か。面白い喩えだね。世界に”幸せを得る”資格を与えられていないから、世界に”愛されない”残酷さを憎悪している様は世界への片想いと言えなくもないと思う。
エルミリア。君は人間がいつか幸せになれると思う?」

「私は……人間みんなが世界に愛されて、幸せになれるかとか良くわかんないけど
幸せっていつまでも続く状態じゃなくて『時間』なのかなって
こんなこと言うと今も真剣に戦っているレフに嫌われちゃうかもしれないけど……
私ね、レフとこうして遊んだりお話しできる『時間』嬉しいよ、幸せだよ
それが今の、私の精一杯の答え」

「だから、もしレフが私との時間をほんの少しでも嬉しい、幸せって感じてくれるなら
それがレフの片想いの痛みや苦しみを少しでも癒せるなら、とっても嬉しい。
私、レフに少しでも長い時間『一緒の世界に居よう』って思ってもらえるよう、これからもいっぱい頑張るね」

それにはレフは何も言わなかったけれど、そっと私を抱きしめてくれた
とっても優しい答え
ずっと、ずっとこうしていたいと、心からそう思った

(おわり)