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「おくのほそ道」― 芭蕉が歩いた2400キロの旅路
江戸時代前期、俳人・松尾芭蕉(1644〜1694)が残した紀行文学の最高傑作『おくのほそ道』。元禄2年(1689)、弟子の河合曾良を伴い、江戸・深川を出発して東北から北陸を巡り、美濃・大垣に至るまでの約150日間、総行程2400キロに及ぶ旅を記録したものである。
<作者と成立>
作者:松尾芭蕉
成立:元禄15年(1702年)刊行
ジャンル:紀行文・俳諧紀
旅の目的:尊敬する西行の500回忌にあたり、歌枕や古跡を訪ね、古人の心に触れること。
< 旅のルート>
江戸・深川 → 日光 → 白河の関 → 松島 → 平泉 → 出羽・最上川 → 象潟 → 北陸道 → 美濃・大垣
約5か月にわたり、各地で名所旧跡を訪ね、その地で詠んだ俳句を添えて記録
<有名な句>
「夏草や 兵(つはもの)どもが 夢の跡」― 平泉にて
「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」― 山形・立石寺にて
「五月雨を あつめて早し 最上川」― 山形・大石田にて
「出世景清」― 近松門左衛門が描いた元禄の悲劇
江戸時代前期、元禄文化の爛熟期に誕生した人形浄瑠璃の名作『出世景清(しゅっせかげきよ)』。作者は近松門左衛門(1653〜1725)で、貞享2年(1685)大坂・竹本座で初演された。義太夫節の誕生を告げる画期的な作品として、後世の歌舞伎や文楽に大きな影響を与えた。
<作者と背景>
作者:近松門左衛門
初演:1685年(貞享2年)、大坂竹本座
ジャンル:時代物・浄瑠璃(全五段)
意義:近松が初めて竹本義太夫のために書いた作品で、浄瑠璃史において「古浄瑠璃」と「当流浄瑠璃」を分ける転換点とされる。
<あらすじと見どころ>
題材は『平家物語』や幸若舞「景清」に基づく。平家の勇将・悪七兵衛景清は、源氏に敗れた後も生き延び、源頼朝を討とうとする。
熱田神宮の大宮司館に身を寄せ、娘・小野姫と結ばれるが、やがて陰謀が露見。
東大寺大仏殿の場では、再建工事に紛れて頼朝暗殺を企てるも失敗。
恋人・阿古屋の裏切りや葛藤が描かれ、景清は捕縛される。
最終的に景清は両眼を自らえぐり、日向へ下るという壮絶な結末を迎える
<編集後記>
「出世景清」を調べていると、近松が単なる英雄譚を超えて“人間の弱さと強さ”を描こうとした意志が伝わってきます。景清の悲劇は、敗者の物語であると同時に、人がどう生き、どう死ぬかを問う普遍的なドラマ。現代の舞台で観ると、むしろその人間臭さがリアルに響くのではないでしょうか。https:/
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「おくのほそ道」― 芭蕉が歩いた2400キロの旅路
江戸時代前期、俳人・松尾芭蕉(1644〜1694)が残した紀行文学の最高傑作『おくのほそ道』。元禄2年(1689)、弟子の河合曾良を伴い、江戸・深川を出発して東北から北陸を巡り、美濃・大垣に至るまでの約150日間、総行程2400キロに及ぶ旅を記録したものである。
<作者と成立>
作者:松尾芭蕉
成立:元禄15年(1702年)刊行
ジャンル:紀行文・俳諧紀
旅の目的:尊敬する西行の500回忌にあたり、歌枕や古跡を訪ね、古人の心に触れること。
< 旅のルート>
江戸・深川 → 日光 → 白河の関 → 松島 → 平泉 → 出羽・最上川 → 象潟 → 北陸道 → 美濃・大垣
約5か月にわたり、各地で名所旧跡を訪ね、その地で詠んだ俳句を添えて記録
<有名な句>
「夏草や 兵(つはもの)どもが 夢の跡」― 平泉にて
「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」― 山形・立石寺にて
「五月雨を あつめて早し 最上川」― 山形・大石田にて
「出世景清」― 近松門左衛門が描いた元禄の悲劇
江戸時代前期、元禄文化の爛熟期に誕生した人形浄瑠璃の名作『出世景清(しゅっせかげきよ)』。作者は近松門左衛門(1653〜1725)で、貞享2年(1685)大坂・竹本座で初演された。義太夫節の誕生を告げる画期的な作品として、後世の歌舞伎や文楽に大きな影響を与えた。
<作者と背景>
作者:近松門左衛門
初演:1685年(貞享2年)、大坂竹本座
ジャンル:時代物・浄瑠璃(全五段)
意義:近松が初めて竹本義太夫のために書いた作品で、浄瑠璃史において「古浄瑠璃」と「当流浄瑠璃」を分ける転換点とされる。
<あらすじと見どころ>
題材は『平家物語』や幸若舞「景清」に基づく。平家の勇将・悪七兵衛景清は、源氏に敗れた後も生き延び、源頼朝を討とうとする。
熱田神宮の大宮司館に身を寄せ、娘・小野姫と結ばれるが、やがて陰謀が露見。
東大寺大仏殿の場では、再建工事に紛れて頼朝暗殺を企てるも失敗。
恋人・阿古屋の裏切りや葛藤が描かれ、景清は捕縛される。
最終的に景清は両眼を自らえぐり、日向へ下るという壮絶な結末を迎える
<編集後記>
「出世景清」を調べていると、近松が単なる英雄譚を超えて“人間の弱さと強さ”を描こうとした意志が伝わってきます。景清の悲劇は、敗者の物語であると同時に、人がどう生き、どう死ぬかを問う普遍的なドラマ。現代の舞台で観ると、むしろその人間臭さがリアルに響くのではないでしょうか。https:/