2020年4月16日、木曜日。花森剣人が目を冷ますと、まず視界に入ってきたのは清潔感を感じさせる白い天井だった。ここは…どこ?続いて感じたのは手に感じる柔らかな温み。まだ半開きの目線が、その温みを辿る。そこには疲れた顔で眠っている母ーーー純子(すみこ)の姿があった。
2020年4月16日、木曜日。花森剣人が目を冷ますと、まず視界に入ってきたのは清潔感を感じさせる白い天井だった。ここは…どこだ?続いて感じたのは手に感じる柔らかな温み。まだ半開きの目線が、その温みを辿る。そこには疲れた顔で眠っている母ーーー純子(すみこ)の姿があった。
「…母…さん?」
「…けん…?…けん…!よかった…」
母の頬が涙で濡れる。ああ…また泣かせてしまった…幼いころから不登校だったことから、苦労をかけてしまったと思う故か、母の泣き顔には罪悪感をどうにも感じてしまう。
「ごめんね」
だから、最初に出てきたのは謝罪の言葉だった。
「…ううん、心配だったけど無事でよかった。大変だったね」
涙ながらに労りの言葉をかけてくれる母の思いやりが嬉しい。しかし、"大変だった"…確かにその通りだ。母には自分に何があったかが、どう伝わっているのだろうか。あの場面に居たのは自分と、あの異形の烏だけ。説明してくれる人物は居なかった。そもそも、どうして自分は今、この病室のベッドに居るのか…
「…母さん、俺…どこで見つかったの?」
「」
「…」







医療法人陽生会明星病院にある第一外科病棟のベッドの上で目を覚ました。