4.提示と世間体 version 2

2023/05/16 16:00 by someone
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白紙のページ4.
「おお、花っちどしたーー」
「ハッサン、無事か?」
英道大学の数十メートル離れた街道。花森健人はスマートフォン越しに桧山初樹に早口で言った。息が未だ少し乱れる。
「え?ああ、こっちは特に何も」
「無事なんだな!?」
「ああ、大丈夫…どしたんだよ」
捲し立てるように必死に問う健人に、初樹は気圧されながらも応じた。健人は大きく息を吐き、「良かった」と零すとすぐに状況を伝えた。
「怪物関係の奴にまた襲われた」
「えっーー!」
「でもそいつ人間の男みたいな奴で、けど無茶苦茶強くて…そいつハッサンの存在も認知してる」
初樹が息を飲む音が聞こえる。そして直後にその声が、互いを案じる真剣で速いものへと変わった。
「マジかよ…わかった、そっち行く!今どこ?」
「待って、多分俺と合流しない方がいい」
「どうしてーー」
「奴の狙いは俺のブレスレットみたいだけど、奴はハッサンの存在をプレッシャーに使ってきた」
「…そういうことか」
卑劣だが効果的な手段を抜かりなく使ってくる。そんな手合いが敵となっている状況に、健人は言いながら戦慄する。
「ああ、近くにいたら危険かもしれない。でもハッサンも狙われてる」
「なら尚更合流しよう。抵抗の力としても、花っちの大切なものって意味でも、ブレスレットは渡せないだろ」
「でも二人の命に関わるし、ハッサンがーー」
その予想だにしなかった回答ーー初樹の即座の決断に、健人は胸の内を震わされる。しかしどちらも危険な事態であることは変わらない。或いはそれ故にかーー。
「いっそ力を持った花っちとの方が、安全だ。今もこうして退けて、話をしてるんだから」
そう言った初樹の言葉には肝が座ったものを感じざるを得ない。それに影響されてか健人も今は、腹を括った。
「…いいんだな?」
「ああ」
「わかった。今、北西部だよな?ハッサン。なら俺のバイト先の安場佐田で合流しよう。丁度大学と北西部の中間近くだ」
「わかった、すぐ行く」
そうして合流地点を打ち合わせ、通話を切った時には、健人は自身の前を睨み付けていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

安場佐田に先に着いたのは健人だった。その腹積もりとしては、先の沢村智輝に当たって事件の情報を集めること、そのために店長から名刺を拝借する必要があった。事件の情報を突破口とし、怪物達の動きを先読みして立ち回る。具体性はなく、希望的観測とさえ呼べない蜘蛛の糸。しかしそれを省みる余裕もない。このままじっとしていても、襲撃されるのを待つだけだ。そんなこと、冗談ではなかった。意を決して店の戸を開ける。そこにいたのはカウンターで話をしている佐田と沢村だった。
「あ…お疲れ様です、店長」
「花森、どうした。昼のシフトは入ってなかったろう」
「ええ、あの…」


      

「おお、花っちどしたーー」
「ハッサン、無事か?」
英道大学の数十メートル離れた街道。花森健人はスマートフォン越しに桧山初樹に早口で言った。息が未だ少し乱れる。
「え?ああ、こっちは特に何も」
「無事なんだな!?」
「ああ、大丈夫…どしたんだよ」
捲し立てるように必死に問う健人に、初樹は気圧されながらも応じた。健人は大きく息を吐き、「良かった」と零すとすぐに状況を伝えた。
「怪物関係の奴にまた襲われた」
「えっーー!」
「でもそいつ人間の男みたいな奴で、けど無茶苦茶強くて…そいつハッサンの存在も認知してる」
初樹が息を飲む音が聞こえる。そして直後にその声が、互いを案じる真剣で速いものへと変わった。
「マジかよ…わかった、そっち行く!今どこ?」
「待って、多分俺と合流しない方がいい」
「どうしてーー」
「奴の狙いは俺のブレスレットみたいだけど、奴はハッサンの存在をプレッシャーに使ってきた」
「…そういうことか」
卑劣だが効果的な手段を抜かりなく使ってくる。そんな手合いが敵となっている状況に、健人は言いながら戦慄する。
「ああ、近くにいたら危険かもしれない。でもハッサンも狙われてる」
「なら尚更合流しよう。抵抗の力としても、花っちの大切なものって意味でも、ブレスレットは渡せないだろ」
「でも二人の命に関わるし、ハッサンがーー」
その予想だにしなかった回答ーー初樹の即座の決断に、健人は胸の内を震わされる。しかしどちらも危険な事態であることは変わらない。或いはそれ故にかーー。
「いっそ力を持った花っちとの方が、安全だ。今もこうして退けて、話をしてるんだから」
そう言った初樹の言葉には肝が座ったものを感じざるを得ない。それに影響されてか健人も今は、腹を括った。
「…いいんだな?」
「ああ」
「わかった。今、北西部だよな?ハッサン。なら俺のバイト先の安場佐田で合流しよう。丁度大学と北西部の中間近くだ」
「わかった、すぐ行く」
そうして合流地点を打ち合わせ、通話を切った時には、健人は自身の前を睨み付けていた。

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安場佐田に先に着いたのは健人だった。その腹積もりとしては、先の沢村智輝に当たって事件の情報を集めること、そのために店長から名刺を拝借する必要があった。事件の情報を突破口とし、怪物達の動きを先読みして立ち回る。具体性はなく、希望的観測とさえ呼べない蜘蛛の糸。しかしそれを省みる余裕もない。このままじっとしていても、襲撃されるのを待つだけだ。そんなこと、冗談ではなかった。意を決して店の戸を開ける。そこにいたのはカウンターで話をしている佐田と沢村だった。
「あ…お疲れ様です、店長」
「花森、どうした。昼のシフトは入ってなかったろう」
「ええ、あの…」