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その研究は、世界の均衡を揺るがした禁忌だった。
天上に存在するノルンの地———下界の者たちからは神秘として認知されていた彼の地において、ノルンの民は自身らの思念の力であるカルナを、下界の人間たちにも発現させんとその研究は進められていた。ある者は戯れから、ある者は興味から、そしてある者は自身の野望を実現すべく始めたことだった。
 当然反発はあった。その筆頭である女———叶慧は人間に力を与えて起こるであろう悲惨を説き、これに賛同したものも確かに存在していたのである。その時、彼らにもたらされたある啓示が、世界の運命を大きく変えることとなる。

『大聖歴983年8月21日———この日に生まれた赤髪の少女はやがてノルンに匹敵する』

ノルンの民は早急に、この赤髪の少女にあたる者が下界の国々の一つであるルクスカーデンに生まれたことを突き止めた。このことは研究を推し進める者たちと、これを阻む者たちのとの間に軋轢を生み、やがて争いと化す。それは野望の男———恒正と叶慧との対決でもあった。そして叶慧は恒正に敗れてルクスカーデンへと落とされる。

その後月日を経て、恒正もまた下界に降り立つ。研究成果を結実させた、「心の力の器」———その首飾りをその手に携えて

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