ミーナの冒険 version 10
ミーナの冒険
0話 箱の外
イクセトと呼んでいる箱庭に彼らは生きていた。
当初、魂の中にある経験や思い出を糧とする我々の安定した食料生産を目指して創られた箱庭には、いつしか我々を神と呼ぶ彼らの世界を覗き見る遊びの場にもなり、大きく発展していた。
彼らが魔法と呼ぶ我々の劣化版の力で風を操り水を生み出している。
存在しない歴史と文化を用意し、昔からそこにあったようにさせ、直接関与できない我々の代わりに内側から運用できる管理者を用意したりと我々の苦労は絶えない。
1話 ミーナの日常
「⋯⋯」
箱庭イクセト最北の小さな島国サチヌにある〝最北の村〟ことカシツネ村。雪解けが終わる頃の小さな村にある少女がいた。
彼女の名前はミーナ・ソルナ。母親譲りのややふんわりとした明るい金髪に父親譲りの深い青の瞳の十三歳だ。
「⋯⋯⋯」
ミーナは簡素な毛布の中からじっと何もないところを見つめている。窓の外はすっかり明るくなり、部屋の中を照らしていた。
「⋯⋯⋯⋯、⋯⋯⋯」
のっそりと起き上がると、ミーナはそのまま部屋を出る。
「あ、ミーナおはよう」
「おはようホリー」
廊下にはミーナの妹、ホリーがいた。ホリーは母親譲りの深い緑の瞳に父親譲りの癖毛気味の明るい茶髪を一つ結びにしている。
「少し寝坊した? 朝ごはんは置いてあるからちゃんと食べてから出勤してね。私もうそろそろ行かないと遅刻しちゃうから今日は先に行くね。鍵はちゃんとしてね、最近村の東のほう物騒みたいだから」
「少し寝坊した? 急がないと工房長に怒られちゃうよ。でも朝ごはんは置いてあるからちゃんと食べてから出勤してね。私もうそろそろ行かないと遅刻しちゃうから今日は先に行くね。鍵はちゃんとしてね、最近村の東のほう物騒みたいだから」
「うん、わかった」
しっかり者の妹はミーナに伝えることだけ伝えると、ミーナの横を通りそのまま階段を降りていった。
しっかり者の妹はミーナに伝えることだけ伝えると、駆け足気味にミーナの横を通りそのまま階段を降りていった。
「⋯⋯⋯⋯はぁ」
ミーナもその後に続いてゆっくりぼんやりと階段を降りた。
0話 箱の外
イクセトと呼んでいる箱庭に彼らは生きていた。
当初、魂の中にある経験や思い出を糧とする我々の安定した食料生産を目指して創られた箱庭には、いつしか我々を神と呼ぶ彼らの世界を覗き見る遊びの場にもなり、大きく発展していた。
彼らが魔法と呼ぶ我々の劣化版の力で風を操り水を生み出している。
存在しない歴史と文化を用意し、昔からそこにあったようにさせ、直接関与できない我々の代わりに内側から運用できる管理者を用意したりと我々の苦労は絶えない。
1話 ミーナの日常
「⋯⋯」
箱庭イクセト最北の小さな島国サチヌにある〝最北の村〟ことカシツネ村。雪解けが終わる頃の小さな村にある少女がいた。
彼女の名前はミーナ・ソルナ。母親譲りのややふんわりとした明るい金髪に父親譲りの深い青の瞳の十三歳だ。
「⋯⋯⋯」
ミーナは簡素な毛布の中からじっと何もないところを見つめている。窓の外はすっかり明るくなり、部屋の中を照らしていた。
「⋯⋯⋯⋯、⋯⋯⋯」
のっそりと起き上がると、ミーナはそのまま部屋を出る。
「あ、ミーナおはよう」
「おはようホリー」
廊下にはミーナの妹、ホリーがいた。ホリーは母親譲りの深い緑の瞳に父親譲りの癖毛気味の明るい茶髪を一つ結びにしている。
「少し寝坊した? 急がないと工房長に怒られちゃうよ。でも朝ごはんは置いてあるからちゃんと食べてから出勤してね。私もうそろそろ行かないと遅刻しちゃうから今日は先に行くね。鍵はちゃんとしてね、最近村の東のほう物騒みたいだから」
「うん、わかった」
しっかり者の妹はミーナに伝えることだけ伝えると、駆け足気味にミーナの横を通りそのまま階段を降りていった。
「⋯⋯⋯⋯はぁ」
ミーナもその後に続いてゆっくりぼんやりと階段を降りた。