0 第4章あらすじ みんなに公開

舞台は現代日本・朝憬市。
高校時代まで「正義の味方」に憧れていた花森健人は、理想と現実の乖離、人間社会への失望、自身の無力感によってその夢を失い、大学進学後は虚無的な日々を送っていた。

ある日、健人は衝動的に自死を図る。しかしその絶望に引き寄せられるように、街へ侵攻していたエクリプスが健人を襲撃する。
健人はただの一般人だった。カルナも持たず、戦う力もない。だが偶然身につけていたブレスレットが彼を守る。そのブレスレットは、かつて心羽が渡した、本人も知らない魔法の込められた魔道具だった。その力によって健人は生還する。だが同時に、エクリプスから危険人物として目を付けられてしまう。

一方その頃、燎星心羽は朝憬市を訪れていた。第3章で江宮はなを救えなかった経験を抱えたまま、彼女はエクリプスによる街への侵略と戦っていた。

そうして二人は再会する。かつて展望台で出会った少女と青年。「燎星心羽」という名前を与えた名付け親と、その名前を受け継いだ少女。
久しぶりの再会だった。

健人は本来、戦える人間ではなかった。エクリプスとの戦いにおいても、自分には何もできないという無力感を抱く。それでも心羽は彼を仲間として扱い、共に戦おうとする。心羽にとって健人は、自分を救ってくれた恩人だった。そして健人にとっても、心羽との時間は徐々に特別なものになっていく。

だが、エクリプスの計画は着実に進行していた。彼らは朝憬市全体を絶望に沈めるため暗躍しており、心羽はそれを阻止するため奔走する。
その戦い方はあまりにも自己犠牲的だった。
誰かを守るためなら自分が傷付くことを厭わない。誰も失いたくないという思いから、危険を全て自分で背負おうとする。
それはヒーローへの憧れから生まれた行動だったが、同時に健人には飲み込めないものでもあった。

ある戦闘で、健人は心羽に庇われる。心羽はその代償として大きな怪我を負う。
自分が足手まといになった。
自分が彼女を傷付けた。
その事実は健人を深く追い詰める。
もともと抱えていた無力感も重なり、健人は心羽と共に戦うことを諦めてしまう。

独りになった心羽は、それでも戦い続ける。しかし朝憬市に魔法使いがいるという情報は、ついにエクリプス本部へ届いてしまう。彼らは心羽の魔法を欲していた。
計画の障害でもある心羽を排除するため、新たな幹部が送り込まれる。圧倒的な力の前に心羽は敗北。エクリプスによって捕らえられてしまう。

健人はその報せを聞く。
助けられなかった。
また失った。
また何もできなかった。
かつて正義の味方に憧れながら挫折した自分。
誰かのために戦うことを諦めた自分。
そんな自分と向き合うことになる。
そして葛藤の末、ひとつの結論に辿り着く。
それは正義でも使命感でもなかった。
ただ、心羽を一人にしたくないという気持ちだった。

健人は単身エクリプスの拠点へ向かう。
無謀な挑戦だった。
戦う力などない。
それでも彼は進む。
心羽を置いていけなかったから。

拠点の最深部で再会した二人は、共に脱出を試みる。
その中で二人の想いはひとつの奇跡を生む。
心羽の「誰も失いたくない」という願い。
健人の「心羽を一人にしたくない」という願い。
二つの願いが重なった時、新たな魔法が誕生する。
光の魔法である。
これまでの心羽の魔法とは異なり、この魔法は健人の意思によって発動する。
心羽を守るための力。
二人の絆そのものが形になった力。
互いを信頼している限り発動し、どちらかの信頼が失われれば消えてしまう特別な魔法。
二人は光の魔法によって窮地を脱し、エクリプスの計画を阻止することに成功する。
朝憬市への脅威は去ったが、それ以上に大きかったのは、健人自身の変化。彼はもうヒーローへの憧れを捨てた人間ではなかった。正義の味方になりたいわけでもない。世界を救いたいわけでもない。
ただ一人の少女を守りたいと思った。
その気持ちを肯定できるようになった。

戦いの後、健人は決意する。もう心羽を一人にしない。次は隣で戦う。その決意を胸に、二人は新たな旅路へ踏み出す。

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