これは私たちが紡いだ希望の物語 No.1 アバン 【B】 version 3

2022/04/20 16:55 by someone
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流星と焔 No.1 アバン
「私、私を繋いでくれた希望を信じるよ。もちろん健人くんも」
2022年、4月20日の朝——少女は共に並び立つ青年に、その赤い瞳を向けて言った。その言葉に青年は少女を見遣る。横顔に靡く色鮮やかな赤い髪と併せ、淡く輝く目の光。住民が去っていき、廃墟都市となった朝憬市(あかりし)市街地に、尚も射す朝日の陽光と同じ色だった。その光に、青年は左目から一筋涙を流し、静かに言った。
「君が、俺の希望だ」
青年の涙が朝日を反射し、少女の目に映る。
「だから縋って、泣きながら求めてしまって…でも今度こそ俺も信じるんだ」
その言葉に少女ははにかみ、苦笑するが、その目は青年から逸らされることはない。互いに思いを告げ、受け止め合う。

「ありがとう。大丈夫だよ」

「俺の中に、君からの希望がある」

そうして二人は微笑んだ。そのまま今一度朝日に目線を向けて、少女が一つ呟く。
「…そろそろ」
「ああ、時間だな…」
青年が返すと共に、朝日に陰りが見え始めた。同時に地の底から暗闇が立ち上がり、異形の怪物へと姿を変えた。怪物たちは群れを成して二人の居る市街地中央部の廃屋へと向かってくる。少女にはその様が、朝日を遮らんとするかのように映った。二人は互いを見遣り頷き合ったのを最後に、怪物の軍勢を見据えて高らかにその力の名を叫ぶ。

「”チェンジ・スターリードレス”!」

「我が名はリーン…貰い火の温み、ここに在り!」

少女の唱えた魔法——その神秘が星の羽衣を形成し、これを纏う少女は希望の天女へとその姿を変え、猛る青年の叫びは、その身に黒い甲虫を思わせる鎧と火の鳥の剣をその手に形成した。そして天女は右手のブレスレットの光を天に掲げる。片や甲虫は胸に携えた光を輝かせると、腕を横一文字に切って友の名を呼んだ。
「エウィグ!」
「ネーゲル!」
その喚び声に天女の従者たる不死鳥が応えて舞い降り、巨大な白い烏の異形もまた何処からともなく甲虫の下へと現れた。
「皆さま、参りましょう!」
「話、纏まったな…ほいじゃあ一丁いこうや!」
不死鳥の生真面目ながら力に満ちた言葉、そして白烏の気迫溢れる声が、天女と甲虫を奮い立たせる。
「俺らの希望に…」
「命の光に…」

「「未来を」」

その日、誰に知られるでもない戦いの終局へ、少女たちは駆けだそうとしていた——。
その日、誰に知られるでもない戦いの終局へ、少女たちは駆けだしていた——。
      

「私、私を繋いでくれた希望を信じるよ。もちろん健人くんも」
2022年、4月20日の朝——少女は共に並び立つ青年に、その赤い瞳を向けて言った。その言葉に青年は少女を見遣る。横顔に靡く色鮮やかな赤い髪と併せ、淡く輝く目の光。住民が去っていき、廃墟都市となった朝憬市(あかりし)市街地に、尚も射す朝日の陽光と同じ色だった。その光に、青年は左目から一筋涙を流し、静かに言った。
「君が、俺の希望だ」
青年の涙が朝日を反射し、少女の目に映る。
「だから縋って、泣きながら求めてしまって…でも今度こそ俺も信じるんだ」
その言葉に少女ははにかみ、苦笑するが、その目は青年から逸らされることはない。互いに思いを告げ、受け止め合う。

「ありがとう。大丈夫だよ」

「俺の中に、君からの希望がある」

そうして二人は微笑んだ。そのまま今一度朝日に目線を向けて、少女が一つ呟く。
「…そろそろ」
「ああ、時間だな…」
青年が返すと共に、朝日に陰りが見え始めた。同時に地の底から暗闇が立ち上がり、異形の怪物へと姿を変えた。怪物たちは群れを成して二人の居る市街地中央部の廃屋へと向かってくる。少女にはその様が、朝日を遮らんとするかのように映った。二人は互いを見遣り頷き合ったのを最後に、怪物の軍勢を見据えて高らかにその力の名を叫ぶ。

「”チェンジ・スターリードレス”!」

「我が名はリーン…貰い火の温み、ここに在り!」

少女の唱えた魔法——その神秘が星の羽衣を形成し、これを纏う少女は希望の天女へとその姿を変え、猛る青年の叫びは、その身に黒い甲虫を思わせる鎧と火の鳥の剣をその手に形成した。そして天女は右手のブレスレットの光を天に掲げる。片や甲虫は胸に携えた光を輝かせると、腕を横一文字に切って友の名を呼んだ。
「エウィグ!」
「ネーゲル!」
その喚び声に天女の従者たる不死鳥が応えて舞い降り、巨大な白い烏の異形もまた何処からともなく甲虫の下へと現れた。
「皆さま、参りましょう!」
「話、纏まったな…ほいじゃあ一丁いこうや!」
不死鳥の生真面目ながら力に満ちた言葉、そして白烏の気迫溢れる声が、天女と甲虫を奮い立たせる。
「俺らの希望に…」
「命の光に…」

「「未来を」」

その日、誰に知られるでもない戦いの終局へ、少女たちは駆けだしていった——。