私がもらうのは version 7

2023/12/01 00:55 by tau tau
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私がもらうのは
 そもそも誕生日とはそこまで目出度いものなのだろうか。と、考えてしまうようになったのは、一体何歳の誕生日を迎えたときのことだっただろうか。
 子供時分のソレは、誕生日を迎えれば同級生の友達よりも一つ大人になれたような気がしたし、親や親戚から貰える誕生日プレゼントにワクワクすることができた。
 子供時分のソレは、誕生日を迎えれば同級生の友達よりも一つ大人になれたような気がしたし、親や親戚から貰える誕生日プレゼントにだってワクワクしていた。
 しかし、歳を取るほどに社会的責任が少し重くなっていくことに気付いてからか、そんな浮かれた気分に浸れなくなってきたのは否めない。仕事をするようになった今に至っては、下手すればいつの間にか目の前に来ていて、いつも通りに仕事をしているうちに終わっている。なんてことだってある。
 三百六十五個、或いは六個ある普通の日の一つとまではいわないが。
 節目ではあっても、めでたくも特別でもない。
 しかしその分、と言うべきかは分からないが、いつも通りにまじめに仕事をしたお陰かこの歳になって俺にもやっと、誕生日を盛大に祝いたいと思える相手ができた。同級生が結婚、そして当人或いは配偶者の出産を経て子孫を残していく中、遅ればせながら俺もまたライフステージを一段上に進めることができたわけである。
 おめでたいね。本当に。
 子供が大人になるには誕生日を迎えるだけでいいが、大人が更に大人になるには自ら動かねばならないという事実を痛感させられる。そういった意味では彼女との出会い、そして関係の進展こそが俺の誕生日なのかもしれない。
 今度こそ正しく年を取ることができる機会に恵まれたことを僥倖とし、いい年をこいた大人として、まだどうしようもなく子供っぽくて、生意気なことばかり言って正直腹が立つことも多いが、それでも間違いなく愛おしく、いつまでも彼女の隣で彼女の力であり続けたいと思える彼女――
 ――つまり天空橋朋花という最高の担当アイドルの誕生日を盛大に祝うとしよう。
 なに。これからは彼女が歩むその軌跡こそが俺の軌跡でもある。その歩みに恥じることはなく、共に成長していく誇らしき人生の相方に対して未熟な俺は恥じることなく問うこととした。

「誕生日プレゼントに何を買うかマジで決まらなかったので、どうか欲しいものを教えていただけないでしょうか……」
「その情けないセリフをそれらしいモノローグで誤魔化せると思わないでくださいね~?」
 
 ダメか。
 ダメか
「まあ、プロデューサーさんにその手のスマートさを求めたことはないので別に構わないと言えば構いませんが」
「反省はしているので、どうか矛を収めて頂けると……」
 我が家のソファに我が物顔で腰かけた朋花に対し、カーペットに正座しながら減刑を求める。極めて自主的な正座ではあるが、朋花が怒ってないわけではない。まあそりゃ、年頃の女の子が誕生日の前日に頼れる年上の彼氏にこんなことを言われたら、怒らない訳がないんだが。
「『頼れる』ですか……?」
「勝手にモノローグを読むな」
 この辺りのやり取りを踏まえても約三分咲き程度に怒りを抑えてくれている辺りが朋花の人間性なのか、或いは例によって、誕生日によって人は大人になるのではない。という辺りに気付いているのか、は定かではない。
 まあどちらにしても今後のやり取り次第か。できるだけ刑が軽くなるよう自己弁護に励むとしよう。
「……これでも色々と考えたんだよ。これでも。決して忘れてたわけじゃなくて」
「それは大前提の話だと思いますが……まあ、プロデューサーさんにとっては成長なのかもしれませんね」
「それは大前提の話だと思いますが……まあ、プロデューサーさんにとっては成長なのかもしれませんね「相変わらず評価が低いな……」
      

そもそも誕生日とはそこまで目出度いものなのだろうか。と、考えてしまうようになったのは、一体何歳の誕生日を迎えたときのことだっただろうか。
 子供時分のソレは、誕生日を迎えれば同級生の友達よりも一つ大人になれたような気がしたし、親や親戚から貰える誕生日プレゼントにだってワクワクしていた。
 しかし、歳を取るほどに社会的責任が少し重くなっていくことに気付いてからか、そんな浮かれた気分に浸れなくなってきたのは否めない。仕事をするようになった今に至っては、下手すればいつの間にか目の前に来ていて、いつも通りに仕事をしているうちに終わっている。なんてことだってある。
 三百六十五個、或いは六個ある普通の日の一つとまではいわないが。
 節目ではあっても、めでたくも特別でもない。
 しかしその分、と言うべきかは分からないが、いつも通りにまじめに仕事をしたお陰かこの歳になって俺にもやっと、誕生日を盛大に祝いたいと思える相手ができた。同級生が結婚、そして当人或いは配偶者の出産を経て子孫を残していく中、遅ればせながら俺もまたライフステージを一段上に進めることができたわけである。
 おめでたいね。本当に。
 子供が大人になるには誕生日を迎えるだけでいいが、大人が更に大人になるには自ら動かねばならないという事実を痛感させられる。そういった意味では彼女との出会い、そして関係の進展こそが俺の誕生日なのかもしれない。
 今度こそ正しく年を取ることができる機会に恵まれたことを僥倖とし、いい年をこいた大人として、まだどうしようもなく子供っぽくて、生意気なことばかり言って正直腹が立つことも多いが、それでも間違いなく愛おしく、いつまでも彼女の隣で彼女の力であり続けたいと思える彼女――
 ――つまり天空橋朋花という最高の担当アイドルの誕生日を盛大に祝うとしよう。
 なに。これからは彼女が歩むその軌跡こそが俺の軌跡でもある。その歩みに恥じることはなく、共に成長していく誇らしき人生の相方に対して未熟な俺は恥じることなく問うこととした。

「誕生日プレゼントに何を買うかマジで決まらなかったので、どうか欲しいものを教えていただけないでしょうか……」
「その情けないセリフをそれらしいモノローグで誤魔化せると思わないでくださいね~?」
 
 ダメかぁ。

「まあ、プロデューサーさんにその手のスマートさを求めたことはないので別に構わないと言えば構いませんが」
「反省はしているので、どうか矛を収めて頂けると……」
 我が家のソファに我が物顔で腰かけた朋花に対し、カーペットに正座しながら減刑を求める。極めて自主的な正座ではあるが、朋花が怒ってないわけではない。まあそりゃ、年頃の女の子が誕生日の前日に頼れる年上の彼氏にこんなことを言われたら、怒らない訳がないんだが。
「『頼れる』ですか……?」
「勝手にモノローグを読むな」
 この辺りのやり取りを踏まえても約三分咲き程度に怒りを抑えてくれている辺りが朋花の人間性なのか、或いは例によって、誕生日によって人は大人になるのではない。という辺りに気付いているのか、は定かではない。
 まあどちらにしても今後のやり取り次第か。できるだけ刑が軽くなるよう自己弁護に励むとしよう。
「……これでも色々と考えたんだよ。これでも。決して忘れてたわけじゃなくて」
「それは大前提の話だと思いますが……まあ、プロデューサーさんにとっては成長なのかもしれませんね~」
「相変わらず評価が低いな……」