0 千想の魔法 プロットメモ みんなに公開

【1話 赤髪の剣士】

1-1.

暖かな木漏れ日の差すユール森林で、心羽は目を覚ました。記憶はぼんやりしており、なぜ自分がここにいるのか思い出せない。ただ、不安と寂しさが心に広がっていた。

突然、影のような不気味な生き物――影魔が心羽の前に姿を現した。低い唸り声とともに、鋭い爪が心羽を狙う。
「ひっ…!」
本能的に走り出す心羽。ただひたすらに駆け抜ける。

茂みに足を取られ転んだ心羽の前に突然、燃える刃が閃く。
現れたのは赤髪の青年、イジェンドだった。

「おい、下がってろ。」
無駄な言葉を一切省き、イジェンドは剣を振るう。
両手から溢れ出る炎を絡めて影魔を灼き斬るその動きは力強く、洗練されていた。

「…助けてくれて、ありがとう。」
震える声で礼を言う心羽に、イジェンドは冷たく言い放つ。
「礼なら要らない。それより、この森から早く出ろ。影魔にまた襲われるぞ」

しかし、心羽は彼の背中を見つめたまま動かない。その姿に、自分の夢を重ねていた。この人は優しいことができる。もしかしたら、私の夢を叶える方法がわかるかも…。

「ねえ、ついて行ってもいい?」
心羽の声に、イジェンドは眉をひそめる。
「ガキの面倒を見るつもりはない。それに、影魔退治は危険だ。命を捨てる覚悟でもあるのか?」
おおよそ先ほどの怯え逃げ惑っていた少女の言葉とは思えない。正気かこいつは。

しかし心羽はイジェンドを言いくるめる。
「面倒見てもらわなくていいよ、自分のことは自分でするし、勝手について行くだけだから」
その頑固さに、イジェンドは短く溜息をついた。
「好きにしろ。ただし、邪魔はするなよ。」

1-2.

イジェンドに同行した心羽は、影魔退治の現場を目の当たりにする。無数の影魔を前にしても、イジェンドは冷静かつ大胆に剣を振るい続けた。

「すごい…。」
心羽は感嘆しながら呟いた。彼のように強くなれば、人を守ることができる。それは、きっと“優しいこと”に繋がるはずだ。

「私も強くなりたい。ねえ、剣術を教えて!」
心羽は熱心に頼み込むが、イジェンドは冷たく言い放つ。
「断る。教えてやる義理もないし、責任もないからな。優しくなることがお前の夢?知るか、俺には関係ない」

その言葉に少し心が折れそうになるが、心羽は決して諦めなかった。

1-3.

夕方、イジェンドは野営の準備を始める。心羽も手伝おうとするが、慣れない手つきで逆に迷惑をかけてしまう。
「何もしなくていいから、邪魔するな。」

イジェンドは火起こしを始めるが、なかなか上手くいかない。その様子を見た心羽は首を傾げる。どうしてわざわざ手で火を起こしてるの?

心羽は“燃焼の魔法”を使い、火起こしを助ける。
「私ね、人の真似事が得意なの。今のはあなたを真似してみたんだ。」
イジェンドは驚き、心羽はこれが魔法であることを説明する。

「でもあなたも燃やす力があるのに、どうして使わなかったの?」
「別に…。どうでもいいだろ」
イジェンドはこの話題に深入りせず話を終わらせる。

1-4.

夜になり、食事を終えたイジェンドは寝る支度を整える。
一方で何も食べてない心羽が気がかりになる。自分のことは自分でやるとか言う割に、こいつ食事の支度もできないのか。このままだと飢え死にするぞ。まあ、俺には関係ないが。

心羽は焚き火の炎を横目に、木の枝を拾いあげて剣の練習を始める。見よう見真似だけど、強くなるために頑張らなきゃ。

イジェンドは横になったまましばらく眺めていたがいよいよ痺れを切らし、携帯食料をひとつ心羽に投げ渡す。

「ほら、食わなきゃ死ぬぞ」
ったく面倒かけさせやがって。これだからガキは嫌になるぜ。

「これなんていうの?かんぱん?すっごくおいしいね!」
心羽は喜び、乾パンを頬張る。
やっぱりイジェンドは優しいことができる人なんだ。

この時、イジェンドの星座を垣間見る。その輝きに映るのはイジェンドをお兄ちゃんと呼び慕う小さな女の子の姿。彼の妹だろうか…。

1-5.

翌朝、心羽が目を覚ますと、イジェンドの姿は消えていた。代わりに、短い手紙が置かれている。

やはりお前を連れていくわけにはいかない。街に迎えを要請したからそこで待ってろ。

心羽は手紙を握りしめ、落胆する。
「やっぱり、迷惑だったよね…。」

やがてイジェンドの要請を受けたシエルが心羽を迎えに来る。天使のような翼を持つシエルは空を飛び、上空から舞い降りる。
心羽はシエルの容貌と美しい声に驚く。
シエルは心羽を抱えあげると翼を広げて飛び立つ。
森の上空を飛翔してユール城下町へ向かう。

心羽はシエルに連れられてユール城下町を訪れる。
シエルは心羽に街を案内する。

・シエル、心羽を街に案内する
・街が影魔の襲撃に遭う
・シエルから事前に情報を得ていたイジェンドが対処。最小限の被害に留まる
・心羽、影魔の脅威にさらされている街の現状を知る
・街の復旧を手伝おうとするも足でまといにしかならず、自分の無力さを知る
・先の襲撃で元気をなくした女の子を目にする(5〜6歳)
・かつて夢がなかった頃の自分と重なり、必死に元気づけようとする
・魔法の火の粉を振りまいて煌かせ、女の子を喜ばせる
・イジェンド、その様子を偶然目撃
・イジェンドが持つ“ガキ”への印象が変わる
・イジェンド、宿のない心羽に声をかけ、邸宅に迎える
・心羽、イジェンドに夢を語る
・人の傲慢さを忌避するイジェンドが心羽の人格を認める
・心羽、イジェンドの星座から暴走する炎に焼かれる妹の姿を見る
・星晶にイジェンドの星座が宿り、フレイミングドレス解禁

【2.光環の狩人】

・炎の魔女を追うエイミー、情報屋のシエルと接触
・エイミー、シエルの紹介で心羽と接触
・エイミー、影魔狩りする心羽を陰から尾行
・エイミー、怪我した心羽を咄嗟に手当て
・エイミー、心羽に“優しいことができる人”認定される
・エイミー、心羽づてにイジェンドと接触
・影魔に関する手がかり(黒い石)を掴んで帰る
・シエル、黒い石について言及
・「結晶化したエネルギーじゃないかな」
・健人と交信する夢を見るようになる(後の伏線)
・シエル、3人の実力を有効な戦力として認め、影魔発生装置の情報を解禁
・3人は一つめの装置の破壊に向かう
・装置の無尽蔵な生産に追いつかず撤退
・エイミー、心羽の姿勢に絆される
・心羽、エイミーの過去と炎の魔女を知る
・エイミングドレスの解禁
・エイミングドレスで装置にリベンジ、破壊に成功

【3.影魔の指揮者】

・翌日、二つめの装置を破壊に向かう
・影魔を指揮するエクリプス、ウェルトが出現
・装置の破壊/存続をかけて3人とウェルトは戦闘
・ウェルトに敗北、逃走
・戦いで仲間が傷つく危険性、戦いの恐ろしさを知る
・心羽、影魔の件に関わることを忌避する
・その夜、心羽は夢で健人と通信(後の伏線)

【4.有翼の案内人】

・翌朝、イジェンドは単独で装置の破壊に向かおうとする
・戦いの危険性を訴え、止めようとするも振り切られる
・エイミーもイジェンドの後を追う
・取り残された心羽。不安に押しつぶされそうになる
・シエル、怯える心羽に助言
・「怖い、嫌だと思うなら壊してしまえばいいのさ」
・「キミには夢があるんだろう? 夢はキミに力をくれるよ」
・「どんな能力者で、どんな生い立ちかなんて、そんなことは関係ない。夢を持つ者には、無限の力が宿るんだ」
・場面転換、装置を目指し森を進むイジェンドとエイミー
・エイミー、イジェンドを疑いすぎて険悪ムードに
・イジェンドもエイミーの前ではぶっきらぼうな態度が復活
・二人は装置に辿り着くも、待ち伏せしていたウェルトの襲撃に遭う
・シエルに背中を押された心羽、嫌な未来を“壊す”ために走り出す
・ソアリングドレスの解禁
・心羽、宙へ舞い上がり上空からイジェンドたちを追跡
・ウェルトの襲撃に遭い窮地に陥っていた二人と合流
・飛翔能力を活かした立体機動でウェルトを撹乱、その隙を突いて装置の破壊に成功
・ウェルト、防衛目標を失ったため戦略的撤退

【5.兆の夜】

・“兆し”を察知したウェルト、陛下に報告
・陛下、ウェルトに黒い石をいくつか授ける。その石たちは赤く妖しい輝きを放つ
・イジェンド、自宅で保管していた黒い石がなくなっていることに気付く
・心羽、深夜に目が覚める
・人々の悲鳴や物が崩れる重低音を聞き、異常事態を察知する
・家から出てみると街は影魔の群れに襲われ、人々は逃げ惑っている
・影魔による破壊活動で損傷した家屋も多く、凄惨な光景が広がる
・心羽、変身して影魔を迎撃。戦闘のなかでイジェンドやエイミー、シエルを探す
・その間、傷ついた人や悲しむ人を次々と目撃し、あまりの凄惨さに取り乱してしまう
・イジェンドたち3人を発見
・ウェルトが襲撃に参加しており、3人が相手取り交戦中
・ウェルト、黒い石を頭上に掲げ魔術を発動
・爆炎が巻き起こり、イジェンドたち3人は深手を負う
・心羽、恐れていた事態が現実になりパニックに陥る
・さらに周囲の影魔数体が炎を身に纏って活性化
・活性化した影魔の破壊活動により街は火の手をあげる
・エイミー、その光景からかつての炎の魔女による虐殺を想起
・心羽、冷静さを失ったまま単身でウェルトに挑む
・返り討ちに遭い、変身を解かれ、すくみ上がって逃走

【6.絆の形】

・避難者たちに混じって逃げる心羽
・3人を置いてきた罪悪感に苛まれる
・心羽、同じく避難している老婦人に声を掛けられる
・「あら、ごめんなさい、人違いだったわ」
・老婦人はちょうど心羽ぐらいの孫と暮らしており、心羽を孫と見間違えたらしい
・孫とは避難のさなかにはぐれてしまい、もし影魔に襲われていたらと思うと不安で仕方ないという
・今の心羽に老婦人を励ます余裕はなかったが、大切な人をおいたまま逃げて来てしまった無力感は痛いほど伝わった
・逆に老婦人に心配され、両親の所在を訊かれる。それを引き金に次々と感情が溢れる
・“おばあちゃん、私には親も家族もいないの”
・“こんなにたくさん探してるのに、どうして見つからないの?”
・“ずっとずっと探してる。みんな家族がいるのに、どうして私にはいないの?”
・“私がおばあちゃんの家族だったら、私を見つけて、喜んでくれたのかな”
・“お孫さん、心配してもらえて羨ましいなぁ……”
・“羨ましい……”
・“私を心配してくれる人なんか……”
・心羽、この街で出会った3人を想起する。彼らは家族ではないけれど、心羽を心配するし、その存在を認めてくれている
・欲しかった家族———それに近しい存在。友達、というらしい
・“でも逃げてきてしまった…守れなかった”
・“私には優しいことなんてできなかった”
・感情が溢れて泣き出す心羽
・大切な友達が傷つけられている事実、そして喪失してしまう不安が心羽を蝕む
・老婦人が心羽を慰めるも、心羽はその優しさより不安が押し勝ってしまっている
・そうしていると同じく避難している女の子が心羽に声をかける(数日前、心羽が元気付けた女の子と同一人物)
・「魔法使いのお姉ちゃん! どうしたの?」
・「お姉ちゃんにもつらいことがあるの?」
・老婦人が女の子と心羽について会話。心羽は俯いて聞いているだけ
・「あら。このお姉ちゃん魔法使いなの?」
・「そう、本物だよ!でもね、怖くないんだよ。お姉ちゃんは優しいことをする魔法使いなの」
・「この前はキラキラを見せてくれたんだよね!綺麗だったなぁ」
・心羽、女の子の言葉に励まされる
・“この子にはちゃんと、優しいことができてたんだ”
・「お姉ちゃん、またキラキラ見せて!」
・心羽はまた火の粉を振りまいて煌かせる
・キラキラと宵闇を舞う火の粉に、心羽は星空の綺麗な展望台を想起する。そこで出会ったとある青年の影をなぞる
・“私が夢を抱くきっかけをくれた人。その人はイジェンドたちのように強くはなかったし、なにかを解決したわけでもなかった。でもたしかに、優しいことができる人だった”
・“何もできなくても、優しいことができる———矛盾しているようだけれど、あの人はそうだった”
・“なら私だって、優しいことを諦める必要はないはず”
・心羽、ソアリングドレスに変身。老婦人と女の子にお礼を伝えるとイジェンドたち3人の元へ飛び立つ

【7.宵闇に謳う明星の夢】

・3人は大広間にて、今もウェルトと交戦中
・力量でも数の差でも押されており、住民への被害を少しでも抑えるよう立ち回るのが精一杯の状況
・心羽、フレイミングドレスに変身して3人に加勢
・「みんな、逃げちゃってごめん…!」
・ウェルトは一度逃げた心羽を嘲りからかうも、3人はそれぞれの言葉をもってその嘲笑をはっきりと否定
・「心羽ちゃん!戻ってきてくれたのね!」
・「……今は、お前の存在が心強い。」
・「さあ、勇ましき魔法使いの御帰りだよ!」
・心羽に希望を託した3人の思いが重なる
・「私は夢を諦めない…優しいことをしに来たんだ!」
・グロウイングドレスの解禁
・心羽、ウェルトの前でグロウイングドレスに変身
・ウェルト、心羽に攻撃を受け止められた上に押し返され、そのパワーに驚愕する
・ウェルト、街中に散らばる影魔を招集し心羽を襲わせる。さらに自身も参加し総攻撃で心羽を落としにかかる
・心羽、ウェルトを躱しながら次々と影魔を倒す
・「不安なことも嫌なことも、この手で壊してみせる」
・手下を失ったウェルトは心羽と一騎討ちになる
・追い詰められたウェルト、先ほど影魔に使った黒い石を自分に対して使用。全身が激しい炎に飲み込まれ半狂乱状態に陥る
・「これが陛下の力だ…!」
・ウェルトの炎が暴走する様を見たイジェンドは自分のカルナに疑いを抱く
・凶暴になったウェルト、なりふり構わずに心羽を攻撃する
・大広間へ先ほどの老婦人と女の子が駆けつける(これは影魔が招集されて街が安全になったため。避難していた住民達も共に帰ってくる)
・「魔法使いのお姉ちゃんだ!がんばれー!」
・ウェルトと戦う心羽の姿を見た街の住民たちは、影魔の脅威から解放される未来をはじめて想像する
・「もう、影魔に怯えなくていいかもしれない…!」
・「負けるな、頑張れ!」
・女の子や老婦人、街の住民たちの声援を受けて心羽の魔法が煌きを増す
・ウェルト、声援を受けた心羽に手も足も出ないまま撃破される
・心羽の勝利に街中が歓喜する、希望を告げるように朝陽が街を照らす
・たくさんの人が喜ぶ姿を目の当たりにした心羽は夢に確実に近付いた実感を得る
・心羽の夢を見守っていたシエル、その確実な成長を目にして優しく声をかける
・「どうだい、“ヒーロー”になった気分は」
・「大勢の人に優しいことができる。そんな人のことを、ボクたちは“ヒーロー”と呼ぶのさ」
・「“ヒーロー”………。私の目指す夢には、ちゃんと名前があったんだね」

【8.残香の行方】(及びそれ以降)

数日が経過。

エイミーは先日の襲撃の光景を思い出してモヤモヤする。炎に包まれた影魔の群れが街を火の海にする様子がどうしても炎の魔女を連想させるからだ。炎の魔女の正体は、ウェルトだった…?

イジェンドはまだ壊していない装置があるため破壊に向かう。自身に宿る先天的な炎のカルナ。原因は不明なままだったが、先日のウェルトが纏っていた暴走する炎がとても他人事とは思えなかった。ウェルトが残した“陛下の力”という発言から、彼に力を与えた人物がいるならば、この謎に迫れるかもしれない。

・イジェンドを止めるため陛下出撃。

・シエル、陛下の居所を特定し3人に伝達。乗り込む

・心羽、シエルの星座から彼が死んでしまう姿を見る

・エイミーのイジェンドに対する姿勢の変化

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