モルの手記⑫ 月野莉音 (※執筆中) version 2

2021/11/25 20:18 by sagitta_luminis sagitta_luminis
  :追加された部分   :削除された部分
(差分が大きい場合、文字単位では表示しません)
モルの手記⑫ 月野莉音
可愛くない。

可愛くないから死にたい。

でも私が死んだら悲しむ人がいるんだよな。

——————————————————————————————

貧乏ながらも愛情のある家庭に生まれた。両親が共働きで、私は0歳のうちに保育園に預けられた。親はいつも忙しそうにしていた。特に父親はトラックドライバーで、週に1度家に帰ってこれるかどうかという忙しさだったけれど、帰ってきたら必ず一緒に遊んでくれた。私を第一に考えてくれる優しい両親だと実感していた。

——————————————————————————————

「男のくせにピンクが好きなんてだせー」
「莉音くんは男の子でしょー?あっち行ってよ」
男の子なのに可愛いものが好きな私は、周囲から奇異の目で見られた。物心ついた時には既に自分が嫌いだった。可愛くなかった。変な人だった。おかしい人だった。除け者だった。邪魔者だった。
保育園で私は誰とも仲良くできず、独りぼっちだった。

——————————————————————————————

「ねえ、どうして僕は男の子なの?」
「どうしてって…。莉音くんは生まれた時から男の子よ。」
「…女の子に生まれたかった。」
「そうなの…。女の子に生んであげられなくてごめんね。」
その頃から私は、言語化が得意ではなかった。そんな質問がしたかったわけじゃない。みんなから嫌われることに納得できなかっただけ。もし女の子に生まれていたら、仲間はずれにされなかったかも知れないと思っただけ。でも親の哀しそうな目を見て、もうこの話はしちゃいけないんだと悟った。

——————————————————————————————

「誕生日、何が欲しい?」
「プリンセスのドレス!」
おもちゃ屋にあった、とあるプリンセスのなりきり衣装。
「莉音くん、あのね…それは女の子が着るものなの…」
親はまたあの時のように哀しい目を見せた。親にそんな顔をさせてしまう自分を酷く嫌った。私はおかしい子だ。親を傷つける不孝者だ。自分の思いを口にしてはいけないと、この時誓った。
親はまたあの時のように哀しい目を見せた。親にそんな顔をさせてしまう自分を酷く嫌った。私はおかしい子だ。親を傷つける不孝者だ。もう自分の思いを口にしないと、この時誓った。

——————————————————————————————

私は心を閉ざすのが早かった。小さい頃から絵本やお絵描き、ピアノに夢中になり、ひとりの世界にのめり込んだ。      

可愛くない。

可愛くないから死にたい。

でも私が死んだら悲しむ人がいるんだよな。

——————————————————————————————

貧乏ながらも愛情のある家庭に生まれた。両親が共働きで、私は0歳のうちに保育園に預けられた。親はいつも忙しそうにしていた。特に父親はトラックドライバーで、週に1度家に帰ってこれるかどうかという忙しさだったけれど、帰ってきたら必ず一緒に遊んでくれた。私を第一に考えてくれる優しい両親だと実感していた。

——————————————————————————————

「男のくせにピンクが好きなんてだせー」
「莉音くんは男の子でしょー?あっち行ってよ」
男の子なのに可愛いものが好きな私は、周囲から奇異の目で見られた。物心ついた時には既に自分が嫌いだった。可愛くなかった。変な人だった。おかしい人だった。除け者だった。邪魔者だった。
保育園で私は誰とも仲良くできず、独りぼっちだった。

——————————————————————————————

「ねえ、どうして僕は男の子なの?」
「どうしてって…。莉音くんは生まれた時から男の子よ。」
「…女の子に生まれたかった。」
「そうなの…。女の子に生んであげられなくてごめんね。」
その頃から私は、言語化が得意ではなかった。そんな質問がしたかったわけじゃない。みんなから嫌われることに納得できなかっただけ。もし女の子に生まれていたら、仲間はずれにされなかったかも知れないと思っただけ。でも親の哀しそうな目を見て、もうこの話はしちゃいけないんだと悟った。

——————————————————————————————

「誕生日、何が欲しい?」
「プリンセスのドレス!」
おもちゃ屋にあった、とあるプリンセスのなりきり衣装。
「莉音くん、あのね…それは女の子が着るものなの…」
親はまたあの時のように哀しい目を見せた。親にそんな顔をさせてしまう自分を酷く嫌った。私はおかしい子だ。親を傷つける不孝者だ。もう自分の思いを口にはしないと、この時誓った。

——————————————————————————————

私は心を閉ざすのが早かった。小さい頃から絵本やお絵描き、ピアノに夢中になり、ひとりの世界にのめり込んだ。