新クレギオンPrivateReaction『人参と片想い』(6) version 1
新クレギオンPrivateReaction『人参と片想い』(6)
# 新クレギオンPR『人参と片想い』(6)
少し落ち着いてから、ようやくエルミリアはレフにお祝いの言葉が言えた
「初めてなのに凄かったね。世界征服おめでとう、レフ」
「ありがとう。君に何度も助けてもらいながらの勝利だったけど、楽しかったよ」
「私もとっても楽しかった! 最後はなんだか嬉しくて、泣いちゃった」
「嬉しくて?」
「うん。レフに『一緒の世界に居よう』って言ってもらえたのが嬉しかったの」
「ああ、あれは本当に貴重な経験だった。
もし世界が征服できるような大きさだったとしても、戦いの果ては自分だけの思い通りの世界を望むのか、対話がある世界を望むのかという問いが待っていることを実感したよ」
「うん。昔は世界も星が一つで小さかったから、限られたものを奪い合っていたんだね。
だけど、世界が宇宙へと、星々へとどんどん広がっていって、一人の手で征服できるような広さに収まらなくなっても、どうして世界から争いは無くならないのかな。
どうしてレフは戦い続けているの?」
「ボクは大きさに関わらず世界は”ただそこにある”というだけで人間に残酷で無関心だと思っている。僕たちは世界に”愛されない”から、僕たちは世界に”幸せを得る”資格を与えられていない。僕たちができるのは、世界の残酷さを憎悪し、世界の無関心さに爪を立て、”私はここにいる”と傷跡を残すことでしかない。だから僕たちは戦っているんだ」
「それがレフが戦っている理由。そっかぁ……レフは世界に片想いしてるの?」
「片想い。比喩としてそうかもしれない。世界に”幸せを得る”資格を与えられていないから、世界に”愛されない”残酷さを憎悪している様は世界への片想いと言えなくもないね」
「私は……みんなが世界に愛されて、幸せになれるかとか良くわかんないけど
幸せっていつまでも続く状態じゃなくて『時間』なのかなって
こんなこと言うと今も真剣に戦っているレフに嫌われちゃうかもしれないけど……
私ね、レフとこうして遊んだりお話しできる『時間』嬉しいよ、幸せだよ。
だからもし、レフも私との時間をほんの少しでも嬉しい、幸せって感じてくれるなら
それがレフの世界への片想いの痛みや苦しみを少しでも和らげられるなら、嬉しい。
ずっとレフの側に居れるようにいっぱい頑張るね」
それにはレフは言葉では答えてくれなかったけれど、そっと私を抱きしめてくれた
レフとずっと一緒にいたいと、心からそう思った
(おわり)
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少し落ち着いてから、ようやくエルミリアはレフにお祝いの言葉が言えた
「初めてなのに凄かったね。世界征服おめでとう、レフ」
「ありがとう。君に何度も助けてもらいながらの勝利だったけど、楽しかったよ」
「私もとっても楽しかった! 最後はなんだか嬉しくて、泣いちゃった」
「嬉しくて?」
「うん。レフに『一緒の世界に居よう』って言ってもらえたのが嬉しかったの」
「ああ、あれは本当に貴重な経験だった。
もし世界が征服できるような大きさだったとしても、戦いの果ては自分だけの思い通りの世界を望むのか、対話がある世界を望むのかという問いが待っていることを実感したよ」
「うん。昔は世界も星が一つで小さかったから、限られたものを奪い合っていたんだね。
だけど、世界が宇宙へと、星々へとどんどん広がっていって、一人の手で征服できるような広さに収まらなくなっても、どうして世界から争いは無くならないのかな。
どうしてレフは戦い続けているの?」
「ボクは大きさに関わらず世界は”ただそこにある”というだけで人間に残酷で無関心だと思っている。僕たちは世界に”愛されない”から、僕たちは世界に”幸せを得る”資格を与えられていない。僕たちができるのは、世界の残酷さを憎悪し、世界の無関心さに爪を立て、”私はここにいる”と傷跡を残すことでしかない。だから僕たちは戦っているんだ」
「それがレフが戦っている理由。そっかぁ……レフは世界に片想いしてるの?」
「片想い。比喩としてそうかもしれない。世界に”幸せを得る”資格を与えられていないから、世界に”愛されない”残酷さを憎悪している様は世界への片想いと言えなくもないね」
「私は……みんなが世界に愛されて、幸せになれるかとか良くわかんないけど
幸せっていつまでも続く状態じゃなくて『時間』なのかなって
こんなこと言うと今も真剣に戦っているレフに嫌われちゃうかもしれないけど……
私ね、レフとこうして遊んだりお話しできる『時間』嬉しいよ、幸せだよ。
だからもし、レフも私との時間をほんの少しでも嬉しい、幸せって感じてくれるなら
それがレフの世界への片想いの痛みや苦しみを少しでも和らげられるなら、嬉しい。
ずっとレフの側に居れるようにいっぱい頑張るね」
それにはレフは言葉では答えてくれなかったけれど、そっと私を抱きしめてくれた
レフとずっと一緒にいたいと、心からそう思った
(おわり)