10.5.食卓と贖い version 2

2024/01/14 12:00 by someone
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白紙のページ10.5
「今のが、貴様の回答でいいのか?こちらにはまだ戦力が残っている」
蹴り飛ばされた悪魔が健人を強く睨んで言った。
「あの小僧を屠るなど造作もない。秘宝を渡せ!貴様自身の意志で!」
激昂する悪魔の言葉に、健人は顔をしかめる。この期に及んでハッタリではないとネーゲル自身の意識が健人にそう直感させた。
彼の三分間に対しても、この男は時間を稼いでいた節があった。そんな奴がここで稚拙な手段に出るとは思えない。
"健人、このまま歩け。合図したら全力で力をーーカルナを出せ"
"何する気だ?"
"連れてってやる"
その通りに歩き出す。悪魔が手を左耳に相当する部位に運ぶ。その瞬間ネーゲルが叫んだ。
"今じゃ!!"
「殺れ!!」
ブレスレットを通じて自身の内の力を解き放つ。その直後、健人の目の前に囚われた初樹がいた。そこに迫るは影魔達の攻撃。即座にブレスレットで障壁を張る。そして初樹の身体の拘束を解いた時、健人の内にネーゲルの声が今一度響いた。
"もう一回じゃ!カルナを!!"
そうして輝くブレスレットの光に照らされた初樹の頬には、涙の跡が見えた。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

ガラスの砕かれた窓の方から声が響いた。
「事と彼の力を私物化せんとした裏切り。また我々の存在を暴露。全く狂的に過ぎるな、エヴルア」
「ならどうした?俺を殺りにでも来たか?」
老いた男の声に、エヴルアが舌打ち交じりに言葉を返す。それと同時に闇色の靄が4つ、窓の砕けた夜空から5階に入り込んできた。やがて4つの靄は人の形を象り、バベル、ゾルドー、アゼリア、ゼンの姿となってエヴルアを囲むように現れる。
「こういう極端を言う性質は、この星の人間の言葉で何と言ったかな?ゾルドー」
「ヒステリーだ」
「ああそうだ、そうだった。ヒステリー…実に君のためのような言葉だな、エヴルア」      

「今のが、貴様の回答でいいのか?こちらにはまだ戦力が残っている」
蹴り飛ばされた悪魔が健人を強く睨んで言った。
「あの小僧を屠るなど造作もない。秘宝を渡せ!貴様自身の意志で!」
激昂する悪魔の言葉に、健人は顔をしかめる。この期に及んでハッタリではないとネーゲル自身の意識が健人にそう直感させた。
彼の三分間に対しても、この男は時間を稼いでいた節があった。そんな奴がここで稚拙な手段に出るとは思えない。
"健人、このまま歩け。合図したら全力で力をーーカルナを出せ"
"何する気だ?"
"連れてってやる"
その通りに歩き出す。悪魔が手を左耳に相当する部位に運ぶ。その瞬間ネーゲルが叫んだ。
"今じゃ!!"
「殺れ!!」
ブレスレットを通じて自身の内の力を解き放つ。その直後、健人の目の前に囚われた初樹がいた。そこに迫るは影魔達の攻撃。即座にブレスレットで障壁を張る。そして初樹の身体の拘束を解いた時、健人の内にネーゲルの声が今一度響いた。
"もう一回じゃ!カルナを!!"
そうして輝くブレスレットの光に照らされた初樹の頬には、涙の跡が見えた。

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ガラスの砕かれた窓の方から声が響いた。
「事と彼の力を私物化せんとした裏切り。また我々の存在を暴露。全く狂的に過ぎるな、エヴルア」
「ならどうした?俺を殺りにでも来たか?」
老いた男の声に、エヴルアが舌打ち交じりに言葉を返す。それと同時に闇色の靄が4つ、窓の砕けた夜空から5階に入り込んできた。やがて4つの靄は人の形を象り、バベル、ゾルドー、アゼリア、ゼンの姿となってエヴルアを囲むように現れる。
「こういう極端を言う性質は、この星の人間の言葉で何と言ったかな?ゾルドー」
「ヒステリーだ」
「ああそうだ、そうだった。ヒステリー…実に君のためのような言葉だな、エヴルア」