霹天の弓 ー1章ー【第3話】 version 3

2019/03/14 22:11 by sagitta_luminis sagitta_luminis
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霹天の弓 ー1章ー【第3話】
その後はどっと疲れていたのか、心羽は自宅に帰ると倒れこむように眠った。あまりに深く眠っていたものだから、次に起きた時には翌日の昼を迎えていた。
その後はどっと疲れていたのか、心羽は自宅に帰ると倒れこむように眠った。あまりに深く眠っていたものだから、次に起きた時には翌日の昼を迎えようとしていた。
「…ウソ⁉」
遥香との公園での約束を思い出して飛び上がった心羽は諸々の身支度も早々に、自室のある二階から一階へ階段を転がり落ちるように降りていく。せめて母に挨拶だけでもしようと、リビングに繋がる戸を「おはよう」の一言と共に急いで開けると…そこにいたのはテーブルを挟み、椅子に腰かけて談笑している詩乃と遥香。
「えっ」
思わず驚嘆の声が口を突いて出る心羽。その様子を見て三人の間に一瞬間が空く。それを受けて更に詩乃と遥香の口元から笑みが零れた。
いやいやいや、どゆこと⁉」
ちょっとまって、どゆこと⁉」
目の前の状況を飲み込めない心羽は、二人に問いたださずにはいられなかった。
「どういうことって、遥香ちゃんは心羽を待っててくれたのよ」
「いえ、私もお母さんと話せて楽しかったですし…昨日こっちゃん、ちょっと疲れてた様子だったから心配しちゃって。押しかけて、本当に何と言ったらいいか…すみません」
「いえ、私もお母さんと話せて楽しかったですし…昨日こっちゃん、ちょっと疲れてた様子だったから気になって。押しかけてしまって、何と言ったらいいか…すみません」
「いいのよ、遥香ちゃんのような子が一緒にいてくれて良かった。ね、お寝坊さん?」
ああ…そういうこと。昨日のことで疲れてたし、待ち合わせた公園に来なかったから…ここにいたのは驚いたけど、心配してくれたんだ。二人の話した内容から、心羽はようやく理解を追いつかせる。しかし…お寝坊さんってああ…そういうこと。昨日のことで疲れてたし、待ち合わせた公園に来なかったから…ここにいたのは驚いたけど、心配してくれたんだ。二人の話した内容から、心羽はようやく理解を追いつかせる。
「…来てたなら、起こしてくれたってよかったのに。「だってあなた、ずっと起きなかったよ?呼びかけても、肩トントンしても、ちょっとつねっても、ご飯ですよって言っても…ずーっとクカ~って。どうしたの一体?昨日もちょっと遅かったし」
その一連の事象を赤面しながら聞かされるとともに、母からの心配と疑問の声に何と答えたらいいか、心羽の口は「えっと、それは…」ともごもご動くものの、上手く言葉になりそうもない。その様子を受けて遥香がそっと助け舟を出す。
「こっちゃん、昨日アレグロの練習で、ちょっと難しそうなパートがあったんです。それに一生懸命になってて、それでちょっと…」
「あ、そうなの…遥香ちゃんはそれに付き合ってくれてたの?」
「ええ、まあ…」
一瞬、遥香の右目が心羽に向くと、「ごめんね」と伏せられる。心羽も同じく遥香に向けて、「大丈夫」と左目を伏せた。
一瞬、遥香の右目が心羽に向くと、「ごめんね」と伏せられる。心羽も同じく遥香に向けて、「ありがとう」と左目を伏せた。
「ありがとね、遥香ちゃん。心羽、一生懸命になると凝り出しちゃうところあるけど…仲良くしてやってね」
「いえ、私もそういうとこありますから…ありがとうございます」
「もういいでしょ、お母さん…はるちゃん、公園行こう」
そこまでで敢えて話を切って、心羽と遥香はそそくさと家を出る。向かった先は、ルクスカーデン二番街、モーヴル公園である。
「もういいでしょ、お母さん…行こ、はるちゃん」
そこまでで敢えて話を切って、心羽と遥香はそそくさと家を出る。向かった先は、ルクスカーデン二番街、木々の生い茂るモーヴル公園である。      

その後はどっと疲れていたのか、心羽は自宅に帰ると倒れこむように眠った。あまりに深く眠っていたものだから、次に起きた時には翌日の昼を迎えようとしていた。
「…ウソ⁉」
遥香との公園での約束を思い出して飛び上がった心羽は諸々の身支度も早々に、自室のある二階から一階へ階段を転がり落ちるように降りていく。せめて母に挨拶だけでもしようと、リビングに繋がる戸を「おはよう」の一言と共に急いで開けると…そこにいたのはテーブルを挟み、椅子に腰かけて談笑している詩乃と遥香。
「えっ」
思わず驚嘆の声が口を突いて出る心羽。その様子を見て三人の間に一瞬間が空く。それを受けて更に詩乃と遥香の口元から笑みが零れた。
「ちょっとまって、どゆこと⁉」
目の前の状況を飲み込めない心羽は、二人に問いたださずにはいられなかった。
「どういうことって、遥香ちゃんは心羽を待っててくれたのよ」
「いえ、私もお母さんと話せて楽しかったですし…昨日こっちゃん、ちょっと疲れてた様子だったから気になって。押しかけてしまって、何と言ったらいいか…すみません」
「いいのよ、遥香ちゃんのような子が一緒にいてくれて良かった。ね、お寝坊さん?」
ああ…そういうこと。昨日のことで疲れてたし、待ち合わせた公園に来なかったから…ここにいたのは驚いたけど、心配してくれたんだ。二人の話した内容から、心羽はようやく理解を追いつかせる。
「…来てたんなら、起こしてくれたってよかったのに。」
「だってあなた、ずっと起きなかったよ?呼びかけても、肩トントンしても、ちょっとつねっても、ご飯ですよって言っても…ずーっとクカ~って。どうしたの一体?昨日もちょっと遅かったし」
その一連の事象を赤面しながら聞かされるとともに、母からの心配と疑問の声に何と答えたらいいか、心羽の口は「えっと、それは…」ともごもご動くものの、上手く言葉になりそうもない。その様子を受けて遥香がそっと助け舟を出す。
「こっちゃん、昨日アレグロの練習で、ちょっと難しそうなパートがあったんです。それに一生懸命になってて、それでちょっと…」
「あ、そうなの…遥香ちゃんはそれに付き合ってくれてたの?」
「ええ、まあ…」
一瞬、遥香の右目が心羽に向くと、「ごめんね」と伏せられる。心羽も同じく遥香に向けて、「ありがとう」と左目を伏せた。
「ありがとね、遥香ちゃん。心羽、一生懸命になると凝り出しちゃうところあるけど…仲良くしてやってね」
「いえ、私もそういうとこありますから…ありがとうございます」
「もういいでしょ、お母さん…行こ、はるちゃん!」
そこまでで敢えて話を切って、心羽と遥香はそそくさと家を出る。向かった先は、ルクスカーデン二番街、木々の生い茂るモーヴル公園である。