適当に執筆したやつ version 2

2025/05/24 18:31 by abisu
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適当に執筆したやつ
日本 法務省 公安調査庁

明かりの落ちたサーバールーム。
その部屋の中で一台のPC起動していた。
黒フードを被った男がそのPCを操作している。
様々な機器が並ぶその部屋の中で一台の筐体光を発していた。
黒フードを被った男がその筐体を操作している。
『秘匿要員リスト』という名前のファイルをダブルクリック。
キーボードを叩き、ファイルを検索する。
すると画面には老若男女様々な人のプロフィールのようなものがずらりと並んでいた。
男はそれらを凝視した。
あいにく、こういった機密情報が保存された機械はUSBなど差し込めないよう設計されている。
画面には次々とプロフィールが映出される男はカメラを取り出し画面に映るプロフィールを撮影「日本:法務省公安調査庁」
「国際組織:国際テロ対策機構」
「イギリス:秘密情報部」
「アメリカ:中央情報局・特別活動センター」
「イスラエル:イスラエル諜報特務庁」
などと、様々な諜報機関や準軍事工作部隊などが表示されていなどと、様々な諜報機関や準軍事工作部隊などが表示される
プロフィールをスクロールしていると、突然背後から光が刺してきた。
「おい…そこのお前っ、何してる!?動くな!」
巡回に来た警備員のようだ。
「警備11よりHQへ、至急至急。SBに不審人物あり。現時、不審事案対応中。応援求む」
『HQより警備11へ。不審事案の件把握した。現時応援を要請中。状況は待機せよ。以上、確認』
警備員は無線を手に取り、連絡を始めた。
「警備11よりHQへ、至急至急。SRに不審人物あり。現時、不審事案対応中。応援求む」
『HQより警備11へ。不審事案の件把握しました。現時応援を要請中です。状況は待機していてください。以上、確認』
「警備11、把――」
言い終わる前に男はUSB抜き取り口に加えるた状態で警備員に襲いかかった!
言い終わる前に男は撮影やめ、警備員に襲いかかった!
右ストレートと見せかけて警備員の背後に周り、肘で首を絞める。
「うぐっ!?」
首を絞められた警備員は気を失って倒れた。
男はそのまま部屋を抜け出し、廊下へと走り抜ける
数秒首を絞められた警備員は気を失って倒れた。
男はそのまま部屋を抜け出し、廊下へと走り抜ける
『警備11、確認。……警備11、確認せよ。警備11、応答願う』
しかし、倒れた男の口から返答は発せられなかった
『――応答なし……HQより全体へ、至急至急。施設内にて不審事案発生!事案対応中の警備11との連絡途絶え、現時状況不明瞭。待機中の警備関係者は不審人物の捜索及びその他対応に当たれ』



男はガラス越しに見える夜景を左に見ながら、廊下を走り抜けていた。
すると目の前の階段から誰かが駆け上がって来た。
白髪、左耳に掛けられたダイヤモンド、間違いない。
旧テロ狩り隊長『桐ヶ谷 青城』だ。
桐ヶ谷カランビットブレイカーを取り出したのを見た男桐ヶ谷カランビットブレイカーを取り出した。
「テロ狩り……面白い!」
男はキクナイフ逆手持ちで構える。
距離を縮めナイフを下ら切り上げる。
青城はそれをバックステップで躱す。
男は袖からウッドスピア取り出す。
距離を縮めた男は突然しゃがみ、ウッドスピアで足に向って数突き。
青城はそれをバックステップで躱す。
(ウッドスピア、手慣れですか)
互いに見合い、次の一手を窺う。
キクナイフですか。いやはや、恐ろしいものをお持ちのことで」
いいならカランビットを回し始める。
「これではテロリストというより手慣れた軍人を相手にしているようですよ。プロ相手とうのは、いつの時代も嫌ですね」
ウッドスピアですか。大層なものをお持ちのことで」
桐ヶ谷は男が握るウッドスピアを見て言った。
「出来がいいですね、手間暇かけて作ったようで。力作ですか?」
会話の傍カランビットを回し始める。
「これではテロリストというより手慣れた軍人を相手にしているようで……、いつの時代も嫌ですね。プロ相手というのは適当に振り回しているように見えるが、急所を守るように動かしている。
が、男もウッドスピアのため回しやすい。
真似するかのようにウッドスピアを回転させる。
「テロ狩りに言われたかないな」
「元、テロ狩りです」
落ち着いた風格の桐ヶ谷。
それを聞い眉間にシワせた男。
「ほざけっキクナイフを脇目掛けて一突き。
それを聞いた男の眉間にシワ。
「ほざけっ」
ウッドスピアで、脇目掛けて一突き。
が、バックステップで交わされてしまう。
むしろカランビットで手首の内側を絡められ、キクナイフを奪われてしまった。
チッと舌打ちしつつ、反撃を逃れるため蹴りを入れて距離を取る。
(この重さ……靴に何か仕込んでいるチッと舌打ちしつつ、反撃を逃れるため桐ヶ谷にカーフキックを入れる。
「!?」
反応が一瞬遅れた桐ヶ谷は避け切れず掠ってしまった。
(この蹴り重さ……靴にステンレスを仕込んでいる再度距離を取り、身構える二人。
すると、男の背後。
廊下の角から武装した警備の応援が駆けつけた。
応援の部隊は距離を取って男に銃を向ける。
「青城さん、避けて!」
流れ弾を喰らわないように青城が壁に寄る
「動くな、両手をあげろ!後ろを向いて、膝をつけ!」
大声で発すると、男は静かに両手をあげて投降した。
「現場よりHQへ、至急至急。対象発見、現時対象は投降中」
『HQより現場へ。了解……安全確認について完了しましたか?状況説明お願いします』
「現場よりHQへ。それに関しては以後、対応します」
『HQ把握。拘束及び安全確認後、連行してください。以上、確認』
「現場把握。以上」
無線での状況説明を終え、応援部隊が男の拘束に取り掛かる。
「03と04、後方ロック。0201のカバー」
「03と04、後方ロック。0201のカバー」
「たった4マンセルで対応するんですか!?増援を待つべきです」
「待ってたら逃げられる。黙って俺のカバーをしろ……射線外すなよ」
01が男に近づき、拘束のために銃を下ろす。
直後、男が01に襲いかかった。
02が男に向けて射撃するが、男は01を盾にする。
01の右肩に命中する銃弾。
「ぐぁっ!」
左手で肩を抑える01を男は投げ捨てた。
「!?」
青城が反応して動こうとするが、男は素早く01のハンドガンを奪い、桐ヶ谷に向ける。
(まずい、これでは迂闊に近づけない……!)01が男に銃を向けながら叫ぶ。
「膝をついたまま、後ろ歩きでこっち来いっ!!」
男は指示に従って歩き始めた。
桐ヶ谷は流れ弾を喰らわないよう壁に寄りながらも、男の背後約5mの距離をとって追従した。
その時だった。
突然、桐ヶ谷のナイフが弾かれた。窓を振り返ると、そこには弾痕。
(狙撃!?)
直後、遅れて発砲音が響く。
その音にハッとして男の方に視線を戻した。
が、見ると投降を促していた隊員たちも同様に銃を撃ち抜かれていた。
「スナイパー!」
と叫びながら柱の影に隠れる隊員。
(まさか……同時に狙撃されたか?いや、とにかくまずい。このままでは撃たれる)
チャンスと踏んだ男は桐ヶ谷の脇を転がり抜けた。
対応したいところだが、スナイパーに狙われた状態ではそれもできない。
傍に物陰がなかった桐ヶ谷はスナイパーの狙いを避けるためジグザグにダッシュした。
こうすれば、スナイパーのスコープから桐ヶ谷がスコープアウトし、狙撃は不能となる。
が、予想外のことが起きた。
桐ヶ谷の腹にとてつもない痛みが走った。
それはまるで、腹を全力で殴られたような痛み。
遅れて耳に窓ガラスの割れる音と銃声が入って来た。
(狙撃された……!?)
桐ヶ谷、そしてその様子を見ていた隊員は驚愕していた。
それもそのはず。通常、動く標的の狙撃は”不可能”なのだ。
なんとかまだ走れた桐ヶ谷は階段の途中にある柱の陰に身を隠した。
撃たれたところを確認すると、弾丸は奇跡的に防弾プレートに阻まれていた。
それでも直撃したことに変わりは無いため痛みを感じたのだろう。
安心したのも束の間。桐ヶ谷の脳裏に先ほどの不自然な狙撃が過ぎる。
(狙撃というのはゲームと違い、動く標的を計算して撃つことは不可能。しかし現に私は撃たれた。それに、思い返せば第一射から第二射までが早すぎる。仮に狙える技術があったとしても、とてもあの短時間で動く標的を捉え続けるののは人間には不可能だ。……いや待て。”人間”には不可能だが……)
桐ヶ谷の頭にはあるものが浮かんでいた。
その名も『SMASH X4』
イスラエルのSmart Shooter社が近年開発し、軍事界隈で注目を集めている製品。
AIによる射撃管制システムを搭載した照準器。
ゲーム的に言うならばオート射撃といったところ。
十年以上前から弾道計算が可能なシステムは存在したものの、小銃に取り付けるコンパクトさやコストの課題などが山積みで実現されていていなかったが『SMASH X4』は例外だった。
引き金を引き続けながら、スコープに映る指示に従い標的を狙う。
そして、AIが当たると判断したタイミングで引き金のロックを解除し半自動で発砲。
100%では無いものの、それに近い確率で命中する。
たとえそれが、”動く標的”であっても。
なんなら、ドローン対策に良いと評価されるくらいだ。
しかも昼夜お構いなしの高性能。
桐ヶ谷はAIにしてやられたのだ。
「やれやれですな」
桐ヶ谷は柱の陰で立ち上がり、一言呟いた。
「やはりいつの時代も、科学の進歩というのは目覚ましいものです」
すると、背後から足音が迫った。
「青城さん!無事ですか!?」
振り返ると、隊員たちが来ていた。
「おや、スナイパーはもう狙ってませんでしたか」
「ナイトビジョンで確認しましたが、もうレーザーが見えなかったので、一か八かで……」
それを聞いた桐ヶ谷は笑いながら言った。
「はっはっは、随分と大胆ですなぁ。若者は度胸があって良い」
「それよりも、フードを被った人物は―――」
「今から追跡は厳しいです。……なに、心配しなくとも。こちらの方で追跡チームの組みますよ」
と言って歩き去っていった。


〜完〜


その他解説・資料等

【狙撃地点・距離】
![スクリーンショット 2025-05-24 17.15.52](https://mimemo.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/attachment/5331e44b-0251-4638-9949-0c5671bbbd10.png)
距離 約668m

【スナイパーの逃走経路】
![スクリーンショット 2025-05-24 17.17.40](https://mimemo.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/attachment/41fcf3a6-1789-4b1e-ae5e-9be9c0eff460.png)
徒歩で新橋駅まで5分。その後、新橋駅から電車で逃走。

【法務省公安調査庁のサーバールームに侵入した男の逃走経路】
![スクリーンショット 2025-05-24 17.25.50](https://mimemo.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/attachment/dc23251a-a45f-4609-8689-8efa3a717d8e.png)
新橋駅前まで逃走。スナイパーと経路が被らないよう新橋駅前のバス停からバスで逃走。

【カランビットブレイカー】
![カランビットブレイカー](https://mimemo.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/attachment/c9eb587c-f914-44cb-bd08-5525a8e5bdbf.jpeg)
桐ヶ谷 青城が普段から使うお気に入りのナイフ。
通常のカランビットナイフと違い、ブレイカーは引く時も切れるため、一度の攻撃で2度切れるという利点がある。

【ウッドスピア】
![ウッドスピア](https://mimemo.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/attachment/2198f469-ffc3-471b-9f4e-877a992c6f55.jpeg)
木の枝で作れる武器。
名前の通りスピア(槍)のため、切る武器ではなく刺す武器である。
切れないのは刃がないからだが、メリットとして刃が無い分持てる部位が増え持ち替えなどがしやすい。もちろん回すことも。
また、木で作られ炭で色付けされるため暗器としても優秀。
特にサバイバル的な環境では有能だ。
桐ヶ谷が驚いていたのは都会の真ん中でそれを使っていたため。
男がこれを使っていた理由は、やはり使い手の好みのためだ。

【SMASH X4】
https://youtu.be/DXY7N3yWj8U
Smart Shooter社が開発したAIによる射撃管制システムを搭載した照準器。
動画を見て分かる通り実在する。
対人はもちろん、作中で言及されているように対ドローンとして期待されている。
が、赤外線レーザーで距離の測定をしているため、それで射線がバレるという点も指摘されている。

【ナイトビジョン】
![ナイトビジョン](https://mimemo.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/attachment/663bcdf9-6b97-4185-ad0f-dc17f1058990.png)
赤外線を検知し、それを可視化することで暗闇の中で暗視効果を得られる装備。
隊員がスナイパーにまだ狙われているか否かを判断するのにSMASH X4から出るレーザーがナイトビジョンから消えていたため、もう狙われてないと判断したらしい。
これを聞いて「それなら撃たれる前からレーザーに気づけたのでは?」と考えるかもだが、撃たれる前は一応ナイトビジョンは付けていたものの、上げていた状態で代わりに銃のフラッシュライトで周囲を確認していた。
理由は若干の照明と月明かりでナイトビジョンは外して良いと判断したそうだ。      

日本 法務省 公安調査庁

明かりの落ちたサーバールーム。
様々な機器が並ぶその部屋の中で、一台の筐体が光を発していた。
黒フードを被った男がその筐体を操作している。
『秘匿要員リスト』という名前のファイルをダブルクリック。
キーボードを叩き、ファイルを検索する。
すると画面には老若男女様々な人のプロフィールのようなものがずらりと並んでいた。
男はそれらを凝視した。
あいにく、こういった機密情報が保存された機械はUSBなど差し込めないよう設計されている。
男はカメラを取り出し画面に映るプロフィールを撮影した。
「日本:法務省公安調査庁」
「国際組織:国際テロ対策機構」
「イギリス:秘密情報部」
「アメリカ:中央情報局・特別活動センター」
「イスラエル:イスラエル諜報特務庁」
などと、様々な諜報機関や準軍事工作部隊などが表示される。
プロフィールをスクロールしていると、突然背後から光が刺してきた。
「おい…そこのお前っ、何してる!?動くな!」
巡回に来た警備員のようだ。
警備員は無線を手に取り、連絡を始めた。
「警備11よりHQへ、至急至急。SRに不審人物あり。現時、不審事案対応中。応援求む」
『HQより警備11へ。不審事案の件把握しました。現時応援を要請中です。状況は待機していてください。以上、確認』
「警備11、把――」
言い終わる前に男は撮影をやめ、警備員に襲いかかった!
右ストレートと見せかけて警備員の背後に周り、肘で首を絞める。
「うぐっ!?」
数秒首を絞められた警備員は気を失って倒れた。
男はそのまま部屋を抜け出し、廊下へと走り抜ける。
『警備11、確認。……警備11、確認せよ。警備11、応答願う』
しかし、倒れた男の口から返答は発せられなかった
『――応答なし……HQより全体へ、至急至急。施設内にて不審事案発生!事案対応中の警備11との連絡途絶え、現時状況不明瞭。待機中の警備関係者は不審人物の捜索及びその他対応に当たれ』

男はガラス越しに見える夜景を左に見ながら、廊下を走り抜けていた。
すると目の前の階段から誰かが駆け上がって来た。
白髪、左耳に掛けられたダイヤモンド、間違いない。
旧テロ狩り隊長『桐ヶ谷 青城』だ。
桐ヶ谷がカランビットブレイカーを取り出した。
「テロ狩り……面白い!」
男は袖からウッドスピアを取り出す。
距離を縮めた男は突然しゃがみ、ウッドスピアで足に向かって数突き。
青城はそれらをバックステップで躱す。
(ウッドスピア、手慣れですか)
互いに見合い、次の一手を窺う。
「ウッドスピアですか。大層なものをお持ちのことで」
桐ヶ谷は男が握るウッドスピアを見て言った。
「出来がいいですね、手間暇かけて作ったようで。力作ですかな?」
会話の傍ら、カランビットを回し始める。
「これではテロリストというより手慣れた軍人を相手にしているようで……いやはや、いつの時代も嫌ですね。プロ相手というのは」
適当に振り回しているように見えるが、急所を守るように動かしている。
が、男もウッドスピアのため回しやすい。
真似するかのようにウッドスピアを回転させる。
「テロ狩りに言われたかないな」
「元、テロ狩りです」
落ち着いた風格の桐ヶ谷。
それを聞いた男の眉間にシワが寄る。
「ほざけっ」
ウッドスピアで、脇目掛けて一突き。
が、バックステップで交わされてしまう。
むしろカランビットで手首の内側を絡められ、キクナイフを奪われてしまった。
チッと舌打ちしつつ、反撃を逃れるため桐ヶ谷にカーフキックを入れる。
「!?」
反応が一瞬遅れた桐ヶ谷は避け切れず掠ってしまった。
(この蹴り重さ……靴にステンレスを仕込んでいるな)
再度距離を取り、身構える二人。
すると、男の背後。
廊下の角から武装した警備の応援が駆けつけた。
応援の部隊は距離を取って男に銃を向ける。
「青城さん、避けて!」
流れ弾を喰らわないように青城が壁に寄る
「動くな、両手をあげろ!後ろを向いて、膝をつけ!」
大声で発すると、男は静かに両手をあげて投降した。
「現場よりHQへ、至急至急。対象発見、現時対象は投降中」
『HQより現場へ。了解……安全確認について完了しましたか?状況説明お願いします』
「現場よりHQへ。それに関しては以後、対応します」
『HQ把握。拘束及び安全確認後、連行してください。以上、確認』
「現場把握。以上」
無線での状況説明を終え、応援部隊が男の拘束に取り掛かる。
「03と04、後方ロック。02は01のカバー」
「たった4マンセルで対応するんですか!?増援を待つべきです」
「待ってたら逃げられる。黙って俺のカバーをしろ……射線外すなよ」
01が男に銃を向けながら叫ぶ。
「膝をついたまま、後ろ歩きでこっち来いっ!!」
男は指示に従って歩き始めた。
桐ヶ谷は流れ弾を喰らわないよう壁に寄りながらも、男の背後約5mの距離をとって追従した。
その時だった。
突然、桐ヶ谷のナイフが弾かれた。窓を振り返ると、そこには弾痕。
(狙撃!?)
直後、遅れて発砲音が響く。
その音にハッとして男の方に視線を戻した。
が、見ると投降を促していた隊員たちも同様に銃を撃ち抜かれていた。
「スナイパー!」
と叫びながら柱の影に隠れる隊員。
(まさか……同時に狙撃されたか?いや、とにかくまずい。このままでは撃たれる)
チャンスと踏んだ男は桐ヶ谷の脇を転がり抜けた。
対応したいところだが、スナイパーに狙われた状態ではそれもできない。
傍に物陰がなかった桐ヶ谷はスナイパーの狙いを避けるためジグザグにダッシュした。
こうすれば、スナイパーのスコープから桐ヶ谷がスコープアウトし、狙撃は不能となる。
が、予想外のことが起きた。
桐ヶ谷の腹にとてつもない痛みが走った。
それはまるで、腹を全力で殴られたような痛み。
遅れて耳に窓ガラスの割れる音と銃声が入って来た。
(狙撃された……!?)
桐ヶ谷、そしてその様子を見ていた隊員は驚愕していた。
それもそのはず。通常、動く標的の狙撃は”不可能”なのだ。
なんとかまだ走れた桐ヶ谷は階段の途中にある柱の陰に身を隠した。
撃たれたところを確認すると、弾丸は奇跡的に防弾プレートに阻まれていた。
それでも直撃したことに変わりは無いため痛みを感じたのだろう。
安心したのも束の間。桐ヶ谷の脳裏に先ほどの不自然な狙撃が過ぎる。
(狙撃というのはゲームと違い、動く標的を計算して撃つことは不可能。しかし現に私は撃たれた。それに、思い返せば第一射から第二射までが早すぎる。仮に狙える技術があったとしても、とてもあの短時間で動く標的を捉え続けるののは人間には不可能だ。……いや待て。”人間”には不可能だが……)
桐ヶ谷の頭にはあるものが浮かんでいた。
その名も『SMASH X4』
イスラエルのSmart Shooter社が近年開発し、軍事界隈で注目を集めている製品。
AIによる射撃管制システムを搭載した照準器。
ゲーム的に言うならばオート射撃といったところ。
十年以上前から弾道計算が可能なシステムは存在したものの、小銃に取り付けるコンパクトさやコストの課題などが山積みで実現されていていなかったが『SMASH X4』は例外だった。
引き金を引き続けながら、スコープに映る指示に従い標的を狙う。
そして、AIが当たると判断したタイミングで引き金のロックを解除し半自動で発砲。
100%では無いものの、それに近い確率で命中する。
たとえそれが、”動く標的”であっても。
なんなら、ドローン対策に良いと評価されるくらいだ。
しかも昼夜お構いなしの高性能。
桐ヶ谷はAIにしてやられたのだ。
「やれやれですな」
桐ヶ谷は柱の陰で立ち上がり、一言呟いた。
「やはりいつの時代も、科学の進歩というのは目覚ましいものです」
すると、背後から足音が迫った。
「青城さん!無事ですか!?」
振り返ると、隊員たちが来ていた。
「おや、スナイパーはもう狙ってませんでしたか」
「ナイトビジョンで確認しましたが、もうレーザーが見えなかったので、一か八かで……」
それを聞いた桐ヶ谷は笑いながら言った。
「はっはっは、随分と大胆ですなぁ。若者は度胸があって良い」
「それよりも、フードを被った人物は―――」
「今から追跡は厳しいです。……なに、心配しなくとも。こちらの方で追跡チームの組みますよ」
と言って歩き去っていった。

〜完〜

その他解説・資料等

【狙撃地点・距離】
スクリーンショット 2025-05-24 17.15.52
距離 約668m

【スナイパーの逃走経路】
スクリーンショット 2025-05-24 17.17.40
徒歩で新橋駅まで5分。その後、新橋駅から電車で逃走。

【法務省公安調査庁のサーバールームに侵入した男の逃走経路】
スクリーンショット 2025-05-24 17.25.50
新橋駅前まで逃走。スナイパーと経路が被らないよう新橋駅前のバス停からバスで逃走。

【カランビットブレイカー】
カランビットブレイカー
桐ヶ谷 青城が普段から使うお気に入りのナイフ。
通常のカランビットナイフと違い、ブレイカーは引く時も切れるため、一度の攻撃で2度切れるという利点がある。

【ウッドスピア】
ウッドスピア
木の枝で作れる武器。
名前の通りスピア(槍)のため、切る武器ではなく刺す武器である。
切れないのは刃がないからだが、メリットとして刃が無い分持てる部位が増え持ち替えなどがしやすい。もちろん回すことも。
また、木で作られ炭で色付けされるため暗器としても優秀。
特にサバイバル的な環境では有能だ。
桐ヶ谷が驚いていたのは都会の真ん中でそれを使っていたため。
男がこれを使っていた理由は、やはり使い手の好みのためだ。

【SMASH X4】


Smart Shooter社が開発したAIによる射撃管制システムを搭載した照準器。
動画を見て分かる通り実在する。
対人はもちろん、作中で言及されているように対ドローンとして期待されている。
が、赤外線レーザーで距離の測定をしているため、それで射線がバレるという点も指摘されている。

【ナイトビジョン】
ナイトビジョン
赤外線を検知し、それを可視化することで暗闇の中で暗視効果を得られる装備。
隊員がスナイパーにまだ狙われているか否かを判断するのにSMASH X4から出るレーザーがナイトビジョンから消えていたため、もう狙われてないと判断したらしい。
これを聞いて「それなら撃たれる前からレーザーに気づけたのでは?」と考えるかもだが、撃たれる前は一応ナイトビジョンは付けていたものの、上げていた状態で代わりに銃のフラッシュライトで周囲を確認していた。
理由は若干の照明と月明かりでナイトビジョンは外して良いと判断したそうだ。