大っ嫌いな親父 (朗読にでも使ってください) version 1
大っ嫌いなら親父 (朗読にでも使ってください)
大嫌いだった親父が危篤だと聞いて、最初は行かないでやろうと思ったが、周りがどうも死に目ぐらい見届けろというから来てやった、が…前は大きくて強くて逞しかった身体があんなにも弱って…俺よりも軽くなっていた。それを見て俺は親父と話すのが苦しくなった…
俺と母さんを置いて、1人旅に出て…そのせいで母さんは俺を育てるために、親父が帰ってくるその時までと思って何でもやっていた、その姿を見て俺は心底親父の事が嫌いになった。
それから、しばらく経って母さんが倒れ、死んだ時、俺の今目の前にいるこの男が、母さんの墓の前に現れやがったんだ。
当然俺は殴りかかった、今更何しに来やがったんだって…お前のせいでこうなったんだって…
だけど、その時の親父に、まだガキだった俺は勝てるはずもなかった…
そして俺は家を出て、1人で生きてきたつもりだったが、突然の電報から今に至る。
大嫌いだった親父と俺は、親父が死ぬその日まで、俺は親父と過ごした。
それから何も語る事も無く、親父の世話をしていた俺は何でこんな事をしているのか思い悩んだが、俺も1人だったけど親父も1人だったんだな…って思ったから親父と居れたんだと思う。
そして、親父の最期の日。
横たわって外を見ていた親父から生涯聞く事無いだろうと思っていた言葉をかすかだけど聞く事は出来た。
『今まで、ありがとう。お前の事と母さんの事は愛していた、本当にすまなかったな』…って。
そう言って親父は俺の顔を見た後、安らかな顔をして息を引き取った。
何を…今更…言い逃げしてんじゃねぇよ…
お前のせいで1人ぼっちだったんだぞ…
俺よりも母さんを悲しませやがって…
似合わねぇ言葉使ってんじゃねぇよ…
最期まで偉そうでいやがれよ…
やっと、アンタの事を好きになれそうだったのに…
死に物狂いで俺はアンタを超えようと思ってたのに…
勝ち逃げしてんじゃねぇよ…
俺を1人に置き去りにしてんじゃねぇよ…!!!
葬式も終え、親父の火葬が終わるその時まで、俺は泣き続けた。
超えられなかった事に悔しくて、本当に1人になったことに悲しくて、最期に俺の事を愛していた事に嬉しかったから。
火葬が終わって、俺は遺骨になって帰ってきた親父を母さんと一緒の墓に入れてやった。
これで母さんも、もう1人ぼっちじゃなくなると思ったから…
母さん、今そっちに行ったから、俺の代わりに軽く説教の一つでもしてやってくれ。
そして親父、俺がそっちに逝くその時まで待っててくれよ…今度こそ逃げんじゃねぇぞ…。
そう言って俺は、両親の墓を後にして
帰路に就こうとした、その時。
後ろから背中を力強く押された。
その時、強い風が吹いた。
その同時にもう聴けないはずの声が聴こえた
『もう、すっ転んで泣くんじゃねぇぞ』って
振り返ると親父が立っていた。
強くて大きくて逞しかった身体の親父が。
俺が親父を呼ぼうとした時、また風が吹き荒れた。
風が治まった時、目を開けると親父は居なかった。
全く、カッコつけて偉そうしてんじゃねーよ。
そして俺は背中を押されて
嬉しくなりつつも、帰路に就いた。
ありがとな、親父
アンタとの日々、好きだったよ。
大嫌いだった親父が危篤だと聞いて、最初は行かないでやろうと思ったが、周りがどうも死に目ぐらい見届けろというから来てやった、が…前は大きくて強くて逞しかった身体があんなにも弱って…俺よりも軽くなっていた。それを見て俺は親父と話すのが苦しくなった…
俺と母さんを置いて、1人旅に出て…そのせいで母さんは俺を育てるために、親父が帰ってくるその時までと思って何でもやっていた、その姿を見て俺は心底親父の事が嫌いになった。
それから、しばらく経って母さんが倒れ、死んだ時、俺の今目の前にいるこの男が、母さんの墓の前に現れやがったんだ。
当然俺は殴りかかった、今更何しに来やがったんだって…お前のせいでこうなったんだって…
だけど、その時の親父に、まだガキだった俺は勝てるはずもなかった…
そして俺は家を出て、1人で生きてきたつもりだったが、突然の電報から今に至る。
大嫌いだった親父と俺は、親父が死ぬその日まで、俺は親父と過ごした。
それから何も語る事も無く、親父の世話をしていた俺は何でこんな事をしているのか思い悩んだが、俺も1人だったけど親父も1人だったんだな…って思ったから親父と居れたんだと思う。
そして、親父の最期の日。
横たわって外を見ていた親父から生涯聞く事無いだろうと思っていた言葉をかすかだけど聞く事は出来た。
『今まで、ありがとう。お前の事と母さんの事は愛していた、本当にすまなかったな』…って。
そう言って親父は俺の顔を見た後、安らかな顔をして息を引き取った。
何を…今更…言い逃げしてんじゃねぇよ…
お前のせいで1人ぼっちだったんだぞ…
俺よりも母さんを悲しませやがって…
似合わねぇ言葉使ってんじゃねぇよ…
最期まで偉そうでいやがれよ…
やっと、アンタの事を好きになれそうだったのに…
死に物狂いで俺はアンタを超えようと思ってたのに…
勝ち逃げしてんじゃねぇよ…
俺を1人に置き去りにしてんじゃねぇよ…!!!
葬式も終え、親父の火葬が終わるその時まで、俺は泣き続けた。
超えられなかった事に悔しくて、本当に1人になったことに悲しくて、最期に俺の事を愛していた事に嬉しかったから。
火葬が終わって、俺は遺骨になって帰ってきた親父を母さんと一緒の墓に入れてやった。
これで母さんも、もう1人ぼっちじゃなくなると思ったから…
母さん、今そっちに行ったから、俺の代わりに軽く説教の一つでもしてやってくれ。
そして親父、俺がそっちに逝くその時まで待っててくれよ…今度こそ逃げんじゃねぇぞ…。
そう言って俺は、両親の墓を後にして
帰路に就こうとした、その時。
後ろから背中を力強く押された。
その時、強い風が吹いた。
その同時にもう聴けないはずの声が聴こえた
『もう、すっ転んで泣くんじゃねぇぞ』って
振り返ると親父が立っていた。
強くて大きくて逞しかった身体の親父が。
俺が親父を呼ぼうとした時、また風が吹き荒れた。
風が治まった時、目を開けると親父は居なかった。
全く、カッコつけて偉そうしてんじゃねーよ。
そして俺は背中を押されて
嬉しくなりつつも、帰路に就いた。
ありがとな、親父
アンタとの日々、好きだったよ。