これは私たちが紡いだ希望の物語  No.1 1/2 version 11

2022/04/23 08:51 by someone
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流星と焔 No.1 1/2

2021年、4月12日。その日、朝憬市立朝憬英道大学二回生である花森健人は、同大学B棟第2講義室にて行われる人体の機能と構造の講義に出席していた。
「…そのためICF、国際生活機能分類では…」
時間は10時50分。単調な講師の話と昼食までもたない空腹、そして気怠さによって、既に講義に意識を集中させることが難しい。天を仰ぐように軽く首を逸らした後、左目を瞬かせて再度講義を聴くよう努めるが、そこに加わる周囲の学生らの小声の数々が健人の意識をかき乱す。最早聴講することは投げ出して、健人は前方を向いて時間をやり過ごすことだけに注力していた。そんな折、彼の着いている講義室中段の席の一つ前で、男子学生の二人組が小声でとある都市伝説の話が耳に入ってくる。
「また出たって、”赤髪の魔女”」
「お前好きだな、その与太話」
話を振った方の小柄な男子学生が「講義よりは面白いだろ」と渇いた笑みを浮かべて小声で話し続けた。
「それがここから近いんだよ、朝陽町の教会の近くで怪物と争ってたってSNSでさ…」
「お前その感じ、特撮とかそういうもんの延長で見てんだろ。別に否定はしないけど、俺にそれを話されてもさ」
話を聞くガタイのいい男子学生がその大きな肩を竦ませ、呆れた口調で返す。
「なんだよ…なんか、イケてんじゃん。赤髪の魔女」
「多分、お前はダサいけどな…」
ガタイが小柄に毒づくのに共感し、健人は小柄の方を冷ややかに見るものの、気が付けば講義よりもそちらの話ばかりを耳が拾っていた。最終的に講師が講義終了を告げると同時に、健人の胸中には苦い自己嫌悪が広がる。講師と学生らがそれぞれの荷物をまとめて講義室を後にする中、同じゼミに所属する友人である横尾和明が上の空である健人の下にやってきてその肩を叩いた。
「おい、どした花っち」
「うわっ、なんだよカズさん…ビビるだろ」
不意を突かれた健人は驚きに声を上げて和明を      

2021年、4月12日。その日、朝憬市立朝憬英道大学二回生である花森健人は、同大学B棟第2講義室にて行われる人体の機能と構造の講義に出席していた。
「…そのためICF、国際生活機能分類では…」
時間は10時50分。単調な講師の話と昼食までもたない空腹、そして気怠さによって、既に講義に意識を集中させることが難しい。天を仰ぐように軽く首を逸らした後、左目を瞬かせて再度講義を聴くよう努めるが、そこに加わる周囲の学生らの小声の数々が健人の意識をかき乱す。最早聴講することは投げ出して、健人は前方を向いて時間をやり過ごすことだけに注力していた。そんな折、彼の着いている講義室中段の席の一つ前で、男子学生の二人組が小声でとある都市伝説の話が耳に入ってくる。
「また出たって、”赤髪の魔女”」
「お前好きだな、その与太話」
話を振った方の小柄な男子学生が「講義よりは面白いだろ」と渇いた笑みを浮かべて小声で話し続けた。
「それがここから近いんだよ、朝陽町の教会の近くで怪物と争ってたってSNSでさ…」
「お前その感じ、特撮とかそういうもんの延長で見てんだろ。別に否定はしないけど、俺にそれを話されてもさ」
話を聞くガタイのいい男子学生がその大きな肩を竦ませ、呆れた口調で返す。
「なんだよ…なんか、イケてんじゃん。赤髪の魔女」
「多分、お前はダサいけどな…」
ガタイが小柄に毒づくのに共感し、健人は小柄の方を冷ややかに見るものの、気が付けば講義よりもそちらの話ばかりを耳が拾っていた。最終的に講師が講義終了を告げると同時に、健人の胸中には苦い自己嫌悪が広がる。講師と学生らがそれぞれの荷物をまとめて講義室を後にする中、同じゼミに所属する友人である横尾和明が上の空である健人の下にやってきてその肩を叩いた。
「おい、どした花っち」
「うわっ、なんだよカズさん…ビビるだろ」
不意を突かれた健人は驚きに声を上げて和明を