千想の魔法 3.光環の狩人 version 10

2023/05/13 14:32 by sagitta_luminis sagitta_luminis
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千想の魔法 3.
@[TOC]

##### 3-1
##### 3-1 こんな所で何してるの
街を離れて森に入り、イジェンドの向かった奥地を目指す。キラちゃんは心羽を誘導するように数歩先を心羽の頭ぐらいの高さで飛んでいる。影魔と遭遇してしまっては成すすべがないので、常に周囲を警戒しながら進む。
「本当にこの先にイジェンドがいるの…?」
どんどん奥地へと入り込んでいき不安になる心羽。キラちゃんは振り向きもしない。シエルが特別なだけで、もともと人の言葉は通じないのだろう。
しかし、イジェンドと合流するより先に影魔の群れと遭遇してしまう。フレイミングドレスに変身して迎え撃つも、攻撃を凌ぐのがやっとで、一撃も有効打を与えられない。
しかし、防戦一方なこの状況は不意に破られた。何かが風を切るような音が複数同時に聞こえたと思った次の瞬間、そこにいた影魔の身体が崩壊して塵となった。
急な出来事に心羽も混乱するが、少なくとも影魔の脅威は去ったことに一先ず安堵する。
影魔の残滓から同じような木の棒を拾う。どれも先端に羽根のようなものが付いいて反対側は尖っている。これがどこから飛んできて、影魔を倒した…?
影魔の残滓から同じような木の棒を拾う。形状からして、これは矢だろうか…
「ねえ、そこの赤い髪の人!大丈夫だった…? 怪我はない?」
後方からする声に心羽が振り返ると、こちらへ走ってくるロングヘアーの女性がいた。民族衣装のような複雑な柄のケープを着ているその女性は、左手に糸が張られた細長いの枝手にしている。
後方からする声に心羽が振り返ると、こちらへ走ってくるロングヘアーの女性がいた。民族衣装のような複雑な柄のケープを着ているその女性は、左手に木を削っ作った弓を握っている。
「うん、大丈夫。ありがとう、あなたが助けてくれたんだよね?」
「いいよ気にしないで 私たちもともと影魔を狩るために来たから。それより、君はこんな所で何してるの? 」
「いいよ気にしないで 私たちもともと影魔を狩るために来たから。それより、君はこんな所で何してるの? 」
私たち…? 影魔を狩る…? その発言はすなわち、イジェンドのように影魔と渡り合えるほどの実力者が複数集まり、影魔を倒すため共同戦線を張って活動していることを意味する。この情報は心羽には大きな進展だった。
「実は、人探しをしてて…」
「この森で人探しは骨が折れるよ〜、とりあえずここは危険だし移動しながら話そう」
「この森で人探しは骨が折れるよー。とりあえずここは危険だし移動しながら話そう」

##### 3-2 
心羽を助けてくれた女性は名を
##### 3-2 ついてきなよ
心羽を助けてくれた女性は名をエイミーという。心羽より背丈があり大人びているが、歳は心羽と3つしか変わらない。彼女はユール城下町と貿易関係にあった隣国からやってきた狩人で、普段はユール森林で鳥や獣などを狩猟して生計を立てているが、今回は影魔の脅威を排除するために集った狩猟チームとして来ているらしい。
*「それにしても、赤い髪で黒い服を着た長身の剣士………特徴を聞く限り、身長以外は全部当てはまってる人が目の前にいるんだけど?」
「えっ? あぁ、そうそう、今の私と同じ格好の男の人を探してるの! その人はエイミーたちと同じで、影魔の殲滅を目的としてる」
「それなら、私たちについてきなよ。この森を子供が1人で出歩くのは危険だし、目的が一緒ならいつか出会えるかもしれない」
「狩猟チームのみんなとは別々で行動してるの?」
「うん、私はひとりの方が何かと都合がいいんだ。まあ、もう少ししたらお昼の時間だからみんな拠点に戻ってくるはず」*

「それにし髪で黒い服を着た長身の剣士………特徴を聞限り身長以外全部当はまてる人が目いるんだけど?*ねえねえ、心羽ちゃんとの剣士さんはどういう関係? 服装が同じっことは同じチームとか?」
「うーんなんてうんだろう……イジェンドはとっても強前に影魔に襲われた時彼に助けもら。だから私もそういう風なれたらなって*

##### 3-3
##### 3-3 相談した方がいい
この赤髪の子供は心羽というこの辺りでは聞きなれない響きの名前を持つ。おそらく異国から来たのだろう。さっきは両手剣に炎を灯して影魔と戦っていたが、今やその剣はどこにも見当たらない。そんな芸当ができるのはカルナの使い手か、あるいは……あるいは、もしこの子があの大厄災を引き起こしたと噂される“炎の魔女”だったら…
迂闊に近付いたのはまずかったかもしれない。
炎の魔術を操るのはもちろん、赤い髪も、紅い瞳も、剣を振るうその姿も、噂に聞く炎の魔女の特徴と合致する。
しかしそうだとしたら、いくつか疑問も浮かぶ。炎の魔女はこんな子供なのだろうか? いや、身長を変えるなど造作もないかもしれない。でも、炎の魔女ほどの人物が影魔相手に苦戦を強いられるだろうか?
まだ断定できない。ただしこれだけの類似点があるのなら、何かしらの接点があってもおかしくない。やはり、一度この子を連れてチームのみんなに相談した方がいい。
「ごめんねぇキラちゃん、安全を優先してこのお姉さんについて行くことにしたの。だから戻ってきてー!」
「キラちゃんって?」
「あの木の枝に止まってる鳥の名前だよ。イジェンドの居場所へ案内してくれてたんだけど、エイミーと一緒に行動するって言ったらあの子拗ねちゃって」
「へぇ、鳥が案内役を担えるんだ…」

*「その手に持ってるものは?」
「これは弓、狩りをするための道具だよ。見たことない?」
「どうやって使うの?」
「あとで実演してあげるね。今はとりあえず拠点を目指そう」*

##### 3-4


エイミーの後についてしばらく進んだ後…
「ストップ、静かにして———」
心羽はエイミーに言われるがままに足を止め、息を潜める。
「どうしたの?」
小声で訊ねる。エイミーは目も合わせず、木々の隙間のある一点を見つめている。
「あそこ、影魔がいる。見える?」
「うーん、見えな……あ、見えた、ほんとだ!」
立ち止まって凝視しなければ気付かないほど遠方の木の影にその影魔はいた。
      

目次3-1 こんな所で何してるの3-2 ついてきなよ3-3 相談した方がいい3-4

3-1 こんな所で何してるの

街を離れて森に入り、イジェンドの向かった奥地を目指す。キラちゃんは心羽を誘導するように数歩先を心羽の頭ぐらいの高さで飛んでいる。影魔と遭遇してしまっては成すすべがないので、常に周囲を警戒しながら進む。
「本当にこの先にイジェンドがいるの…?」
どんどん奥地へと入り込んでいき不安になる心羽。キラちゃんは振り向きもしない。シエルが特別なだけで、もともと人の言葉は通じないのだろう。
しかし、イジェンドと合流するより先に影魔の群れと遭遇してしまう。フレイミングドレスに変身して迎え撃つも、攻撃を凌ぐのがやっとで、一撃も有効打を与えられない。
しかし、防戦一方なこの状況は不意に破られた。何かが風を切るような音が複数同時に聞こえたと思った次の瞬間、そこにいた影魔の身体が崩壊して塵となった。
急な出来事に心羽も混乱するが、少なくとも影魔の脅威は去ったことに一先ず安堵する。
影魔の残滓から同じような木の棒を拾う。形状からして、これは矢だろうか…
「ねえ、そこの赤い髪の人!大丈夫だった…? 怪我はない?」
後方からする声に心羽が振り返ると、こちらへ走ってくるロングヘアーの女性がいた。民族衣装のような複雑な柄のケープを着ているその女性は、左手に木を削って作った弓を握っている。
「うん、大丈夫。ありがとう、あなたが助けてくれたんだよね?」
「いいよ、気にしないで。 私たちもともと影魔を狩るために来たから。それより、君はこんな所で何してるの? 」
私たち…? 影魔を狩る…? その発言はすなわち、イジェンドのように影魔と渡り合えるほどの実力者が複数集まり、影魔を倒すため共同戦線を張って活動していることを意味する。この情報は心羽には大きな進展だった。
「実は、人探しをしてて…」
「この森で人探しは骨が折れるよー。とりあえずここは危険だし、移動しながら話そう」

3-2 ついてきなよ

心羽を助けてくれた女性は名をエイミーという。心羽より背丈があり大人びているが、歳は心羽と3つしか変わらない。彼女はユール城下町と貿易関係にあった隣国からやってきた狩人で、普段はユール森林で鳥や獣などを狩猟して生計を立てているが、今回は影魔の脅威を排除するために集った狩猟チームとして来ているらしい。
「それにしても、赤い髪で黒い服を着た長身の剣士………特徴を聞く限り、身長以外は全部当てはまってる人が目の前にいるんだけど?」
「えっ? あぁ、そうそう、今の私と同じ格好の男の人を探してるの! その人はエイミーたちと同じで、影魔の殲滅を目的としてる」
「それなら、私たちについてきなよ。この森を子供が1人で出歩くのは危険だし、目的が一緒ならいつか出会えるかもしれない」
「狩猟チームのみんなとは別々で行動してるの?」
「うん、私はひとりの方が何かと都合がいいんだ。まあ、もう少ししたらお昼の時間だからみんな拠点に戻ってくるはず」

「ねえねえ、心羽ちゃんとその剣士さんはどういう関係? 服装が同じってことは同じチームとか?」
「うーん、なんていうんだろう……イジェンドはとっても強くて、前に影魔に襲われた時は彼に助けてもらったの。だから私もそういう風になれたらなって」

3-3 相談した方がいい

この赤髪の子供は心羽というこの辺りでは聞きなれない響きの名前を持つ。おそらく異国から来たのだろう。さっきは両手剣に炎を灯して影魔と戦っていたが、今やその剣はどこにも見当たらない。そんな芸当ができるのはカルナの使い手か、あるいは……あるいは、もしこの子があの大厄災を引き起こしたと噂される“炎の魔女”だったら…
迂闊に近付いたのはまずかったかもしれない。
炎の魔術を操るのはもちろん、赤い髪も、紅い瞳も、剣を振るうその姿も、噂に聞く炎の魔女の特徴と合致する。
しかしそうだとしたら、いくつか疑問も浮かぶ。炎の魔女はこんな子供なのだろうか? いや、身長を変えるなど造作もないかもしれない。でも、炎の魔女ほどの人物が影魔相手に苦戦を強いられるだろうか?
まだ断定できない。ただしこれだけの類似点があるのなら、何かしらの接点があってもおかしくない。やはり、一度この子を連れてチームのみんなに相談した方がいい。
「ごめんねぇキラちゃん、安全を優先してこのお姉さんについて行くことにしたの。だから戻ってきてー!」
「キラちゃんって?」
「あの木の枝に止まってる鳥の名前だよ。イジェンドの居場所へ案内してくれてたんだけど、エイミーと一緒に行動するって言ったらあの子拗ねちゃって」
「へぇ、鳥が案内役を担えるんだ…」

「その手に持ってるものは?」
「これは弓、狩りをするための道具だよ。見たことない?」
「どうやって使うの?」
「あとで実演してあげるね。今はとりあえず拠点を目指そう」

3-4

エイミーの後についてしばらく進んだ後…
「ストップ、静かにして———」
心羽はエイミーに言われるがままに足を止め、息を潜める。
「どうしたの?」
小声で訊ねる。エイミーは目も合わせず、木々の隙間のある一点を見つめている。
「あそこ、影魔がいる。見える?」
「うーん、見えな……あ、見えた、ほんとだ!」
立ち止まって凝視しなければ気付かないほど遠方の木の影にその影魔はいた。