剣人との出会い version 2

2020/12/10 22:24 by sagitta_luminis sagitta_luminis
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剣人との出会い
6年生に進級してから、このクラスはどこかざわつきがあった。
クラスの中心にいる生徒たちの声が大きく、みんな周囲に合わせて頷くばかり。
誰かが陰口を言次の日にはその子がいじめの標的にされてい。
同じ目に遭うのが怖くて、みんな見て見ぬふり。
クラスの中心にいる生徒たちの声が大きく、強くない私たちはみんな周囲に流され、口調を合わせ。
誰かが陰口を言ったり、流れを乱すようなことをすれば次の日にはその子がいじめの標的にされる。
標的になった子は友達からも離れられ、次第に孤立していみんな同じ目に遭うのが怖くて、見て見ぬふり。
私もそう。
クラス全体が重く、ピリピリした雰囲気に包まれていた。

私の家庭は両親不在で、おばあちゃんとたった2人で暮らしていた。
もう80に迫る歳で、私のことを育てるのもそろそろ限界を迎えていた。
だからなるべく心配をかけないよう、なるべく元気に振る舞い、中学になったら自立して離れるつもりだった。
だからなるべく心配をかけないよう、なるべく元気に振る舞い、中学になったら自立して離れるつもりだった。

そんな私の心の拠り所は、4年生の時に買ってもらった望遠鏡。
なにか辛いことがあった時、単に寂しくなった時、その望遠鏡を持って街の展望台に向かう。
星空を見上げ、どこか遠い星のことを考える。そうするとだんだん自分の悩みが小さいことに思えてきて、また明日も頑張ろうと思えた。

それでもここ最近は望遠鏡を持ち出す頻度が増えている。
あの重々しい雰囲気のクラスで常に怯えながら生活するのは、まだ大人には程遠い、弱い心の私たちにとってはとても耐え難いものだった。

そんな中である日、私はこんな言葉を目にする。
「自分が正しいと思うことをするんだ」
たしか、たまたまついていたテレビに映っていた、アニメのキャラクターのセリフだったように思う。
私はその言葉に感化された。
自分が正しいと思うことをする…
周囲に流されてばかりの今の私は、クラスの悪い雰囲気を助長している。
そのことから私は目を背け続けていたけれど、それは間違いだったことに気付かされた。
これからは正しいと思えることをしようと決意した。それはとても勇気のいることだった。

——————————————————————————————

次の日の朝。
私はホームルームの時間を使って、クラス中の全員に訴えかけた。

「みんな、もう誰かに流されるのはやめよう!」
「自分が正しいと思ったことをしようよ!」

…正直、これは滑稽だったかもしれない。みんなの冷たい視線が教壇上の私に集まる。
実際私も昨日まで流されていたんだし、人のこと言える立場ではないけど。
それでも後悔はしてない。今の私は正しいことをしていると思えたから。

これが私の革命宣言。
今日から私は誰にも流されず、正しいと思ったことをする。
クラス中の生徒に聞かれたからには、もう引き返せない。
それからの私は、いじめの雰囲気を感じたら仲裁に入り、標的になって孤立した子にも話しかけ、その子の心の拠り所になろうとした。
いつの間にか「演説ババア」なるあだ名が付けられていたけど、それはみんながあのホームルームの時のことを覚えてくれている証拠だから、と割り切ることにした。
ものすごく勇気のいることだけど、もう怯えることはなくなったし、自分に自信が持てるようになっていた。

——————————————————————————————

それから2週間が過ぎたある夜のこと。
私はまた望遠鏡を背負い、展望台に来ていた。

……もう、限界だった。

私のことを快く思わない人もいた。その結果、次のいじめの標的にされたのは私だった。
      

6年生に進級してから、このクラスはどこかざわつきがあった。
クラスの中心にいる生徒たちの声が大きく、強くない私たちはみんな周囲に流され、口調を合わせる。
誰かが陰口を言ったり、流れを乱すようなことをすれば次の日にはその子がいじめの標的にされる。
標的になった子は友達からも離れられ、次第に孤立していく。
みんな同じ目に遭うのが怖くて、見て見ぬふり。
私もそう。
クラス全体が重く、ピリピリした雰囲気に包まれていた。

私の家庭は両親不在で、おばあちゃんとたった2人で暮らしていた。
もう80に迫る歳で、私のことを育てるのもそろそろ限界を迎えていた。
だからなるべく心配をかけないよう、なるべく元気に振る舞い、中学になったら自立して離れるつもりだった。

そんな私の心の拠り所は、4年生の時に買ってもらった望遠鏡。
なにか辛いことがあった時、単に寂しくなった時、その望遠鏡を持って街の展望台に向かう。
星空を見上げ、どこか遠い星のことを考える。そうするとだんだん自分の悩みが小さいことに思えてきて、また明日も頑張ろうと思えた。

それでもここ最近は望遠鏡を持ち出す頻度が増えている。
あの重々しい雰囲気のクラスで常に怯えながら生活するのは、まだ大人には程遠い、弱い心の私たちにとってはとても耐え難いものだった。

そんな中である日、私はこんな言葉を目にする。
「自分が正しいと思うことをするんだ」
たしか、たまたまついていたテレビに映っていた、アニメのキャラクターのセリフだったように思う。
私はその言葉に感化された。
自分が正しいと思うことをする…
周囲に流されてばかりの今の私は、クラスの悪い雰囲気を助長している。
そのことから私は目を背け続けていたけれど、それは間違いだったことに気付かされた。
これからは正しいと思えることをしようと決意した。それはとても勇気のいることだった。

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次の日の朝。
私はホームルームの時間を使って、クラス中の全員に訴えかけた。

「みんな、もう誰かに流されるのはやめよう!」
「自分が正しいと思ったことをしようよ!」

…正直、これは滑稽だったかもしれない。みんなの冷たい視線が教壇上の私に集まる。
実際私も昨日まで流されていたんだし、人のこと言える立場ではないけど。
それでも後悔はしてない。今の私は正しいことをしていると思えたから。

これが私の革命宣言。
今日から私は誰にも流されず、正しいと思ったことをする。
クラス中の生徒に聞かれたからには、もう引き返せない。
それからの私は、いじめの雰囲気を感じたら仲裁に入り、標的になって孤立した子にも話しかけ、その子の心の拠り所になろうとした。
いつの間にか「演説ババア」なるあだ名が付けられていたけど、それはみんながあのホームルームの時のことを覚えてくれている証拠だから、と割り切ることにした。
ものすごく勇気のいることだけど、もう怯えることはなくなったし、自分に自信が持てるようになっていた。

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それから2週間が過ぎたある夜のこと。
私はまた望遠鏡を背負い、展望台に来ていた。

……もう、限界だった。

私のことを快く思わない人もいた。その結果、次のいじめの標的にされたのは私だった。