No.2 2/2 version 20

2021/07/25 16:07 by someone
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No.2 2/2
その太刀を挟んで白銀の淡く光る眼と烏の赤目とが交錯する。二組の眼光は、互いを射貫くかのように鋭い。
太刀を巡って力を掛け合う両者。その膂力が拮抗しているこの状況において、一瞬でも力の掛け方を間違えば即座に隙が生じ、相手に得物を与えてしまうことになる。そんなこと、冗談ではな。その脅威に駆り立てられながら十秒ほど続いたその拮抗は、一瞬にして崩れた。とうとう力が掛け違ったことで生じた一瞬。
太刀を巡って力を掛け合う両者。その膂力が拮抗しているこの状況において、一瞬でも力の掛け方を間違えば即座に隙が生じ、相手に得物を与えてしまうことになる。強化された異形の身体能力での衝突において、致命的事態だ。その脅威に駆り立てられながら十秒ほど続いたその拮抗は、一瞬にして崩れた。とうとう力が掛け違ったことで生じた一瞬。
「…らぁっ!」
その一瞬の虚を突いた白銀の右足が、烏の身を掃うように蹴り飛ばし、自身の胸に沈んでいた太刀を奪取したのである。白銀は沈んでいた太刀を自身から引き抜き、順手に持ち変える。そうして脳裏に浮かんだイメージに従い、右手で握ったその柄から自身の念を込めた。それに呼応するかのように、太刀は刀身の色をそれまでの漆黒から輝く銀へと変える。その様を烏が憎々しげに見つめていた。
その一瞬の虚を突いた白銀の右足が、烏の身を掃うように蹴り飛ばし、自身の胸に沈んでいた太刀を奪取したのである。白銀は沈んでいた太刀を自身から引き抜き、順手に持ち変える。そうして右手で握ったその柄から自身の念を込めた。それに呼応するかのように、太刀は刀身の色をそれまでの漆黒から輝く銀へと変える。その様を烏が憎々しげに見つめていた。
「あの光…お前がなぜ持っている…」
……」
烏からの問いに応えることはなく、白銀は瞬時に距離を詰める。超人的な身体能力による高速移動。その感覚は白銀―――否、先程まで生命的な危機にあった剣人の中で、確かに興奮を与えた。無力に諦観を抱いて死んでいく自分は、少なくとも今、この速度で置き去りにできる。そのまま烏に斬りかからんと、白銀は太刀をを振り上げた。




















      

その太刀を挟んで白銀の淡く光る眼と烏の赤目とが交錯する。二組の眼光は、互いを射貫くかのように鋭い。
太刀を巡って力を掛け合う両者。その膂力が拮抗しているこの状況において、一瞬でも力の掛け方を間違えば即座に隙が生じ、相手に得物を与えてしまうことになる。強化された異形の身体能力での衝突において、それは致命的な事態だ。その脅威に駆り立てられながら十秒ほど続いたその拮抗は、一瞬にして崩れた。とうとう力が掛け違ったことで生じた一瞬。
「…らぁっ!」
その一瞬の虚を突いた白銀の右足が、烏の身を掃うように蹴り飛ばし、自身の胸に沈んでいた太刀を奪取したのである。白銀は沈んでいた太刀を自身から引き抜き、順手に持ち変える。そうして右手で握ったその柄から自身の念を込めた。それに呼応するかのように、太刀は刀身の色をそれまでの漆黒から輝く銀へと変える。その様を烏が憎々しげに見つめていた。
「あの光…お前がなぜ持っている…」
「……」
烏からの問いに応えることはなく、白銀は瞬時に距離を詰める。超人的な身体能力による高速移動。その感覚は白銀―――否、先程まで生命的な危機にあった剣人の中で、確かに興奮を与えた。無力に諦観を抱いて死んでいく自分は、少なくとも今、この速度で置き去りにできる。そのまま烏に斬りかからんと、白銀は太刀をを振り上げた。