sagitta_luminis
創作の原稿、設定置き場
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5-1.教えてほしい
此処は………。一目で見当がついた。夢に出てきた、あの謎の空間だ。風景は前回とだいぶ異なるけれど、直感が告げている。ベンチに腰掛け本を開いたあの場所だと。だとすると、また夢の中にいるのだろうか。思考がふわふわとして、意思もわからな...
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4月26日の夕方、彼女は辟易していた。他人に愛想を振り撒き続ける自分に。誰に気付かれるでもなく、彼女自身もまたそれに気付けてもいなかった。家族も、友人も、恋人も、私の本当なんて知らない。しかし彼女自身その内のどこかで、ある一点を察知していた。
私自身...
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4-1.あなたは誰
心羽は果てなく深淵の続くだだっ広い空間の中にいた。どこか見覚えがあるけれど思い出せない光景に囲まれ、7色に輝く小さな泡がそこら中にぽつぽつ浮いている。
地面のない謎の空間の中を進むと、突然心羽の目の前にベンチが現れる。ベンチの上に...
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「プロテクトか…!」
溢れ出る力の渦に対し、黒コートが弾かれたように加速し駆け出すと、その渦の中心にいる健人目掛けて十字架の槍を突きだし、刺し貫く。そしてそこから横一文字に斬り裁いた。
しかしそこに健人は居らず、黒コートが後方を振り向けば、沢村に馬乗...
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「すごく真面目で優秀な、努力家でした」
真壁咲良という人、そして沢村智輝が彼女を愛したということ。その話は、そんな言葉から始まった。
「ただ、彼女はその生真面目で優しい笑顔の裏で、周りに心を砕きすぎていたんです。けれど私は、彼女のそんな笑顔から好きに...
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「花っち!」
「ハッサン、その人を頼む!」
サクラの怪物による攻撃を剣で弾きながら、スクーターに乗って駆けつけた初樹に向けて叫ぶ健人。既に黒地の衣に青い装飾を身に付けていたその姿に、初樹は事態を察知した。
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気が付けば自身の姿が変わっていた。それまで健人が身に付けていたTシャツもジーンズも、左手のブレスレット以外は青と黒を基調とした衣装ーー自身のデジタル画で描いていたそれとなり、運動神経のなかった身体は、瞬時に敵からの攻撃を往なし、捌いていく。
「なんだ...
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人は醜い生き物だ。
いくつの世界を渡り歩き、どれほどの人々と過ごしてもその結論は揺るがなかった。
彼らは正義だ、善だと綺麗事をぬかすが実際は利己のためだけに動き、保身に走り、他者のために自らを犠牲にしたりなどしない。結局はこの世界が正義や善であってほ...